シンガポールのデジタルマーケティングトレンド2025(Web/SNS事情/EC、マーケット傾向分析)

シンガポールはASEANの中でも特にデジタルインフラが整備された先進都市国家として、企業のマーケティング戦略において注目の的です。2025年現在、人口の98%以上がインターネットを利用し、SNSやモバイル端末の普及率も高水準を維持しています。 

本記事では、シンガポール市場の最新データをもとに、デジタルユーザーの動向・SNSの利用状況・検索エンジンシェア・購買行動における調査チャネルなどを詳しく解説しながら、今後のマーケティング施策に必要なポイントと実践戦略を提示します。 

BtoC企業からグローバル展開を目指すブランドまで、シンガポール市場で成果を出すためのヒントを網羅しています。 

シンガポールとは

シンガポールは、東南アジアにおけるデジタル先進国として、インターネットとモバイルの普及率が極めて高い国です。​2025年1月時点での主要な統計データは以下の通りです。​ 

🔹 人口とインターネット利用状況 

  • 総人口:約585万人 
  • インターネットユーザー数:561万人(普及率95.8%) 
  • ソーシャルメディアユーザー数:516万人(人口の88.2%) 
  • モバイル接続数:​1,050万件(人口の179%) ​

参照:DataReportal – Global Digital Insights 

これらのデータから、シンガポールはデジタルインフラが高度に整備され、モバイルデバイスを中心としたインターネット利用が一般的であることがわかります。 

年齢構成と都市化率 

  • 都市化率:100%(全人口が都市部に居住) 
  • 年齢中央値:36.2歳 

年齢別人口構成: 

  • 25〜34歳:20.3% 
  • 35〜44歳:16.2% 
  • 45〜54歳:12.8% ​

このような年齢構成は、デジタルネイティブ世代が多くを占めており、デジタルマーケティング施策のターゲットとして重要な層となっています。 

シンガポールにおけるデジタルマーケティング概況

シンガポールは東南アジアにおけるデジタル先進国であり、都市国家という特性からインフラ整備とICT利用率が極めて高いのが特徴です。2025年2月時点での最新データによれば、デジタル環境は引き続き成長を維持しており、マーケティング施策においても高い到達性と即応性が期待できます。 

総人口は585万人で、前年から+0.7%(+4万人)と緩やかな増加を記録。100%の都市化率を誇る国土では、オンライン接点が生活のあらゆる場面に浸透しており、デジタルマーケティングがリアル以上の影響力を持つケースも珍しくありません。 

注目すべきは、インターネット利用者数が561万人(普及率95.8%)に達している点です。前年から+2.4%(+12.9万人)の増加が見られ、人口に対してほぼ全員がインターネット環境にアクセスしているといえます。また、SNSユーザー数は516万人と、人口の88.2%をカバーしており、デジタルチャネルの広告媒体としての有効性は非常に高い水準にあります。 

さらに、モバイル接続数は1,050万件と、人口の179%に相当するデバイス数が稼働しており、モバイルファーストの戦略が依然として有効であることを示しています。特にスマートフォンによる検索・ショッピング・SNS利用は日常行動の一部であり、モバイル最適化されたコンテンツや広告の展開が必須となっています。 

これらのデータから、シンガポール市場では「都市型高接続社会」を前提としたマーケティング戦略が求められます。パーソナライズされたコミュニケーション、短尺動画広告、AIチャットによるカスタマーサポート、ソーシャルコマースの導入など、最先端の技術とUX戦略を組み合わせた施策が、今後の成果を左右する鍵となるでしょう。 

シンガポールにおけるSNSユーザー数

2025年2月時点で、シンガポールのSNSユーザー数は約516万人。これは総人口の88.2%にあたり、世界でもトップクラスの普及率を誇ります。都市国家という特性もあり、ほぼすべての世代でスマートフォンとSNSの利用が定着しており、マーケティングチャネルとしての影響力も非常に高いです。 

以下に、各主要SNSの利用者比率を「DataReportal(GWI, 2025年2月)」をもとに整理しました。 

各SNSの月間利用率・推定ユーザー数 

SNSプラットフォーム利用率(%)推定ユーザー数(万人)
WhatsApp80.1%413万人
Facebook71.9%371万人
Instagram62.6%323万人
TikTok56.6%292万人
Telegram46.2%238万人
Messenger41.3%213万人
LinkedIn36.9%190万人
X(旧Twitter)26.6%137万人
WeChat26.1%135万人
Reddit23.4%121万人
Pinterest22.2%115万人
iMessage20.6%106万人
Xiaohongshu(小紅書)17.2%89万人
LINE16.3%84万人
Skype15.2%78万人

