サウジアラビアのデジタルマーケティングトレンド2025(Web/SNS事情/EC、マーケット傾向分析)

サウジアラビアは中東地域における急成長中のデジタルマーケットの一つであり、スマートフォン普及率やSNS利用率の高さから、多くの企業が進出先として注目しています。特にビジョン2030に向けた経済改革に伴い、オンライン経済の急拡大が見込まれる中、正確なユーザー行動の把握とチャネル戦略の最適化が不可欠です。 

本記事では、最新統計データをもとに、サウジアラビアのWeb利用・SNS普及状況・検索動向・広告施策について詳しく解説し、今後のマーケティング戦略のヒントを提示します。 

サウジアラビアとは

サウジアラビアは中東地域最大の経済国であり、国家主導の経済改革プログラム「ビジョン2030」に基づいて、脱石油・デジタル経済化を急速に進めています。その一環として、通信インフラの高度化や教育・行政分野のデジタル化が進展しており、国民のデジタルリテラシーも世界的に高水準です。 

基本統計

指標 数値 出典 
総人口 約3,500万人 World Bank(2024) 
インターネット普及率 99.0% SG Analytics(2024) 
ソーシャルメディア利用率 99.6% DemandSage(2024) 
平均SNS利用時間(1日あたり) 3時間6分 DataReportal 2024 

デジタル化の進展背景 

サウジアラビア政府は「Smart Government」や「NEOM」構想を通じて、スマートシティ・5G普及・eGovernmentなどの施策を強力に推進。通信企業STC(Saudi Telecom Company)の支援のもと、国内の5Gカバレッジは2023年時点で75%以上に達しており、都市部のほぼ全域で高速通信が利用可能となっています。 

また、国民の約70%が35歳未満という若年構成も、SNSやモバイルファーストな情報接触行動を支える重要な要因となっています。 

デジタルマーケティング概況

2025年時点のサウジアラビアは、デジタル先進国として中東地域をリードする存在です。インターネットの普及率は**99.0%に達し、総人口3,430万人に対して約3,390万人がオンライン環境を利用しています。さらに、SNSユーザー数は3,410万人(人口比99.6%)**と、世界的にも極めて高い水準を記録しています。 

成長を続けるモバイルファースト市場 

携帯電話回線の契約数は4,810万件で、人口比140%と1人あたり1.4台を保有する計算になります。これは、スマートフォンを中心としたモバイルファーストな消費行動が定着している証拠です。特に都市部では5G通信の普及により、動画コンテンツやEC、モバイル決済の利用が急拡大しています。 

都市化と若年層による高いオンライン依存 

サウジアラビアは都市化率**85.3%**と都市生活が中心で、デジタルサービスとの接点も豊富です。加えて、国民の約70%が35歳未満という若年人口構成が、SNSや動画配信、インフルエンサー経由の購買行動を強く後押ししています。 

SNS利用者数は微減も、依然として高水準 

2025年はSNSユーザー数が前年比で約98.4万人減少(-2.8%*したものの、これは調査基準の変更や重複アカウントの整理による影響が主因と見られます。利用者全体の規模や接触頻度は依然として高く、特に動画・短尺コンテンツに対するエンゲージメントは上昇傾向にあります。 

サウジアラビアにおけるSNSユーザー数

サウジアラビアは、世界でも有数のソーシャルメディア利用率を誇る国です。​2025年3月時点での主要SNSプラットフォームのユーザー数は以下の通りです。​ 

SNSプラットフォーム利用率(%)推定ユーザー数(万人)
WhatsApp86.3%2,926万人
Instagram76.6%2,598万人
TikTok75.8%2,571万人
Snapchat71.8%2,433万人
X(旧Twitter)68.7%2,330万人
Telegram65.4%2,218万人
Facebook57.0%1,932万人
Messenger40.7%1,381万人
Pinterest29.5%1,000万人
LinkedIn25.5%865万人
iMessage20.8%706万人
Threads10.0%339万人
Skype9.6%325万人
LINE8.9%302万人
Reddit7.4%251万人

※オンライン環境を利用する約3,390万人に対する割合で計算しています。 

このように、サウジアラビアでは複数のSNSプラットフォームが高い利用率を示しており、特にFacebook、YouTube、TikTok、Snapchatなどが広く利用されています。​これらのプラットフォームを活用したマーケティング戦略が、同国でのブランド認知や顧客獲得において重要な役割を果たすと考えられます。 

SNSプラットフォームの利用率

順位 プラットフォーム 月間利用率(%) 
1位 WhatsApp 86.3% 
2位 Instagram 76.6% 
3位 TikTok 75.8% 
4位 Snapchat 71.8% 
5位 X(旧Twitter) 68.7% 
6位 Telegram 65.4% 
7位 Facebook 57.0% 
8位 Messenger 40.7% 
9位 Pinterest 29.5% 
10位 LinkedIn 25.3% 
11位 iMessage 20.8% 
12位 Threads 10.0% 
13位 Skype 9.6% 
14位 LINE 8.9% 
15位 Reddit 7.4% 

