台湾は高度なインフラとITリテラシーを背景に、東アジアでも最も成熟したデジタル市場のひとつとして注目を集めています。スマートフォン普及率は90%を超え、SNS利用率も非常に高水準。さらに越境ECやライブコマース文化の浸透により、消費者行動がオンライン中心へと大きく変化しています。
本記事では、最新の統計データと現地プラットフォームの動向をもとに、台湾におけるWeb・SNS・ECのデジタルマーケティング戦略を体系的に分析。台湾市場に進出・展開を検討する企業にとって、成功のための実践的なヒントと戦略的視点を提供します。
✔ LINE、Facebook、Instagramはどれが強い?
✔ ユーザーが商品を知るきっかけ・調べる方法とは?
✔ 台湾で売れるECプラットフォームと人気商品は?
── こうした疑問を持つマーケティング担当者・経営者の方は、ぜひ本記事をご一読ください。
目次
台湾とは
台湾は、IT技術・通信インフラ・教育水準の高さにより、アジアでもトップクラスのデジタル成熟度を誇る市場のひとつです。スマートフォン普及率やインターネット利用率は非常に高く、日常生活の中にデジタルが完全に溶け込んでいます。特にSNS利用率とEC活用率の高さは、BtoC分野でのビジネス展開を狙う企業にとって大きなチャンスとなります。
2024年時点の推定によると、台湾の総人口は約2,340万人。インターネット利用率は92%を超え、スマートフォン普及率も90%台後半に達しているとされています。また、都市部を中心に高速な5G通信が広く普及しており、動画コンテンツやライブコマースなど、リッチメディアの消費も急速に拡大しています。
一人当たりのGDPは約33,000米ドル(2024年推計)とアジア圏では比較的高水準であり、可処分所得の多さから高品質な商品やブランド志向の強さが特徴です。また、台湾は親日国としても知られており、日本製品に対する信頼感・好意度が高いことから、日本企業にとってはマーケティング展開のしやすい土壌が整っています。
台湾市場では、LINE・Facebook・YouTube・Instagramなどが高い浸透率を持ち、検索エンジンはGoogleが圧倒的シェアを占めています。EC分野ではShopeeやMomo、PChomeなどのローカルプラットフォームが強く、モバイルアプリ経由での購買が主流となっています。
台湾のデジタルマーケティング概況

2025年時点での台湾の総人口は約2,320万人。うち、インターネットを利用している人は2,210万人で、全体の95.3%を占めるという極めて高い浸透率を示しています。また、SNSのアクティブユーザー数は1,840万人に達しており、人口比で約79.4%にのぼります(出典:We Are Social / Meltwater, 2025年2月)。
モバイル接続環境も非常に整っており、携帯回線契約数は3,040万件と、人口の131%に相当する水準です。これは1人で複数の回線(例:仕事用と私用、データ通信専用など)を使い分ける利用者が多いことを示しています。都市化率は80.6%と高く、都市部では5G・Wi-Fi環境の整備も進んでおり、動画視聴・ライブ配信・eコマース利用の快適性が高まっています。
注目すべきは、前年比でインターネット利用者が+71,000人増加している一方、SNSユーザーは-80万人と大幅に減少している点です。これはアクティブ利用定義の見直しや、多重アカウントの統合・整理などが影響している可能性があり、定点観測における文脈理解が重要になります。
全体として台湾市場では、高いネットリテラシーと都市型デジタル環境を背景に、スマートフォン×SNS×ECの三位一体型マーケティング戦略が成果を上げやすい傾向があります。次章では、具体的にどのSNSがどのように使われているのかを、ユーザーデータに基づいて詳しく見ていきます。
台湾におけるSNSユーザー数

台湾においては、SNSが日常生活に深く浸透しており、主要な情報収集・コミュニケーション・エンタメのプラットフォームとして幅広い世代に利用されています。2025年時点のデータによると、SNSユーザーは約1,840万人で、総人口の約79.4%を占めています(出典:We Are Social / Meltwater 2025年2月)。
以下は、各ソーシャルメディアが公表する広告配信リーチ数やオープンデータをもとに、台湾国内での主要SNS利用状況をまとめたものです:
| プラットフォーム | 利用率(%) | ユーザー数(万人) |
|---|---|---|
| LINE | 92.3 | 1698.3 |
| 84.6 | 1555.0 | |
| 68.3 | 1256.7 | |
| Messenger | 60.6 | 1115.0 |
| TikTok | 40.1 | 737.8 |
| X(旧Twitter) | 28.8 | 530.0 |