出典:We Are Social / Meltwater / DataReportal “Digital 2025: Singapore”(Feb 2025) 

シンガポールで最も使われているソーシャルメディア 

出典:GWI(Q3 2024)、We Are Social & Meltwater「Digital 2025 Singapore」 

順位 プラットフォーム 月間利用率(%) 
1位 WhatsApp 80.1% 
2位 Facebook 71.9% 
3位 Instagram 62.6% 
4位 TikTok 56.6% 
5位 Telegram 46.2% 
6位 Messenger 41.3% 
7位 LinkedIn 36.9% 
8位 X(旧Twitter) 26.6% 
9位 WeChat 26.1% 
10位 Reddit 23.4% 
11位 Pinterest 22.2% 
12位 iMessage 20.6% 
13位 Xiaohongshu(小紅書) 17.2% 
14位 LINE 16.3% 
15位 Skype 15.2% 

各プラットフォームの特徴と活用ポイント 

  1. WhatsApp(利用率:約74.7%)
    • 特徴・利用理由
      WhatsAppはシンガポールにおける最も普及率の高いコミュニケーションアプリで、プライベートチャットに加え、WhatsApp Business APIを通じた企業向け機能(テンプレートメッセージ、クイックリプライ、カタログ機能など)を備えています。メッセージ開封率は90%以上と高く、顧客との即時性の高い1対1コミュニケーションを実現できる点が支持される主な理由です。
    • 具体的マーケティング活用法
      • Singtel はWhatsApp Business APIを導入し、顧客自身が自動チャットボットを通じて契約状況の照会やサービス申請、請求情報の受け取りをセルフサービス化。複数オペレーターによる同時対応やクイックリプライの活用で問い合わせ対応時間を大幅に短縮しています 。
      • Singapore Airlines はWhatsApp公式アカウントで、顧客がフライト番号と搭乗日を入力するだけで最新のフライト状態を自動配信。運航遅延やゲート変更のリアルタイム通知により顧客満足度を向上させています。
  2. Facebook(リーチ:3.70Mユーザー、人口比61.3%)
    • 特徴・利用理由
      幅広い年齢層にリーチ可能で、ニュースフィード、ストーリーズ、リール、ライブ配信、ショッピング機能まで多彩なフォーマットを提供。Meta Adsの詳細なターゲティングとリターゲティング機能も強力です。
    • 具体的マーケティング活用法
      • Lazada はFacebookのDynamic Product Adsを活用し、ユーザーが閲覧した商品カタログを自動で配信。未購入ユーザーへのリターゲティングでコンバージョン率を向上させています。
      • DBS Bank は自社制作の動画ミニシリーズ「Sparks」をFacebookインストリーム広告で展開。予告編を15秒で配信し、シーズン2の視聴者数増加およびブランドリコールの向上に貢献しました(広告想起率+39ポイント)。
  3. Instagram(リーチ:3.15Mユーザー、人口比52.2%)
    • 特徴・利用理由
      ビジュアル中心のプラットフォームで、StoriesやReelsによる短尺動画、ショッピングタグ連携など、感度の高い若年層への訴求に適します。ハッシュタグやUGC(ユーザー生成コンテンツ)との相性も良く、ブランド世界観の発信に向いています。
    • 具体的マーケティング活用法
      • Love, Bonito は公式Instagramアカウント@wearlovebonito(フォロワー約335,000)で、顧客のコーデ投稿を#LBcommunityで募り、UGCをフィードやStoriesで定期的にリポスト。コミュニティ形成とエンゲージメント向上を両立しています。
      • ショッピング機能では、リール動画に直接商品リンクをタグ付けし、タップ数からCVR(コンバージョン率)が平均8%向上した事例も報告されています。
  4. TikTok(リーチ:成人の65.2%、インターネットユーザー比58.3%)
    • 特徴・利用理由
      アルゴリズム主導のFor Youフィードと短尺動画で高いエンタメ性・没入感を実現。Branded Hashtag ChallengeやBranded Effectsによる参加型キャンペーンが強みで、Z世代へのリーチ力が抜群です。
    • 具体的マーケティング活用法
      • Gov.sg は#SteadyCNY2021チャレンジを通じて、中国正月の安全対策を啓発。5人の人気クリエイターと協業し、参加者15,600人・動画視聴23.3M回、インゲージメント1.97M件を獲得しました。
      • Singapore Tourism Board はBranded Missionsを活用し、パーソナル体験を動画で訴求。95M+のビュー、74.8Mユニークユーザーへのリーチを達成し、観光需要の喚起に成功しています。
  5. Telegram(利用率:約43.5%)
    • 特徴・利用理由
      エンドツーエンド暗号化・匿名性を売りに、チャンネル機能で大規模一斉配信ができ、Bot連携による自動配信や双方向コミュニケーションも可能。プライバシー重視層やコアファン向けの情報発信チャネルとして注目されます。
    • 具体的マーケティング活用法
      • gov.sg(政府公式) はTelegram公式チャンネルで250,211名の登録者に向けて、政策発表や生活給付、注意喚起等を定期配信。青い認証バッジにより信頼性を担保し、平均開封率80%以上の高い読了率を維持しています。
      • ScamShield Alert チャンネルでは、最新の詐欺手口や予防策をリアルタイムで配信。公共性と実用性を兼ね備えた情報チャネルとして生活者の安全意識向上に寄与しています。
  6. Facebook Messenger(リーチ:1.95Mユーザー、人口比32.3%)
    • 特徴・利用理由
      Facebookと連携するチャットアプリで、1対1のダイレクトメッセージ、ボット導入、送客リンク、テンプレート通知などが実装可能。News Feed広告とも連動し、自然な会話体験を通じてコンバージョンに導きやすい点が強みです。
    • 具体的マーケティング活用法
      • Citi Singapore は「Citi Bot」をMessenger上に展開し、口座残高照会やポイント照会、トランザクション履歴などをチャットUIで提供。従来コールセンター対応だった問い合わせの40%をBotで自動化し、コスト削減に成功しています。
      • Sephora のVirtual Artist(AR試着機能付き)や予約アシスタントBotは、Messenger上での製品提案や来店予約までを一気通貫でサポートし、Bot経由の売上が全体の5%を占める成果を上げています。

