イタリアのデジタルマーケティングトレンド2022(Web/SNS事情/EC、マーケット傾向分析)

イタリアはヨーロッパ南部に位置し、地中海に面する国です。日本でもイタリアン料理が人気であることなどから、かなりイタリアの文化に親しみを持つ方も多いのではないでしょうか。そんな日本にとっても注目度の高いイタリアを今回は掘り下げ、同国におけるデジタルマーケティングの概況についてご紹介していきます。

イタリアの概要

イタリアはヨーロッパに位置し、国土面積は30.2万平方キロメートルと日本の約5分の4の大きさを持つ国家です。人口は2022年1月時点で6032万人でした。この人口は2021年から2022年の間で10万人(- 0.2%)減っていて、近年は減少傾向にあります。

また、イタリアの公用語はイタリア語であり、国民の大半がイタリア語を話しますが、地域によってドイツ語やフランス語など少数言語が存在します。宗教については、キリスト教(カトリック)が国民の約80%を占めると言われています。

国全体のGDPは18,910億ドルで、一人当たりの名目GDPは31,707ドルです。直近5年の数値は以下の通りです。

2018年2019年2020年2021年2022年※
各目GDP(10億ドル)2,092.882,011.511,891.062,101.282,058.33
各目GDP(10億ユーロ)1,771.391,796.631,656.961,775.441,846.91
一人当たりの各目GDP(ドル)34,917.5833,627.8831,707.0835,472.8334,777.09
一人当たりの各目GDP(ユーロ)29,553.8530,035.6727,781.9929,972.1531,205.00
経済成長率(%)0.90.5-96.62.3
物価上昇率(%)1.2430.634-0.1451.9415.297
失業率(%)10.6259.8929.3429.5429.3

※2022年の数値はIMFによる2022年4月時点の推計 

出展:IMF – World Economic Outlook Databases(2022年4月版) 

イタリアのデジタルマーケティング概況

続いてイタリアにおけるデジタルマーケティングを支えるインターネット環境について、紹介します。イタリアのインターネットユーザー数は5085万人で、総人口の84.3%の人がインターネットを利用できる環境にあります。インターネットユーザーの数は増加傾向にあり、同国のユーザー数は2021年から2022年の間に、86万8千人(+1.7%)の増加が見られました。

また現在、イタリアでオフライン環境にある人は946万人と見られており、これは人口の15.7%に当たります。ちなみにイタリア人の1日あたりのインターネット利用時間は、平均で6.09時間にのぼり、昨年比では13分(−3.4%)減りました。しかしテレビを視聴している平均時間が3.12時間、ラジオの視聴時間が1.09時間であることを考えると、イタリアではインターネットが1番身近なツールとなっていることが分かります。

イタリアにおけるSNSユーザー数

次に、イタリアにおけるSNSユーザーの数を見ていきましょう。イタリアでは現在、4320万人のSNSユーザーが存在し、全人口の約71.6%がソーシャルメディアを活用しています。

SNSユーザー数は2021年から2022年の間に220万人(+5.4%)増加していて、年々イタリア人にとってSNSは生活に欠かせない存在となりつつあります。

1日あたりの平均利用時間は1.47時間で、前年よりも約4.5%減少しています。

対象SNSユーザー数
Facebook2,855万人
Youtube4,320万人
Instagram2,750万人
Tiktok1,330万人
Messenger1,750万人
LinkedIn1,600万人
Snapchat320万人
Twitter375万人
引用:Meta,Google,Twitter,Tiktokなど各社のオープンデータ
対象SNS1カ月に利用する割合
Whatsapp90.8%
Facebook78.6%
Instagram71.4%
Facebook Messenger51.1%
Telegram45.3%
TikTok28.9%
Twitter28.2%
LinkedIn27.6%
Pinterest27.6%
Skype24.3%
IMessage13.2%
Snapchat9.7%
Discord9.0%
Reddit7.6%
Tumblr6.1%
引用:GWI.com

Facebookのユーザー数

世界的に圧倒的なユーザー数を誇り、SNS随一の人気を集めるのがFacebookです。イタリアでも2022年初頭で2855万人と多くのユーザーを抱えています。インターネットユーザーの半数以上がFacebookを利用していることが分かります。

また2022年の開始時点で、イタリアにおけるFacebookの広告リーチは総人口の47.3%に達しており、さらに13歳以上のFacebook利用対象ユーザーに限定すると、そのリーチ数は53.0%となります。Facebookは男女ともに支持されており、イタリアでも有名なSNSと言えます。幅広いユーザー層に利用されて、コンテンツが非常に多様であることがFacebookの魅力の一つと思われます。

Youtubeのユーザー数

世界的動画共有プラットフォームであるYoutubeは、イタリアにおいても多くのユーザーに利用されています。イタリア国内でのYoutubeのユーザー数は4320万人で、Facebookよりも多くのユーザーを抱えています。2022年の広告リーチ率は、イタリアの総人口比で71.6%でした。

またインターネットユーザーに限定すると、そのリーチ数は84.9%と高く、YouTubeはイタリアを対象とするデジタルマーケティングに重要なサービスと言えるでしょう。

Instagramのユーザー数

続いては、Instagramです。イタリアではユーザー数が2750万人と、Facebookと同じくらいのユーザー数を持ちます。広告リーチ数は総人口の45.6%であり、インターネットユーザーに限定すると54.1%となっています。また、イタリアにおけるInstagram広告利用者の男女比は、男性が49.4%、女性が50.6%と男女差はほぼないと言えます。