| Threads | 25.8 | 474.7 |
| 24.6 | 452.6 | |
| iMessage | 16.4 | 301.8 |
| Telegram | 15.4 | 283.4 |
| 15.3 | 281.5 | |
| 11.0 | 202.4 | |
| 10.7 | 196.9 | |
| Skype | 10.6 | 195.0 |
| Discord | 9.8 | 180.3 |
台湾における最大SNSは依然としてFacebookとYouTube、そしてLINEです。LINEは台湾では単なるメッセージアプリにとどまらず、ニュース閲覧、公式アカウント、LINE VOOMなど多機能プラットフォームとして企業活用も進んでいます。
InstagramやTikTokは若年層を中心に人気があり、ファッション・美容・旅行・飲食など、感性訴求型の商材との親和性が高い傾向があります。また、LinkedInやFacebook MessengerもBtoBやリクルーティング領域では安定した利用が見られます。
今後の戦略においては、ユーザー属性と利用文脈に応じたチャネル設計が不可欠です。次章では、各SNSの個別特徴と活用方法についてさらに詳しく掘り下げていきます。
台湾におけるSNSの利用率

台湾においては、SNSが日常生活に深く浸透しており、主要な情報収集・コミュニケーション・エンタメのプラットフォームとして幅広い世代に利用されています。2025年時点のデータによると、SNSユーザーは約1,840万人で、総人口の約79.4%を占めています(出典:We Are Social / Meltwater 2025年2月)。
以下は、GWIの2025年2月時点調査に基づく、台湾で最も利用されているSNSプラットフォームのランキングです:
| 順位 | プラットフォーム | 月間利用率(%) |
| 1 | LINE | 92.3 |
| 2 | 84.6 | |
| 3 | 68.3 | |
| 4 | Facebook Messenger | 60.6 |
| 5 | TikTok | 40.1 |
| 6 | X(旧Twitter) | 28.8 |
上位6位の主要SNSプラットフォームの特徴とマーケティング活用法
LINE
特徴・使用理由
- スーパーアプリとしての必須性
- 台湾では月間アクティブLINEユーザーが約2,200万人に達し、ほぼ国民の95%が利用する日常インフラとなっている。
- メッセージングに加え、ニュース配信、マンガ配信、動画視聴、LINE Payによる決済などを統合し、“トーク”以外のタッチポイントも強力に提供。
- 企業公式アカウントの広範な普及
- 公式アカウント数は309万を超え、購買履歴や位置情報を組み合わせたRI(Retail Media Network)でオンライン・オフラインを横断したO2Oが可能に。
具体的マーケティング施策
- セグメント配信+クーポン発行
- 家具販売店では顧客の誕生月に絞ったメッセージ配信で、通常配信に比べクリック率が5倍に向上した事例がある。
- チャット内予約・購入フローの自動化
- ネイルサロンではLINEトーク上でメニューをカルーセル表示し、タップだけで予約完了。コンバージョンを大幅に短縮できる。
- インタラクティブキャンペーン
- LINE台湾公式「LINE台灣-再LINE一下」では、冒険ゲームを通じて投資詐欺防止教育を実施し、43万件以上の参加、13.5万ダウンロードを達成。
特徴・使用理由
- 幅広い属性へのリーチ
- 台湾ではFacebook月間利用率85.1%(16–64歳)を誇り、25–34歳層の男女14%超が最も活発に利用。
- 多彩なコミュニティ形成
- ページ/グループ機能でブランドファンとの双方向コミュニケーションを構築し、イベント告知や口コミ喚起のプラットフォームに最適。
具体的マーケティング施策
- Meta Conversions APIによる精緻ターゲティング
- 台湾の化粧品チェーン「POYA」はConversions APIで広告効果を可視化し、購入数を23%増加させた。
- ダイナミックプロダクト広告(DPA)
- ジュエリーブランドWest Gold & SilverがDPAを活用し、ROASを36%向上。カタログフィード連携でユーザーの検討フェーズに合わせた再訴求を実現。
- 動画広告+カルーセル展開
- リール形式のショート動画とカルーセル広告を組み合わせ、ブランド訴求とサイト誘導を同時に行う手法が台湾でも増加中。
特徴・使用理由
- ビジュアル重視+若年層に強い影響力
- 月間利用率68.1%、月間平均12時間7分の利用時間で、飲食・美容・ファッションといったビジュアル商材との親和性が高い。
- インフルエンサーマーケティング市場の拡大
