「ハラルフード」とは?イスラム教徒の食事ルールについて

ハラル食品

「ハラルフード」とは、イスラム教で食べることが許されている食事のことです。今回は、イスラム教の考え方や具体的なハラルフードの例を取り上げて、ハラル認証や日本国内でのハラルフードの現状について紹介いたします。

ハラルフードとは?

イスラム教において食べることが許されている食品や料理のことをハラルフードと呼びます。「ハラル(ハラール)(英語:halal、アラビア語:حلال Halāl)」とは、アラビア語で「許されている」という意味があります。その反対語となる「ハラム(ハラーム)」は「禁じられている」という意味です。イスラム教では、生活におけるあらゆる物や行動などに戒律があり、食べ物に関しても厳しく定められています。
「ハラルフード」には細かい決まりごとがたくさんあります。それらをすべて覚えるのは非常に難しいため、「(ハラル)許されているもの」ではなく、「ハラム(禁じられているもの)」は何かを知っておく方が簡単です。特に代表的なのが「豚肉」と「アルコール」。これらは全面的に禁止されています。そのものを食べなければ良いというような単純なものではなく、豚から派生したすべてのもの、および豚と接触した食品もすべて禁忌とされているのが注意点です。

注目の背景

今、ハラルフードが注目されています。その背景は一体どのようなものでしょうか。ここからは現在ハラルフードが注目されて、重要視されている背景について説明いたします。

  • 世界的なイスラム人口の増加

ハラルフードが注目されている背景には、世界的なイスラム人口の増加が挙げられます。米調査機関ピュー・リサーチ・センターによると、2050年にはイスラム教徒の人口は27億6千万人(29.7%)となり、キリスト教徒の29億2千万人(31.4%)に人数と比率で急接近すると予想されています。国別の訪日外国人数のトップ10にも、世界最大のイスラム人口を持つ国インドネシアがランクインしています。世界規模でイスラム人口が増加し、日本国内でも、イスラム圏からの訪日客も増えると予想されています。

参考:ピュー・リサーチ・センター

食事ルール

今注目されているハラルにおける、食事ルールについて説明していきます。なお、ハラルとハラムについては、国、地域、学派、個人によって解釈が異なる場合がありますが、ここでは主な食べ物の例を挙げることといたします。

ハラムの食品例(禁じられている食品)

ハラムとして禁じられている食品には、豚肉、イスラム法に則って処理がされていない食肉、アルコール、血液などが代表的です。
豚肉はよく知られていますね。イスラム教では、豚肉は副産物を含めて厳しく禁じられています。例えば、豚肉そのものという単純なものだけではなく、豚肉の加工品、豚を原料とした食品添加物、豚が含まれた餌を食べた家畜もハラムとみなされます。
牛や鶏でも、イスラムの教えにしたがって屠畜・加工されていなければ、ハラムになります。例えば、死んだ動物の肉や、解体前に血抜きがされなかった家畜などが該当します。
アルコールについては、酔っ払うことの危険性や害から、ハラムとされています。飲料や料理で用いるアルコールを避ける人は多いですが、ここ最近利用する機会の多くなった手指消毒用のアルコールまでは避けない人が多いとされています。ただし、発酵過程でアルコールが自然に醸造されるものについては、厳しく規制するべきという人がいる一方で、一定の濃度を超えなければ問題ないという考えの教徒もいます。
豚やアルコール以外にも、肉食動物や爬虫類、昆虫類、水中でも陸上でも生きられるカエルやカメ、カニなどもハラムに該当します。これらの副産物も同様にハラムであり、食べることが禁じられています。

ハラルの食品例(許されている食品)

ハラルは、ハラム以外のものとして考えれば基本的には良いのですが、こちらで詳しく説明いたします。ハラルの食品例には、野菜、果物、穀物(米、小麦など)、魚介・海草類、豆類、牛乳、卵、イスラム教の方式にしたがって屠畜・加工された動物が挙げられます。
ハラルフードの見分け方として、「ハラル認証」というものがあります。ハラル認証を受けるには、食べることを禁止されている食品を使っていないかだけでなく、生産過程で豚の成分が入った器具を使っていないかなど、厳格な検査があります。イスラム教徒にとってハラル認証は、日本などのハラルに対応していない国における店選びの目安となっています。