この一覧表は、サウジアラビア国内の16歳以上のインターネットユーザーを対象に、各SNSの月間利用率(2025年2月時点) を示したものです。 

各SNSプラットフォームの特徴とマーケティング活用法 

1. WhatsApp

特徴・利用理由

  • 高い開封率・即時性:メッセージ開封率は98%超とメールやSMSを大きく上回り、顧客との1対1コミュニケーションが効率的。
  • Business APIの多機能性:チャットボット、自動リマインダー、カタログ連携、支払い機能(WhatsApp Pay)などをAPI経由で統合可能。

具体的マーケティング事例

  • SPL(Saudi Post):WhatsApp Businessプラットフォームにより、問い合わせ対応を“デジタルアシスタント”化。
    • コールセンター待ち時間を50%削減、90%の顧客がWhatsAppだけで解決、応答速度を30%高速化。
  • Qoyod(会計ソフト):WhatsApp API導入後わずか3カ月で売上を2倍に。カタログ送付や見積返信の迅速化が寄与。
  • 旅行・観光業:ConnectSaudi事例では、自動メッセージ/予約確認/多言語チャットボットで24時間サポートを実現し、顧客満足度と予約完了率を大幅向上。

2. Instagram

特徴・利用理由

  • ビジュアル重視+ショッピング機能:Feed/Stories/Reelsによる直感的な訴求と、Shop Nowタグによる“見る→買う”導線のシームレス化。
  • インフルエンサーとの親和性:Z世代・ミレニアル層の信頼が高く、UGCやマイクロインフルエンサー施策でエンゲージメントが向上。

具体的マーケティング事例

  • Visit Saudi(観光局):ポストコロナ観光誘致キャンペーンで、30名以上のクリエイターを5日間招聘し、現地体験コンテンツを大量生成。InstagramでのUGC投稿を通じ、国際的注目度を高めた。
  • インフルエンサー市場規模:2025年のサウジ内インフルエンサー広告市場規模は約9570万米ドル、ユーザー1人当たり約3.58ドル投下見込み。
  • 消費者行動調査:「SNS上でインフルエンサー経由で購入した」率は73%に及び、ブランドリフトや売上貢献に直結。

3. TikTok

特徴・利用理由

  • アルゴリズム駆動の短尺動画:潜在ニーズを掘り起こすレコメンド機能と、Z世代中心の強い没入体験。
  • 多彩な広告プロダクト:In-Feed Ads、TopView、Branded Hashtag Challenge、Spark Adsなど全ファネル対応。

具体的マーケティング事例

  • Mondelez Oreo:TikTokのMMM(マーケティングミックスモデリング)分析で、TikTok起点の広告が高いROASを生み、売上への寄与を可視化。
  • Shahid(動画配信):「Football Moves Us」キャンペーンで2×高い認知、2.8×高いメッセージ浸透、2.5×高い好意度を達成。
  • Shawarmer(飲食チェーン):In-Feed/Spark Ads/App Installなどフルファネル運用でアプリDL・取引を倍増、CPA削減に成功。

4. Snapchat

特徴・利用理由

  • ARレンズ/リアルタイム性:Snap ARを活用した没入体験が若年層の心を掴み、1日平均50回超起動される生活インフラ的存在。
  • 全画面/短尺広告の高エンゲージ:6秒スキップ不可のInterstitial Adsなど、注目度とリフト効果に優位性。

具体的マーケティング事例

  • Pepsi “Thirst for Music”:ARレンズでヒップホップ/K-pop振付体験を提供し、音楽キャンペーンと連動した独自コンテンツを拡散。
  • Dentsu MENA × Lumen研究:Snapの全画面フォーマットは長時間注視を誘発し、ブランドリコールと選択意向を大幅に向上。
  • RCU AlUla観光:Snap Ads+Story Ads+Commercial Ads+3種のTakeover同日運用で、ブランド認知+15pt、広告認知+7pt、リーチ1,340万を達成。
  • Xiaomi AR Lens:2.62Mユーザーリーチ、12.3Mインプレッション、平均9.32秒体験、行動意向+4pt、21–25歳+14pt向上。

5. X(旧Twitter)

特徴・利用理由

  • 速報性・拡散力:ハッシュタグトレンド、リアルタイム更新、公式認証アカウントによる高信頼情報発信。
  • コアファン層へのリーチ:メディア・テック・投資分野のインフルエンサーや意見リーダーが集う場。