- 2023年の台湾におけるインフルエンサー広告市場規模は約1.895億USD、2027年には2.787億USDに達する見込みで、ROI重視の企業投資が加速中。
具体的マーケティング施策
- 公式リール+ストーリーズ広告
- Samsungは新機種S21発表に際し、台湾のインフルエンサーUGCをリール広告に組み込み、バーチャルフラッグシップストアに誘導した事例がある。
- ブランドハッシュタグキャンペーン
- 台湾観光局「#TaiwanNowBoarding」では、海外イベントでキャリーオンを持参した記者を招くなど独自の体験型キャンペーンで2Mインプレッション、600Kリーチを獲得。
- Shoppable Postsによる直接購入導線
- ブランディングとECを融合し、投稿写真からタップで商品詳細/購入ページへ遷移させるショッピング機能を活用。
Facebook Messenger
特徴・使用理由
- 1対1コミュニケーションの高速性
- 台湾企業向けチャットボット「Robin」は約1,100社に導入され、1日600件の問い合わせのうち500件超を自動応答で処理。
- 購買前のリード獲得チャネル
- 特にBtoC商材ではクーポン配布、製品説明、店舗案内などをMessenger上で完結させ、離脱を防止。
具体的マーケティング施策
- クリックto-Messenger広告
- Audi TaiwanはMessengerを経由した見積依頼を導線化し、新規リードの80%を同チャネルで獲得。
- チャットボット×オムニチャネル接客
- Clarins TaiwanはBotでクーポン配信後、オフライン店舗への来店を促し、実店舗売上を大幅に向上。
- サブスクリプションメッセージ
- 定期的な新商品案内やキャンペーン情報を“購読メッセージ”として配信し、開封率50%以上を維持。
TikTok
特徴・使用理由
- ショート動画+Z世代へのリーチ
- 広告リーチは台湾人口の23.6%、Q1 2024期比11.3%増と急拡大中。
- 高い参加型エンゲージメント
- Branded Hashtag Challengeの中央値エンゲージメント率は17.5%と、他プラットフォームを大きく上回る。
具体的マーケティング施策
- ハッシュタグチャレンジ
- #PepsiChallengeでは3.1B動画ビュー、4.73%のエンゲージメントを達成し、ブランド認知と購買意向をそれぞれ9%、13%向上させた。
- インフィード+TopView広告
- フルスクリーンAuto-Play動画で注目を集め、CTR・CPMを改善。
- TikTok Shop/ライブコマース
- ライブ配信で視聴者を直接購入ページに誘導し、コンバージョン率を20%以上引き上げる事例が増加中。
X(旧Twitter)
特徴・使用理由
- リアルタイム性・ニュース消費
- 速報性が重視され、限定的だがIT・投資・メディア関係者への情報発信に強み。
- 高い広告視認性
- 広告テキストの読了率は90%、動画広告の視聴時間は他社比3.5倍に達するという調査結果もある。
具体的マーケティング施策
プロモートトレンド/ブランドテイクオーバー
大規模プロモートトレンドで話題のハッシュタグを1日限定で専有し、新製品ローンチにおける認知獲得を最大化。
Twitter Ads ROIの高さ
独立調査でTwitterマーケティングは他社比40%高いROIを達成、特に動画フォーマットが有効と報告されているX Business。
ライブQ&A/Spaces
ブランド公式アカウントによる音声ライブ配信で、ユーザーとの双方向コミュニケーションを強化し、熱心なファンを醸成。
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検索エンジンシェア率

台湾のインターネットユーザーにとって、検索エンジンは今なお日常的な情報収集や商品比較、サービス探索に欠かせないツールです。特にeコマースやレビュー閲覧の導入経路として検索行動は強く根付いており、SEOやSEM(検索連動型広告)の重要性は今後も変わらないと考えられます。
検索エンジンの利用状況は、Webブラウザのシェアを通してある程度把握できます。以下は、2025年2月時点での台湾におけるWebトラフィックのブラウザ別シェアです(出典:Statcounter)。
| ブラウザ | シェア率(%) |
| Chrome | 56.52 |
| Safari | 32.59 |
| Edge | 5.03 |
| Samsung Internet | 3.91 |
| Firefox | 1.07 |
| Opera | 0.40 |
| Android | 0.14 |
| その他 | 0.34 |