各プラットフォームは利用文脈やユーザー属性が大きく異なるため、狙うターゲットやメッセージ設計を最適化し、最適チャネルに合わせたクリエイティブ・フォーマットを組み合わせることがマーケティング成果を左右します。

Meltwater
sleekflow.io
Esendex UK
DataReportal – Global Digital Insights
Digital Vidya
Financial Marketer
Heroes of Digital
TikTok For Business
Telegramask.gov.sg
ScamShield Website
Theasianbanker
Retail News and Trends | Retail Dive

シンガポールにおける検索エンジンシェア率

2025年2月時点のデータによると、シンガポール国内のインターネットユーザーが利用するWebブラウザのシェア構成は多様化しており、Chromeを筆頭に、SafariやAndroid標準ブラウザ、Edgeなど複数のブラウザが並立しています。 

ブラウザ別シェア率

ブラウザ シェア(%) 
Chrome 50.74% 
Android(標準) 16.95% 
Safari 16.59% 
Edge(Microsoft) 3.38% 
Samsung Internet 3.24% 
Opera 2.82% 
360 Safe Browser 2.04% 
Others(その他) 4.24% 

※出典:We Are Social / Meltwater「Digital 2025 Singapore」 

シェアから見る検索エンジン利用傾向 

Chrome(50.74%) 

Google検索エンジンとの親和性が非常に高く、SEO・SEMともにGoogle対策が最重要。PC・Androidスマホともに標準ブラウザとして使われており、検索流入の約半数を占めます。 

Androidブラウザ(16.95%) 

実質的にGoogle検索を利用するため、Google支配率は合計で67%以上と推定されます。モバイルSEO・モバイルリスティング広告の強化が欠かせません。 

Safari(16.59%) 

iPhoneユーザー層を中心に利用。高価格帯商材や都市型消費者に強く、デザイン・UXを重視した広告・コンテンツ設計が効果的です。 

Edge・Samsung Internet・Operaなど 

比較的ニッチな層ですが、B2Bユーザーやセキュリティ志向層に多く、業種特化型コンテンツマーケティングや業務用製品のターゲティング広告で活用が可能です。 

マーケティング戦略への示唆 

  • Google検索への最適化は必須:Chrome+Androidブラウザで7割近くを占めるため、Google SEOとGoogle広告への集中投資が合理的。 
  • 多ブラウザ環境対応のUX設計:SafariやSamsung Internetなど、ユーザー体験が異なる環境にも対応するレスポンシブ設計が求められる。 
  • ブラウザ別ABテスト:特定ブラウザ経由のコンバージョン率を分析し、クリエイティブやCTAの最適化を図ることが成果向上につながります。 

