中国のデジタルマーケティングトレンド2025(Web/SNS事情/EC、マーケット傾向分析)

世界最大規模のインターネットユーザー数を誇る中国。 
そのデジタルエコシステムは他国とは一線を画し、百度(Baidu)・WeChat・アリババ系ECなど、独自のプラットフォームで構成されています。 
本記事では、2025年時点の最新データに基づき、中国におけるSNS利用状況・検索行動・EC市場の構造と成長性を徹底分析。 
中国市場に進出・展開を考える企業にとって、最適なチャネル戦略とコンテンツ戦略のヒントを提供します。 

中国とは

中国は、2025年時点で世界第2位の経済大国として、堅調な成長を続けています。人口は約14億人と世界最大であり、広大な国内市場と急速なデジタル化の進展が特徴です。IMFのデータによると、2025年の名目GDPは約17兆4,617億人民元(約2.45兆米ドル)に達する見込みで、実質GDP成長率は2022年から2025年にかけて以下のように推移しています。 

以下に、2022年〜2025年の主要な経済指標を表にまとめます(単位:%、または記載の通り)。 

指標 2022年 2023年 2024年(推定) 2025年(予測) 
実質GDP成長率 3.0 5.2 5.0 4.5 
消費者物価指数(CPI・平均) 2.0 0.2 0.7 1.9 
総資本形成(GDP比) 43.3 41.4 41.1 41.0 
総国内貯蓄(GDP比) 44.3 43.4 43.2 43.2 
失業率(年末) 5.5 5.1 5.1 5.1 
財政赤字(GDP比) -6.6 -6.3 -7.0 -7.1 
政府債務残高(GDP比) 48.9 50.4 53.6 55.0 
経常収支(GDP比) 2.5 1.5 1.4 1.3 
外貨準備高(十億ドル) 3,307 3,480 3,517 3,617 
名目GDP(兆元) 121.0 127.6 134.0 140.7 

出典:IMF(2024年版 中国経済見通し)、CEIC Data、国家統計局(NBS of China) 

これらのデータから、中国は景気減速を穏やかに克服しつつ、マクロ経済の安定を維持していることがわかります。また、インフレ率が低く抑えられていることから、政策余地が広く、今後のデジタル経済投資にも柔軟な対応が可能と考えられます。 

中国のデジタルマーケティング概況 

中国は2025年時点で、世界最大規模のインターネットユーザー数とソーシャルメディア利用者数を誇る国となっています。総人口約14.2億人に対し、インターネット利用者は11.1億人、SNSユーザー数は10.8億人と、いずれも世界トップクラスの水準です。これにより、デジタルマーケティングの影響力は年々高まり、企業にとってオンライン上での認知拡大とコンバージョン獲得が極めて重要な戦略となっています。 

携帯電話回線契約数は18.7億件に達しており、人口比で132%という驚異的な普及率を示しています。モバイル端末を中心に消費者があらゆる情報を取得しており、スマートフォンを基軸としたモバイルファーストなマーケティング戦略が不可欠です。 

また、都市化率は66.0%と依然として成長の余地があることから、地方都市や農村部におけるデジタル普及の拡大と、潜在的な消費層へのリーチも視野に入れた施策が求められています。 

SNS利用者の年間増加数は2,700万人(+2.5%)にのぼり、2025年時点で人口の約76.5%がSNSを活用しているというデータも、今後のプロモーション施策におけるプラットフォーム選定の重要性を示しています。 

このような背景を踏まえ、中国市場では「短時間・高頻度・高エンゲージメント」が求められるため、コンテンツの最適化とマルチチャネル戦略が成功の鍵を握ります。特に、Z世代・α世代を中心とした次世代消費者層への対応も今後の焦点となるでしょう。 

中国におけるSNSユーザー数 

2025年時点で中国のSNSユーザーは10億8,000万人に達し、総人口の76.5%を占めています。これは前年比+2.5%、2,700万人の増加を示しており、依然として高い成長が見られる分野です。 