このデータから読み取れる通り、Google Chromeが台湾のWebトラフィック全体の過半数以上を占めており、検索エンジンとしてのGoogleの存在感が極めて高いことがわかります。次いでSafariが約32.6%と高いシェアを持ち、Appleユーザーの多さも背景にあると推測されます。
EdgeやSamsung Internetといったその他ブラウザも一定の利用がありますが、SEO対策やリスティング広告を行う上では、Google検索を中心とした対策が依然として最も効果的です。
今後は音声検索やAIによるゼロクリック検索の普及が進むと見られ、企業は従来のキーワードSEOに加え、構造化データ・FAQページ・E-E-A-Tの強化など、検索体験そのものに最適化したWeb設計が求められます。
台湾の検索言語
台湾のインターネットユーザーは、主に繁体字中国語(Traditional Chinese)を使用して検索行動を行います。これは台湾の公用語である標準中国語(国語)が、文字体系として繁体字を採用しているためで、GoogleやYahooなどの検索エンジンでも繁体字対応が基本です。
また、海外情報を検索する際や、若年層・ビジネス層を中心に英語による検索も一定の割合で利用されています。特に、テクノロジー・旅行・EC・エンタメなどの領域では、英語キーワードを直接入力してグローバルな検索結果にアクセスする傾向が強まっています。
検索言語の利用傾向(推定)
- 繁体字中国語:80〜85%
- 英語:10〜15%
- その他(簡体字・日本語など):5%未満
企業が台湾向けにSEOやコンテンツマーケティングを展開する際は、
- 繁体字によるタイトル・メタ情報・本文構成
- 地元検索行動に沿ったローカルキーワード設計(例:「美食」「優惠」「宅配」など)
- 製品・ブランド名の繁体字表記と音訳対応
- 一部のセクターでは英語併記対応 といったローカライズ対応が必須です。
特にECや観光、教育、IT関連などの業種では、繁体字+英語の併用戦略により、幅広いユーザーへの検索露出が可能になります。
新しい商品・ブランドを何で最初に知るか
台湾の消費者が新しい商品やブランドに初めて接触するチャネルには、検索エンジンやクチコミ、Web広告、SNS広告など、さまざまな情報源が活用されています。GWIの2025年2月時点のデータによると、「検索エンジン(45.3%)」が最も多く利用されており、次いで「クチコミ(38.4%)」「Webサイト上の広告(31.2%)」 が上位にランクインしています。
これは、台湾のユーザーが新しい情報や製品を自主的に検索したり、周囲の意見や広告から商品認知を形成していることを示しており、SEOや口コミ戦略、パフォーマンス広告の重要性が非常に高い市場であることがわかります。
| チャネル | 利用率(%) |
| 検索エンジン | 45.3 |
| クチコミ(Word of Mouth) | 38.4 |
| Webサイト上の広告 | 31.2 |
| SNS広告 | 29.7 |
| モバイルアプリ内広告 | 28.8 |
| テレビCM | 28.4 |
| ブランド公式サイト | 26.2 |
| SNSコメント | 25.9 |
| レビューサイト | 25.8 |
| 価格比較サイト | 23.7 |
| テレビ番組・映像コンテンツ | 23.0 |
| インフルエンサー(著名人)推奨 | 21.0 |
| 店頭プロモーション | 16.6 |
| ゲーム内広告 | 15.7 |
| ECサイトでのパーソナライズ推薦 | 15.7 |
これらのデータからは、台湾において新商品・ブランド認知を獲得するには、検索経路・広告配信・SNS活用・レビュー対策といった多面的なチャネル戦略が求められることが明確です。
マーケティング施策への示唆
- SEO×リスティング広告の組み合わせにより、検索経路での認知獲得を最大化
- SNS広告とSNSコメント施策を組み合わせて、バズ+信頼感の両面構築
- ブランド公式サイトを検索・広告導線の受け皿として整備(LP最適化、構造化対応)
- ECやアプリ、ゲームなど生活動線に溶け込む広告展開も今後重要に
台湾市場ではユーザー主導の発見(検索・SNS)と、受動的発見(広告・テレビ)とのバランスを取ったチャネル設計が重要となります。次章では、これらのチャネルで認知された商品やブランドを、ユーザーがどのように「調べるか」に焦点を当てて解説していきます。
商品・ブランドを何を通じて調べるか
台湾のインターネットユーザーが新たに関心を持った商品やブランドについて情報を調べる際には、検索エンジンを中心とした多様なオンラインチャネルが活用されています。GWIの2025年2月時点のデータによると、「検索エンジン(64.7%)」が圧倒的に利用されており、次いで「ソーシャルネットワーク(43.0%)」「レビューサイト(41.7%)」 と続きます。
| チャネル | 利用率(%) |