TikTokのユーザー数

ByteDanceが運営する中国発のSNSとして世界的な人気を誇るTikTokは、イタリアでも利用者が増えています。2022年時点で18歳以上の1330万人のユーザーを同国で抱えており、TikTokは若者を中心に人気を得ています。

またByteDanceが発表する、成人に到達したイタリア全体への広告リーチ数は、全体の26.1%に及びます。年齢に関係ない、インターネットユーザーに限定した場合、その割合は26.1%です。

Facebook Messengerのユーザー数

アジアと違って、ヨーロッパ市場には、Whatsappが最も普及しているコミュニケーションアプリだという印象があります。それにしたがって、Messengerユーザー数が少なめになる理由の一つであるでしょう。

Facebookユーザー同士がリアルタイムでメッセージのやりとりを行えるFacebook Messengerは、イタリア国内にて1750万人の人々に広告がリーチしています。総人口で見ると、全体の32.5%にあたる数字で、インターネットユーザーに限定すると、34.4%にリーチしています。

LinkedInのユーザー数

ビジネス特化型SNSであるLinkedInは、イタリアにおいて1600万人の登録ユーザーを獲得しています。広告のリーチ数は、総人口比で26.5%、インターネットユーザーに限定して31.5%です。

ビジネス向けのSNSであるにもかかわらず、LinkedInは普通よりかなり多くのユーザー数を抱えていると言えます。

Twitterのユーザー数

日本では老若男女問わず、圧倒的なユーザー数を誇るTwitterですが、イタリアのユーザー数は375万人と、他のSNSと比較するとユーザー数はかなり少なめです。広告リーチ数は総人口の7.0%、インターネットユーザー全体の7.4%と、デジタルマーケティングによる幅広いアプローチには若干不向きと言えるでしょう。

検索エンジンシェア率

続いて、検索エンジンのシェアを見ていきます。イタリアで最も利用されている検索エンジンは、94.67%で圧倒的にGoogleです。そのほかBingが3.33%、Yahoo!が1.25%と続きますが、ほとんどのイタリア人はGoogleを利用しているということになります。

検索エンジンシェア率前年比
Google94.67%-0.8%
Bing3.33%+7.8%
Baidu0.01%0
Yahoo!1.25%+43.7%
YANDEX0.06%+100%
DUCKDUCKGO0.36%+44.0%
ECOSIA0.21%0
その他0.11%+57.1%
引用:Statcounter

新しい商品・ブランドを何で最初に知るか

イタリアの人々にとって、最も新たな商品やブランドとの接点となっているのは、検索エンジンです。42.6%の人々が検索エンジンを通じてこれらのコンテンツを発見しています。その他には、35.6%の人がTV広告、31.6%の人々が小売サイトで知ると回答しています。下記の表を見ると、インターネットだけでなく、従来のマスメディア広告が最近でも新たな商品・ブランドを知る接点になっていることが分かります。

検索エンジン42.6%
TV広告35.6%
小売サイト31.6%
口コミ30.7%
商品比較サイト25.7%
ブランドウェブサイト24.2%
消費者レビューサイト24.2%
商品サンプル23.4%
ソーシャルメディア広告22.2%
店内展示・プロモーション19.8%
ウェブサイト内広告19.7%
テレビ番組・映画16.4%
企業からのメール・レター15.7%
パンフレット・カタログ15.2%
印刷広告14.2%
引用:GWI.com

商品・ブランドを何を通じて調べるか

続いて詳しい商品情報をどのような手段で調べるかについてです。イタリアでは、検索エンジンやお客様レビュー、価格比較サイトで調べる人が多く、59.8%が検索エンジン、37.9%が消費者レビュー、33.5%が価格比較サイトと回答しています。この結果から、イタリアでは何かを調べる際に検索エンジンやウェブサイトの利用が目立つことが分かります。

検索エンジン59.8%
お客様レビュー37.9%
価格比較サイト33.5%
SNS31.0%
ブランドサイト29.3%
専門家のレビューサイト22.4%
クーポンサイト18.8%
Q&Aサイト18.1%
ビデオサイト14.7%
フォーラム&メッセージボード13.8%
ブランド・商品のブログ12.1%
モバイルアプリ9.1%
メッセージ&ライブチャット7.0%
VLOGS6.3%
ミニブログ5.1%
引用:GWI.com

デバイスの比率(PC・スマートフォン・タブレット)

ウェブトラフィックのシェアは下記のようになっています。

デバイス流入シェア前年比
スマートフォン47.37%+7.1%
デスクトップ50.49%-5.3%
タブレット2.11%-10.2%
その他0.04%-50.0%
引用:Statcounter

まとめ

今回はイタリアのデジタル環境やデジタルマーケティング施策に関して、概要をご紹介していきました。イタリアはインターネットの普及が進んでいるものの、まだSNSが広く浸透しているとは言い切れません。

しかし他のメディアよりもインターネットが利用されることが多く、インターネット自体はイタリア人にとって日常的に欠かせない存在となっています。ぜひイタリアでのデジタルマーケティングを行う際は、今回の記事を参考にしてみてください。

この記事を書いた人

野口慎平

GDX 事業責任者 兼 UDX株式会社ゼネラルマネージャー。
新卒で大手外資系総合コンサルティングファームにビジネス&テクノロジーコンサルタント職として就職。2016年よりプルーヴ株式会社に法人営業職として入社。慶應義塾大学理工学部・同大学院 理工学研究科電子工学修了。
海外SEOとマーケティングオートメーションを軸としたデジタルマーケティングを得意とする。
Salesforce Pardot甲子園2021優勝

取得資格:
応用情報技術者、IPAプロジェクトマネージャ、上級ウェブ解析士、IoTコーディネーター取得
Salesforce認定アドミニストレーター