以下は、各主要ソーシャルメディアの月間利用者数とシェアをまとめた表です(出典:各SNS公式発表およびStatista、DataReportalなど)。 

SNSプラットフォーム利用率(%)推定ユーザー数(億人)
Weixin (WeChat)91.8%9.94億人
Douyin83.0%8.96億人
QQ63.4%6.84億人
Baidu Tieba60.2%6.50億人
Xiaohongshu56.3%6.08億人
Kuaishou49.8%5.38億人
Weibo46.3%5.00億人
Qzone29.5%3.19億人
Douyin Huoshan20.3%2.19億人
iMessage17.4%1.88億人
Dewu17.0%1.84億人
Meipai16.1%1.74億人
Facebook9.7%1.05億人
Inke9.3%1.00億人
WhatsApp7.2%0.78億人

※シェアはSNSユーザー全体(10.8億人)に対する概算比率 

各プラットフォームの特徴と活用法 

1. WeChat(微信)

機能的特徴・利用理由

  • スーパーアプリ化:月間MAU1.385 B、ミニプログラム利用者945 Mを誇る​。チャット以外に決済(WeChat Pay:935 Mユーザー)、ニュース、O2O予約、ECが連携可能。
  • セグメント/AIターゲティング:公式アカウント(OA)でのOne-to-One配信、属性×行動データに基づく精緻ターゲティングが可能。

具体的マーケティング施策

  • ミニプログラムEC:DidiやMeituanはミニプログラム内ショップでワンタップ購入を実現。従来サイト比CVR150%向上。
  • 公式OA+ステップメッセージ:KFC Chinaは誕生月配信やステップメッセージでクーポン配布し、クーポン利用率が従来比2倍に​。
  • Moments Ads(タイムライン広告):BalenciagaやLouis Vuittonが520キャンペーンで高品質クリエイティブ+NFTミニゲームを展開し、数千万インプレッションを獲得​。
  • ミニゲーム活用:BurberryやDiorがミニプログラムゲームで500 M MAU規模のエンゲージメントを記録​。

2. QQ

機能的特徴・利用理由

  • 若年層中心のコミュニティ:モバイルMAU524 M、Qzone560 M(80%が35歳以下)​。チャット/グループ/Qzone(タイムライン)/音楽/ゲームが主な利用。
  • 価値追加サービス(VAS)によるマネタイズ:QQ会員、クローズドグループでのバーチャルアイテム販売などでステッキネスが非常に高い。

具体的マーケティング施策

  • QQグループコミュニティ運営:教育企業が専用グループで講座案内/質問対応を自動化し、リード獲得効率を30%改善。
  • Qzoneバナー広告:ゲーム開発社がQzoneの広告枠で若年層にリーチし、CTR2.8%を達成。
  • QQ Star Milk×Discovery:QQ Star MilkがDiscovery Channelとコラボし、子供向け環境教育コンテンツを配信。親の信頼を獲得し、ブランド愛着を醸成​。

3. Douyin(抖音)

機能的特徴・利用理由

  • ショート動画/レコメンデーション:MAU1.1 B、DAU750 M。高度なAIレコメンドで“潜在需要”を創出する「Interest-Based E-commerce」。
  • ライブコマース連携:動画→即購入へのシームレスな購買導線。

具体的マーケティング施策

  • Branded Hashtag Challenge:中央値エンゲージ率17.5%と高水準​。
  • Zaraライブ配信:週1回5時間配信で800k視聴、売上・認知大幅向上​。
  • P&G Panteneキャンペーン:Ni Bi Yi等インフルエンサー起用でSNS+ライブコマースを併用、売上シェアを回復​。
  • ブランドライブ番組運営:定期的なライブ配信を軸に、長期的フォロワー育成と日次売上を両立​。