| 検索エンジン | 64.7 |
| ソーシャルネットワーク | 43.0 |
| レビューサイト | 41.7 |
| ブランド・製品の公式サイト | 37.2 |
| 価格比較サイト | 35.1 |
| 掲示板・フォーラム | 27.2 |
| クーポン・割引サイト | 25.2 |
| ブランド・製品に関するブログ | 19.4 |
| モバイルアプリ | 17.7 |
| 動画サイト | 16.2 |
| 専門レビューサイト | 13.2 |
| メッセンジャーサービス | 12.4 |
| Q&Aサイト | 10.5 |
| Vlog | 9.3 |
| マイクロブログ | 8.3 |
このデータからは、台湾ユーザーの「検索行動ファースト」な特性と、レビューやSNSによる多面的な情報収集志向が明確に見て取れます。
マーケティング施策への示唆
- 検索結果の上位表示を狙うSEO対策、およびGoogle広告を含むSEM運用が極めて重要
- ブランドサイトの情報構成をFAQ形式やスペック比較、価格情報などに強化し、調査行動に寄り添った構造に
- SNS運用では投稿にレビュー引用や第三者評価を組み込み、ユーザーの信頼獲得につなげる
- 比較サイトやクーポン系メディアとの連携を通じて、価格・価値訴求の強化も有効
台湾市場では、情報を「調べて納得してから購入する」という慎重かつ自律的な消費者像が強いため、正確で信頼性の高い情報発信チャネルの整備と、比較検討を意識した設計が求められます。
デバイスの比率(PC・スマートフォン・タブレット)
台湾におけるWebトラフィックは、依然としてスマートフォン中心であるものの、PC(ノートPC・デスクトップ)の利用比率が年々増加しており、2025年時点では両者が拮抗する構図となっています(出典:We Are Social / Meltwater, 2025年2月)。
以下は、各デバイスから発生したWebトラフィックの割合です:
| デバイス | シェア率(%) | 前年比増減(%) |
| スマートフォン | 50.23 | -2.4 |
| PC(ノート・デスクトップ) | 43.25 | +2.9 |
| タブレット | 6.50 | 変化なし |
| その他デバイス(ゲーム機等) | 0.02 | -33.3 |
スマートフォンが主流ではあるものの、PCからのアクセスが急上昇している点は注目に値します。これは在宅勤務やeラーニングの定着、BtoB用途の拡大、あるいは複雑な情報収集・比較検討の場面でPCの操作性が好まれていることが背景にあります。
一方で、タブレットやその他のデバイス(ゲーム機・スマート家電等)からのアクセスは限定的で、主なトラフィック源にはなっていません。
マーケティング施策への示唆
- スマホファーストを維持しつつ、PC画面でのUX・UI最適化も同時に進めることが必須
- 資料請求や比較表、長文LPなどはPC利用ユーザーに向けた設計が有効
- タブレットは教育・医療・高齢者市場など一部業種での最適化を視野に
今後の台湾市場では、モバイルとPCのハイブリッド対策を標準とし、状況に応じたデバイス別体験設計が成果を分ける要素になると見込まれます。

まとめ

本レポートでは、台湾市場におけるデジタルマーケティングの主要トレンドを、SNS利用動向・検索行動・ブランド認知チャネル・デバイス利用比率の観点から整理してきました。
過去からの推移と現状の要点
- SNS利用率は引き続き高水準:LINE・Facebook・Instagramが主軸。ショート動画やメッセンジャーも堅調。
- 検索行動がマーケティングの中心:ブランド発見にも調査にもGoogle中心の検索行動が根付いている。
- ユーザーは能動的に調べ、比較し、納得して購入する傾向が強く、レビュー・価格比較・SNSコメントの影響力が高い。
- デバイスはスマホが主流ながらPCが急増中:特に情報収集・購入検討フェーズではPC需要が上昇中。
今後の動向とマーケティング対策
- モバイル&PC両軸でのWeb施策最適化が不可欠。スマホファーストだけでなく、PC用LPや資料導線も強化。
- SEOとSNSを統合した施策設計が鍵。検索流入の強化に加え、SNSでの再認知・拡散導線がCVRを押し上げる。
- 信頼性の担保がブランド選定の分かれ目に:レビュー、第三者比較、Q&A対応などを強化し、ユーザーの不安払拭に寄与。
- ローカル特化とグローバル対応のバランス:繁体字最適化に加え、英語やビジュアル中心の情報発信で若年層・インバウンドも意識。
台湾は成熟した消費者と高いデジタルリテラシーを持つ市場であり、チャネルごとの特性と利用フェーズを捉えた統合的戦略が求められます。今後の成長を見据え、検索×SNS×レビュー×デバイス最適化の四軸を基盤に、マーケティング施策の再構築を図ることが競争優位の鍵となるでしょう。