日本の事例

現在、日本国内で生活しているムスリムの人口は10~20万人います。日本で暮らしているイスラム教徒は、ハラル認証を受けた飲食店で食事したり、ハラルフードを取り扱う卸売業者から食品を調達したりしています。先でも述べたように世界のイスラム教徒人口が増えていくと予測される中で、日本に暮らすイスラム教徒や観光客もこれから増加すると考えられています。そこで、日本でもハラル対応の飲食店やハラルフードショップが増えてきています。

成田国際空港

成田国際空港では、ハラル専用キッチン付きレストランや礼拝室の設置がされています。2014年以降、イスラム教徒の利用客向けサービスや受け入れ整備の拡充を進めています。また、成田国際空港にあるガイドブック「MUSLIM VISITORS」ではこうしたハラルに対応しているレストランや、ケータリングサービス、礼拝室の場所などがまとめられています。空港内のお土産店でもハラルの対応をすすめる動きがあり、成田国際空港の土産店ではハラル認証取得の米菓子を販売しています。

新潟、富山、長野によるイスラム教徒専用の公式サイト

2015年、観光庁の「訪日ムスリム外国人旅行者の受入環境整備等促進事業」の実施地域として、新潟県の糸魚川市と上越市、富山県の朝日町、長野県の小谷村、白馬村、大町市が選ばれました。北アルプス日本海広域観光連携協議会が中心となり、ムスリムセミナー、料理教室の開催、礼拝環境整備、ムスリム専用ホームページの作成といった、訪日ムスリム客受入の知識の習得と環境整備を行ってきました。例えば、飛騨高山ムスリムフレンドリープロジェクトでは、平成28年6月からムスリム向け観光パンフレット(英語) 配布しています。パンフレットにはムスリムの受け入れが可能な施設情報などが掲載されており、食材情報などを示すピクトグラムや、ムスリム受入可能施設であることを示す店頭表示もされています。

参考:https://www.city.takayama.lg.jp/shisei/1005322/1014602/1007493.html

業務スーパー

日本全国に850店舗以上ある業務スーパーですが、安価で商品の質も評判で、日々多くの日本人客や飲食店が仕入れのために通っています。そんな業務スーパーは、2009年からハラール商品を扱い始めて、2012年から本格的にハラール商品を全国で販売するようになりました。現在は100種類以上のハラール商品を扱っています。業務スーパーには社員にもムスリムスタッフがいるそうで、日々ムスリムの意見を取り入れながら商品選定などを行っています。
参考:https://www.gyomusuper.jp/item/list.php?gc_id=56

まとめ

今注目されているハラルフードについてご紹介いたしました。これからさらにイスラム教徒が増えていくと見込まれる中、そしてグローバル化に対応するためにも、ハラルフードだけに限らずさまざまな宗教や文化への理解を深めていく必要があります。また、今回のテーマであるハラルフードを考える上では、イスラム教徒にとって食べ物とは、ただの好き嫌いの問題ではなく、ハラルではないものを食べることは罪になり、神に反くということになるということです。

まずはこの考え方をよく理解する必要があります。こういった文化があることを真摯に受け止め、配慮していく必要があるでしょう。

この記事を書いた人

野口慎平

GDX 事業責任者 兼 プルーヴ株式会社事業開発部シニアマネージャー。
新卒で大手外資系総合コンサルティングファームにビジネス&テクノロジーコンサルタント職として就職。2016年よりプルーヴ株式会社に法人営業職として入社。慶應義塾大学理工学部・同大学院 理工学研究科電子工学修了。
海外SEOとマーケティングオートメーションを軸としたデジタルマーケティングを得意とする。
Salesforce Pardot甲子園2021優秀賞受賞

取得資格:
応用情報技術者、IPAプロジェクトマネージャ、上級ウェブ解析士、IoTコーディネーター取得
Salesforce認定アドミニストレーター