4. Weibo(微博)

機能的特徴・利用理由

  • リアルタイム拡散性:MAU590 M・DAU260 M。ハッシュタグ、トレンド、公式認証アカウントで即座に話題化。
  • 多様な広告フォーマット:Promoted Trends、First View、In-Feed Ads、KOLタイアップなどが可能。

具体的マーケティング施策

  • Tourism New Zealand:黄磊ファミリー起用6投稿でいいね59.2万、ハッシュタグ1.6Mビュー、広告換算価値270万ドル​。
  • Coca-Cola:Weibo Wallet連携でボトルカスタマイズ/配送(送料のみ)を展開し、UGC数千件を獲得​。
  • Coach Footprintsキャンペーン:フォロワー157%増、コメント50%増のエンゲージメント拡大​。
  • Tiffany & Co.:著名Weiboユーザータグ付けでフォロワー+エンゲージメントを強化​。

5. Kuaishou(快手)

機能的特徴・利用理由

  • 地方都市/農村への深い浸透:MAU500 M超。市井性・リアルコンテンツを重視し、ユーザー信頼度が高い​。
  • ライブコマース収益モデル:ライブ中のギフティング、商品販売、広告収益が主軸。

具体的マーケティング施策

  • 地方KOL/KOC起用:本物の農家ライフを配信する「Liu Mama」シリーズが数百万フォロワーを獲得し、プラットフォームへのエンゲージを牽引​。
  • ライブマーケティング:事業者向けに「生産者直送」ライブ配信を設計し、従来EC比でCVR+30%を実現。
  • コミュニティ広告×UGC:地域密着型ショート動画とUGCを組み合わせたブランドコンテンツで、農村層へのリーチを拡大​。

6. Xiaohongshu(小红书)

機能的特徴・利用理由

  • レビュー型SNS×EC:MAU300 M、UGC90%、シェアコミュニティ80 M、Gen Z比率50%​。ノート投稿にショッピングタグを組み合わせた“シームレス購買体験”。
  • ブランド参画企業数:2022年時点で140,000ブランドがプラットフォーム上で公式運用​。

具体的マーケティング施策

  • KOLレビューコラボ:化粧品ブランドはマイクロKOLと提携し、信頼性の高い製品体験レビューを発信、CVR平均1.5倍向上。
  • ハッシュタグキャンペーン:旅行局やD2Cブランドが#TravelNotesなどでUGCを集積し、数千万インプレッションを獲得。
  • Shoppable Notes:投稿中のタグから直接Taobao連携ECへ遷移させ、購買までの導線を短縮。

各プラットフォームはユーザー層と利用文脈が異なるため、KPIやフェーズ(認知→検討→獲得→リピート)に合わせた最適なチャネル設計が重要です。上記事例を参考に、ターゲット設定→クリエイティブ開発→効果測定→PDCAを高速で回し、ROI最大化を目指してください。

DemandSage
Vogue Business
WeChat Wiki
tencent.com
OctoPlus Media Global
MMA Global
RougeLink
Dean & Francis Press
Reuters
Ocean Engine
Digital Crew
LAT Multilingual
Jing Daily
The New Yorker
LinkedIn
WalktheChatWalktheChat
The Egg

検索エンジンシェア率 

中国国内におけるWebブラウザの利用状況は、世界的なトレンドと同様にChromeがトップとなっているものの、他国と比べて国産ブラウザの存在感が高い点が特徴的です。 

以下は、StatCounterによる2025年2月時点のWebブラウザシェア(全デバイス合計)のデータです。 

ブラウザ シェア(%) 
Chrome 46.40% 
Safari 13.75% 
Edge 13.45% 
UC Browser 9.40% 
360 Safe Browser 6.69% 
QQ Browser 6.53% 
Android 1.23% 
その他 2.55% 

Chromeは依然として最大シェアを誇るものの、UC Browser360 Safe BrowserQQ Browserなど、ローカル系ブラウザの利用も根強く、特に低価格帯スマートフォンや企業ネットワーク内での採用が目立ちます。 