シンガポールにおける検索言語の傾向と対策 

シンガポールは多民族・多言語国家でありながら、英語が事実上の第一言語として社会のあらゆる場面で使用されています。検索行動においても、この傾向は非常に顕著です。 

主な検索言語の構成 

言語 使用率(推定) 主な利用層・用途 
英語 約85〜90% 全年齢層にわたる共通言語。教育・ビジネス・日常検索すべてに対応。 
中国語(繁体字) 約5〜8% 中華系高齢層、伝統文化や中医薬関連、台湾・香港系情報検索など。 
マレー語 約2〜3% 一部の家庭内利用や宗教的文脈での限定的な使用。 
タミル語 約1%未満 タミル系家庭や教育・宗教分野での補助的な利用。 

※出典:SingStat、Google Trends Singapore、We Are Social “Digital 2025” 

英語中心のマーケティング施策が基本戦略 

シンガポールでは、学校教育・ビジネス・行政サービスすべてが英語で提供されているため、検索マーケティングも英語対応が圧倒的に主流です。 

SEO・コンテンツ対策 

  • タイトルタグやメタディスクリプション、構造化データの英語最適化 
  • 英語圏特有の検索意図(例:「best」「near me」「promo」)を意識したキーワード設計 
  • モバイル検索向けに簡潔で読やすい英語表現を意識 

Google広告(SEM)の言語設定 

  • 「英語」設定のみで十分なカバレッジが可能 
  • 一部の業界(漢方・伝統医療など)では中国語(繁体字)によるテスト出稿も検討価値あり 

多言語への配慮が必要なケース 

  • 医療・宗教・伝統分野:中高年層や伝統文化関連業種では繁体字中国語での検索が一定数存在 
  • 多言語ニュース・教育系サービス:中国語・マレー語・タミル語への翻訳記事やLPが信頼感につながるケースも 

例:「補助金(grant)情報」「中華圏向け越境EC」などは繁体字コンテンツが好まれる傾向があります。 

今後のマーケティング戦略への示唆 

  • 英語対応は絶対基盤:シンガポール市場では「英語だけで十分リーチできる」ため、まずは英語SEO・広告運用の精度を高めることが先決。 
  • 必要に応じたマルチランゲージ対応:ターゲット層の文化背景に応じて、中国語やマレー語などを段階的に追加すると効果的。 
  • 検索意図に基づくUX改善:ローカル英語(Singlish)や略語、地域特有の検索傾向にも対応できるように、自然言語処理(NLP)を活用したコンテンツ設計が有効です。 

シンガポールでは、検索言語=英語を前提に設計しつつ、一部のマイクロターゲットに対しては多言語対応を加える“柔軟な多言語戦略”が、最大成果を生むためのカギとなります。 

新しい商品・ブランドを何で最初に知るか 

2025年時点において、シンガポールのインターネットユーザー(16歳以上)が新しいブランドや製品を最初に知る主なチャネルは以下の通りです(出典:We Are Social & Meltwater “Digital 2025 Singapore Report”)。 

ブランド認知チャネルランキング 

順位 チャネル 認知率(%) 
1位 検索エンジン(Search Engines) 33.8% 
2位 口コミ(Word of Mouth) 31.3% 
3位 店舗内プロモーション(In-store Promos) 27.1% 
4位 ブランド公式サイト(Brand Websites) 26.2% 
5位 小売ECサイト(Retail Websites) 25.6% 
6位 ソーシャルメディア広告(Social Media Ads) 25.4% 
7位 テレビCM(TV Ads) 24.3% 
8位 ウェブ広告(Ads on Websites) 21.2% 
9位 公共交通広告(Ads on Public Transport) 19.7% 
10位 レビューサイト(Consumer Review Sites) 19.7% 
11位 SNSコメント(Social Media Comments) 19.2% 
12位 商品パンフレット(Product Brochures) 16.7% 
13位 モバイルアプリ広告(Ads in Mobile Apps) 16.6% 
14位 メール・郵送(Emails or Physical Mail) 16.4% 
15位 商品サンプルや試供品(Product Samples/Trials) 16.4% 