また、SafariやEdgeのシェアが二桁に達している点は、iOSデバイスおよびWindowsユーザーの多さを反映しています。 

マーケティングへの示唆 

  • Baidu広告などを活用する際、対応ブラウザでの表示最適化は必須です。特にUC Browserや360 Safe Browserでは、HTML5やJavaScriptの一部機能が制限される場合があるため、注意が必要です。 
  • ブラウザ別のアクセス解析により、ユーザー属性や行動傾向をより精緻に把握することができ、ABテストやUX改善施策への応用も可能です。

検索言語 

中国では検索エンジンの利用において、中国語(簡体字)が圧倒的なシェアを占めており、2025年時点での検索クエリの95%以上が簡体字中国語によるものと推定されています。これは中国本土における教育制度の普及と、国産デバイス・OS・アプリにおけるデフォルト言語設定が影響しています。 

一方で、以下のようなニーズや層では英語検索の使用も一定数見られます: 

  • 外資系企業勤務者や留学生 
  • 海外旅行・留学情報を求める層 
  • テック系・ファッション系など、海外ブランドやトレンドに関心のある若者 
  • VPN経由でGoogleなど海外検索エンジンを利用するユーザー 

これにより、検索言語別の戦略は以下のように分けて考えることが重要です。 

検索言語別のアプローチ戦略 

言語 主な対象ユーザー層 推奨施策 
中国語(簡体字) 一般消費者、B2B担当者、地方ユーザー Baiduリスティング広告、WeChat連携SEO、Sogou対策 
英語 国際志向の若者、越境EC利用層 Google広告(VPN経由)、Bing Ads、外資系情報発信 

マーケティング上の注意点 

  • 同じキーワードでも言語によって検索意図が異なることがあるため、バイリンガルSEO・広告文の最適化が求められます。 
  • 中国語では地域名+サービス名や「おすすめ」「人気」などの評価ワードが重視されます。 
  • 英語検索ユーザーには、オウンドメディアやLPの英語版整備もCVR向上に直結します。 

今後、若年層の国際化や越境ECの普及に伴い、英語検索の割合はさらに微増すると予測されます。特にB2B企業や国際展開を視野に入れたブランドにとっては、中国語一辺倒からの脱却も検討すべき段階に入ってきていると言えるでしょう。 

新しい商品・ブランドを何で最初に知るか 

中国のインターネットユーザー(16歳以上)が新しい商品・ブランドを最初に知るきっかけとして、最も多く挙げているのは「口コミ(Word of Mouth)」で28.4%となっています。これは家族や友人、知人など信頼できる第三者の情報を重視する中国市場の特徴を反映しています。 

次いで多かったのは検索エンジン(25.7%)ソーシャルメディアでのコメント(25.7%)で、いずれも能動的・受動的な情報収集源として高い信頼度を持つ手段となっています。以下は上位チャネルの一覧です: 

項目 割合(%) 
口コミ(Word of Mouth) 28.4 
検索エンジン 25.7 
ソーシャルメディアのコメント 25.7 
ブランド公式ウェブサイト 25.6 
消費者レビューサイト 25.6 
テレビ広告(TV Ads) 24.2 
店舗内プロモーション(In-store promos) 23.7 
ソーシャルメディア広告(Social Media Ads) 23.6 
モバイルアプリ内広告 21.7 
ウェブサイト広告(バナーなど) 21.1 

中国市場での示唆と戦略提案 

  • 口コミ対策(クチコミマーケティング):オフライン・オンライン問わず、UGC(ユーザー生成コンテンツ)やレビュー拡散を促すキャンペーンは、第一想起を狙う上で必須。特にXiaohongshuやDouyinでのナチュラルな紹介投稿が有効です。 
  • SEOとBaidu広告の併用:検索エンジンからの流入は依然として強力。Baiduに加え、Sogou検索経由での公式アカウント流入も見逃せません。 
  • コメント施策の強化:ブランドアカウントの投稿だけでなく、「コメント欄」の戦略的活用(好意的コメントの表示、KOLの反応など)によって、他のユーザーへの信頼拡散が期待できます。 
  • ブランドサイトの充実:多くのユーザーが検索やSNSの先に訪れるのが公式サイト。デザインだけでなく、FAQ、商品詳細、安心感のある企業情報の整備もCVに直結します。 
  • テレビや店舗施策とのクロスメディア展開:オンライン中心とはいえ、TV広告や店頭販促と連動することで、複数チャネルからの一貫したブランド接触を設計することが効果的です。 

商品・ブランドを何を通じて調べるか 

中国における消費者のブランドリサーチ行動には多様なチャネルが活用されています。2025年の調査データによると、最も多く利用されている情報源はソーシャルネットワークで40.6%、続いて検索エンジン(40.0%)、消費者レビュー(36.6%)となっています。以下は主な情報源の上位項目です: 

ブランド調査チャネル 利用率(%) 
ソーシャルネットワーク(例:WeChat Moments、Weibo) 40.6 
検索エンジン(例:Baidu、Sogou) 40.0 
消費者レビュー(口コミサイト、Xiaohongshuなど) 36.6 
ブランド公式サイト 32.3 
モバイルアプリ(EC・サービス系) 29.3 
動画サイト(例:Bilibili、Douyinなど) 29.3 
価格比較サイト 22.3 
マイクロブログ(Weiboなど) 21.5 
商品・ブランド系ブログ 19.8 
クーポン・ディスカウントサイト 19.7 
メッセンジャーサービス(WeChat、QQ等) 19.4 
Q&Aサイト(百度知道など) 17.2 
フォーラム・掲示板 16.4 
専門レビューサイト 15.0 
VLOGコンテンツ 14.9 

考察とマーケティング施策への示唆 

  • SNSベースの情報検索が主流:ユーザーの間では、WeChat MomentsやWeiboのようなSNS上の投稿・シェアを通じたブランド認知が主な経路のひとつ。企業はKOL(インフルエンサー)とのタイアップユーザー生成コンテンツ(UGC)の活用を通じたSNS最適化が求められます。 
  • Baidu中心のSEO/SEM施策:検索エンジン経由での調査が依然強く、BaiduでのSEO対策や検索広告の最適化は引き続き重要です。WeChat検索との連動も検討の価値があります。 
  • 消費者レビューとSNSの融合型対策:特にXiaohongshuなどはレビューとSNSが一体となっているため、リアルな商品体験レビューの投稿を促すマーケティングが効果的です。 
  • マルチチャネル型のブランドプレゼンス強化:ブランド公式サイト、ECアプリ、動画メディア、Q&Aサイトなど、複数チャネルに情報を展開するオムニチャネル戦略が必要不可欠です。 

このように、中国ではブランド認知と検討の両段階で多様なプラットフォームが活用されており、一つのチャネルに依存するのではなく、クロスプラットフォームでの露出とコンテンツ最適化が成功の鍵となるでしょう。 

デバイスの比率 

2025年時点における中国のWebトラフィックは、依然としてモバイルデバイスが中心であることが明らかになっています。最新のデータによると、モバイル端末からのアクセスが全体の65.76%を占めており、前年比で+6.8ポイントの増加を記録しました。これは中国の「モバイルファースト」社会の進展を示すものであり、特に地方都市や若年層を中心にスマートフォン経由でのインターネット利用がますます主流化していることを反映しています。 

一方、ラップトップおよびデスクトップ端末のシェアは32.95%となり、前年比で11.1ポイント減少しています。この変化は、リモートワークやEC操作、ビジネス利用以外ではPC使用の必要性が低下している傾向を示しています。 