考察とマーケティングへの示唆 

検索エンジンと口コミが二大柱 

検索エンジン(33.8%)と口コミ(31.3%)が、商品認知の最も重要なチャネルであることが明確です。SEOや検索広告の整備はもちろん、ユーザーが共有したくなる体験設計やレビュー施策が必須といえます。 

店頭プロモーションとオンラインの融合 

店頭プロモーション(27.1%)とオンライン上のブランドサイト(26.2%)、小売サイト(25.6%)が続き、O2O(Online to Offline)の連携強化が重要です。特にシンガポールは都市国家で移動範囲が狭く、オフライン接点が多いことも影響しています。 

ソーシャルメディア広告の存在感 

ソーシャルメディア広告(25.4%)は、インフルエンサー施策やリール広告・ストーリーズといった短尺動画によるリーチ強化が成功要因と考えられます。 

公共交通広告の健在 

シンガポールではMRT(地下鉄)やバスの利用率が非常に高く、公共交通広告(19.7%)も有効なチャネルです。ローカル性を活かした地域密着型の訴求に向いています。 

商品・ブランドを何を通じて調べるか 

シンガポールのインターネットユーザー(16歳以上)がブランドや製品についてオンラインで調べる際、どのチャネルを重視しているかを示す2025年の最新データが以下の通りです(出典:GWI, Meltwater, We Are Social「Digital 2025 Singapore」より)。 

ブランド調査チャネル ランキング 

順位 チャネル 利用率(%) 
1位 検索エンジン(Search Engines) 53.3% 
2位 商品・ブランドの公式サイト(Product & Brand Websites) 38.2% 
3位 消費者レビュー(Consumer Reviews) 35.8% 
4位 ソーシャルネットワーク(Social Networks) 34.5% 
5位 価格比較サイト(Price Comparison Sites) 26.1% 
6位 モバイルアプリ(Mobile Apps) 23.4% 
7位 クーポン・割引サイト(Discount Voucher Sites) 20.5% 
8位 ブランド・製品ブログ(Brand & Product Blogs) 15.1% 
9位 動画サイト(Video Sites) 15.1% 
10位 専門レビューメディア(Specialist Review Sites) 14.7% 
11位 Q&Aサイト 14.2% 
12位 掲示板・フォーラム(Forums & Message Boards) 13.8% 
13位 メッセージアプリ(Messenger Services) 10.8% 
14位 Vlog 8.2% 
15位 マイクロブログ(Micro-Blogs) 6.2% 

分析とマーケティング施策の示唆 

1. 検索エンジンの圧倒的強さ(53.3%) 

Googleを中心とした検索エンジンが調査チャネルの中で最重要となっています。SEO対策・Google広告・コンテンツマーケティングの精緻化は必須です。 

2. 公式サイト・レビューの信頼性が鍵 

ブランド公式サイト(38.2%)やレビュー(35.8%)が上位にランクイン。信頼性のある情報設計とユーザーの声の掲載がブランドリサーチ段階でのCVに直結します。 

3. SNSと価格比較の重要性 

ソーシャルネットワーク(34.5%)や価格比較サイト(26.1%)も活発に使われており、価格訴求+ストーリーテリングの融合が有効です。 

4. アプリと動画の台頭 

モバイルアプリ(23.4%)、動画サイト(15.1%)など、スマートフォン経由での体験設計も欠かせない要素です。UI/UX改善とアプリマーケティングがカギとなります。 

5. ニッチチャネルの活用 

Q&Aサイトや専門レビュー、Vlogなども一定数利用されており、ニッチなチャネルでのロングテール戦略やSEO連携が、検索トラフィックの底上げに貢献します。 

デバイスの比率

2025年現在、シンガポールにおけるWebトラフィックのデバイス別シェアにおいて、スマートフォンが圧倒的な主要デバイスであることが明らかになっています。以下は、StatcounterおよびDataReportalの調査を基にした最新データです。 

デバイス別Webトラフィックシェア 

デバイス シェア(%) 前年比増減(%) BPS変化 
モバイル(スマートフォン) 64.56% +8.9% +528 BPS 
PC・ノートPC 33.53% -11.6% -441 BPS 
タブレット 1.91% -31.0% -86 BPS 
その他のデバイス(ゲーム機等) 0.00% 0.0% [UNCHANGED] 