タブレットデバイスからのアクセスは1.29%と限定的であり、前年比では-5.8%の減少となっています。その他のデバイス(ゲーム機やIoT端末等)からのアクセスは0%と報告されています。 

デバイスカテゴリ シェア(%) 前年比変化 
モバイル端末 65.76% +6.8%(+418 BPS) 
ノート/デスクトップPC 32.95% -11.1%(-410 BPS) 
タブレット端末 1.29% -5.8%(-8 BPS) 
その他 0% 変化なし 

インサイトと対策 

  • モバイル最適化が最優先課題:Webサイト、LP、広告クリエイティブなどはモバイルファーストで設計し、表示速度・UI/UXの最適化がCVR(コンバージョン率)向上の鍵になります。 
  • PC経由の高単価商材は精緻なABテストを:PCでの利用は少数ながら、高額商品やBtoBサービスでは依然として主要チャネル。フォーム設計やリッチコンテンツの表示最適化が必要です。 
  • タブレット・その他デバイス向けは限定対応で効率化:現状のシェアから考えて、リソース配分の最優先対象ではありません。主要施策はモバイル・PCに集中すべきです。 

このように、モバイルユーザーへの接点設計がデジタル施策の成否を分ける要素となるため、2025年以降もスマホ中心のタッチポイント戦略をベースにしたデジタルマーケティング展開が不可欠です。 

まとめ|中国デジタル市場の推移と今後の展望 

中国のデジタルマーケティング環境は、過去数年間で急速に進化を遂げてきました。2022年から2025年にかけて、経済成長が持ち直しつつある中で、インターネット普及率は78.0%、SNS利用率は76.5%に到達。特にモバイルデバイスの利用比率は65.8%と高水準を維持しており、「モバイルファースト国家」としての地位を確立しています。 

一方、検索行動ではBaiduが60%超のシェアを維持し、WeChatやDouyinなどの”スーパーアプリ経由での検索やブランド認知”が日常的となっています。新しい商品・ブランドの発見チャネルとしては、「口コミ」「検索エンジン」「ソーシャルメディアコメント」「ブランドサイト」など、多様な接点が併存しており、単一の導線ではなくクロスチャネル戦略が重要視されるフェーズに突入しています。 

また、SNS利用においては動画とECの融合が加速。DouyinやKuaishou、小紅書などを活用したライブコマースやKOL施策(インフルエンサーマーケティング)が主流となっており、視覚的訴求力と信頼性を両立させるクリエイティブが成果を左右しています。 

今後の動向と対策 

項目 今後の推移 推奨される対策 
モバイル化の進行 利用比率70%以上を安定的に維持 モバイル最適化LP・UI設計の強化 
SNSの動画・EC融合 ショート動画+ライブ配信が主流化 KOL起用のライブ施策/EC連携の強化 
検索チャネルの多様化 Baidu以外の検索行動が徐々に浸透 Sogou/WeChat内SEOの最適化 
発見経路の複合化 検索+SNS+口コミ+動画が複合的に機能 クロスチャネルでの統合的なブランド接点設計 
都市部と地方でのギャップ 地方ユーザー向け施策の差別化が必要になる Kuaishouなどローカル向けチャネル活用の強化 

総じて、中国市場では”データドリブン×創造的コンテンツ”を両立した戦略が求められます。政府規制や文化的特性を理解しつつ、地域別のユーザー行動に合わせたアプローチを展開することで、競争優位性を確立することが可能です。中長期的には、「WeChat × 検索 × EC × KOL」の連携が、ブランドの認知・信頼・購買をすべてカバーする強力なマーケティングエンジンとなるでしょう。 

この記事を書いた人

GDXマーケティングチーム

海外デジタルマーケティングや海外のトレンド、デジタルマーケティングに役立つ情報を基礎的な部分から応用編まで発信しています。
様々な業界や施策に対応できるメンバーが揃っていますので、デジタルマーケティングでお困り事がありましたらお気軽にお問い合わせください。