出典:Statcounter, DataReportal「Digital 2025 Singapore」(2025年2月) 

分析とマーケティング施策の示唆 

モバイルファーストは必須戦略 

モバイルからのアクセスが全体の約65%を占めており、前年からも大きく伸長(+8.9%)。この結果は、モバイルファースト設計の重要性を如実に示しています。 

  • WebサイトやランディングページはモバイルUI/UXに最適化 
  • SNS広告や検索連動型広告はモバイル表示での訴求力を強化 
  • AMP対応やモバイルスピード改善によるSEO強化 

PCユーザーは依然3割超 

一方で、PCからのアクセスも依然として約33%と無視できない規模です。特にビジネスユースや深い情報検索を伴うB2Bマーケティングでは、PCユーザーへの配慮も必要です。 

  • 長文コンテンツやリサーチ系記事はデスクトップ体験を意識 
  • メールマーケティングやホワイトペーパー施策との親和性が高い 

タブレット・その他デバイスは低調 

タブレットは1.91%、その他のデバイスは0%と極めて低いシェアとなっています。専用デバイス向け最適化は優先度を下げ、モバイル・PCに集中する戦略が効果的です。 

まとめ|シンガポールにおけるデジタル市場の推移と今後の戦略的対応 

過去と現状の推移 

シンガポールは、都市国家としてインフラ整備が非常に進んだデジタル先進国です。2025年時点で総人口585万人のうち、インターネット利用者は561万人(95.8%)、SNSユーザー数は516万人(88.2%)と、世界トップレベルの普及率を記録しています。 

また、スマートフォンからのWebアクセスが全体の64.6%を占めており、前年比でも+8.9%と急速なモバイルシフトが進行しています。一方でPCからのアクセスは減少傾向にあり、特にタブレットやその他デバイスの存在感は薄れています。 

検索エンジン・SNS・ブランド発見経路・リサーチ経路に関するデータからも、「検索エンジンを起点にし、SNSで拡散、ブランドサイトで検討」という一連のユーザー行動が定着していることが読み取れます。 

今後の動向予測 

  • モバイル中心主義の加速 
     スマホ利用が引き続き主流であり、今後も全体トラフィックの7割超を占めると推測されます。 
  • SNS経由の消費・購買行動の拡大 
     Instagram、TikTok、Messengerなど、視覚訴求力の高いSNSを通じた製品発見や購入が拡大。 
  • ブランド検索と比較文化の定着 
     消費者はSNSで商品を見つけた後に「検索エンジンで調べ、複数ブランドと比較してから購入」する傾向が強まりそうです。 

推奨対策とマーケティング戦略 

1. モバイルファースト設計の徹底 

  • サイト・LPはモバイル表示でのUXを最重視 
  • AMP対応や高速表示を意識し、SEO効果を最大化 
  • モバイル広告出稿比率の最適化(InstagramやTikTok向け) 

2. SNSを起点としたマルチチャネル戦略 

  • Instagram・TikTok・Facebookなどに対応した広告素材を複数用意 
  • インフルエンサーマーケティングやUGCの活用も効果的 
  • SNSからブランドサイトやECへのシームレスな導線を設計 

3. SEOとコンテンツマーケティングの強化 

  • 検索エンジン経由でのブランド発見率が高いため、検索ボリュームと競合を意識したコンテンツ設計 
  • 比較記事、ランキング、FAQなど検討フェーズに特化した記事が有効 

4. ローカル性と多言語対応の強化 

  • シンガポールでは英語、中国語、マレー語、タミル語など多言語文化が根強い 
  • 必要に応じて英語+中国語対応でCVRを高める施策も検討 

最後に 

シンガポールは人口規模は小さいが、購買力・デジタル成熟度ともに非常に高い戦略的市場です。モバイル+SNS+検索エンジンの三位一体型マーケティングと、コンテンツ・UXの最適化により、企業は高いROIを得ることが可能です。 

今後もデータの変化を注視しながら、現地ユーザーの行動特性に合わせたマーケティング戦略を柔軟に展開していくことが求められます。 

この記事を書いた人

GDXマーケティングチーム

海外デジタルマーケティングや海外のトレンド、デジタルマーケティングに役立つ情報を基礎的な部分から応用編まで発信しています。
様々な業界や施策に対応できるメンバーが揃っていますので、デジタルマーケティングでお困り事がありましたらお気軽にお問い合わせください。