具体的マーケティング事例

  • Samsung Galaxy Note9発表:ライブ配信+複数広告フォーマット併用でブランド認知を8%向上 。
  • Samsung×London Fashion Week:Promoted Trend&Amplify Sponsorshipsで32Mインプレッション、15M動画再生、広告想起率12%を達成 。
  • #SummerFlashSaleキャンペーン:ファッション小売がプロモートトレンドで2日間に50kツイート、エンゲージ率4.8%を獲得。

6. Telegram

特徴・利用理由

  • 高セキュリティ・匿名性:エンドツーエンド暗号化と匿名利用が支持され、政府や民間含む情報配信チャネルとして信頼感が高い。
  • チャンネル/グループ/ボット:大規模一斉配信+双方向Bot対話で、ニュースレター代替やコミュニティ運営に適合。

具体的マーケティング事例

  • SPA(Saudi Press Agency):2017年にペルシア語(Farsi)公式チャンネルをTelegram上に開設し、在留イラン系住民や投資家向け情報発信を強化。
  • Etidal×Telegram:過激派コンテンツ一掃の協力により3,616チャネルで8.5M件の削除を実施。ブランディングではないが、プラットフォーム健全化を通じた信頼醸成施策として注目。
  • コミュニティBot活用:金融・暗号資産分野で、限定ニュース配信やFAQ自動応答によるリード獲得を展開(事例多数)。

各プラットフォームは利用文脈ユーザー属性が大きく異なります。マーケティングを成功させるには、

  1. ターゲットの行動・ニーズ理解
  2. プラットフォーム特性に応じたKPI設定
  3. 最適クリエイティブ・フォーマット選定
  4. データドリブンなPDCAサイクル

を徹底し、オムニチャネルでROIを最大化してください。

WhatsApp Business
Rasayel Blog
Connectsaudi
influencer.com
sprinklr.com
Meltwater
TikTok For Business
TikTok
forbusiness.snapchat.com
Campaign Middle East
وكالة الأنباء السعودية
english.alarabiya.net

検索エンジンシェア率

2025年2月時点におけるサウジアラビアのWebブラウザ別トラフィックシェアを見ると、Google Chromeの独占状態が顕著に表れています。以下に、ブラウザ別シェアを表形式で整理しました。 

▼ ブラウザ別シェア(2025年2月・サウジアラビア) 

ブラウザ シェア(%) 
Chrome 73.95% 
Safari 19.35% 
Edge 2.25% 
UC Browser 1.54% 
Samsung Internet 1.29% 
Opera 0.80% 
Firefox 0.48% 
その他 0.34% 

※出典:We Are Social & Meltwater「Digital 2025: Saudi Arabia」 

Chrome圧倒的シェアの背景と戦略的影響 

  • モバイル普及率との相関 
  • サウジアラビアでは、スマートフォンの利用率が高く(モバイル接続が全人口の140%)、Android端末比率も大きいため、デフォルトで搭載されているChromeの使用率が圧倒的です。 
  • SafariのシェアはiPhoneユーザーの多さを反映 
  • Safariが約2割近くを占めていることは、比較的高価格帯のApple製品を使う層の多さを示しています。高所得層や都市部ユーザーにリーチしたいブランドはSafari経由のユーザー特性を把握すべきです。 

マーケティング戦略への示唆 

1. SEO対策はGoogle基準が鉄則 

Chromeユーザーの大半はGoogle検索を利用しているため、SEO施策はGoogleアルゴリズム最適化に集中すべきです。E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)をベースに、モバイル対応・高速表示・構造化データの実装が必須です。 

2. 検索連動型広告(SEM)におけるGoogle Adsの活用 

73.95%のトラフィックがChrome由来ということは、Google Adsによる検索広告が最大効果を生むことを意味します。キーワードマーケティングと地域ターゲティングを組み合わせた運用が鍵です。 

3. 高所得層向けにはSafari経由のユーザー特性に最適化 

Appleユーザーをターゲットとしたコンテンツは、UXやデザインの洗練性、Apple PayやiOSアプリとの親和性が重要視されます。ターゲットのライフスタイルに合わせたコンテンツ戦略が有効です。 

検索言語の傾向と対策【サウジアラビア編】 

サウジアラビアでは、公用語であるアラビア語が検索においても圧倒的な優位を占めていますが、同時に英語での検索ニーズも非常に高いのが特徴です。これは、以下のような多様な社会背景が影響しています。 

検索言語

言語 主な利用層 備考 
アラビア語 国民全体、地方ユーザー、政府関係検索 検索の約70〜80%を占める 
英語 ビジネス層、若年層、留学生、外国人労働者 検索の約20〜30%と推定される 

※出典:Google Trends、StatCounter、Saudi Arabia Digital Report 2025 より推定 

言語別検索行動の特徴 

アラビア語検索の特徴 

  • 日常生活・消費行動に直結する検索が多い(例:「レストラン」「医者」「車の修理」など) 
  • 地元ブランド、公共サービス、宗教関連キーワードが多く登場 
  • 地域密着型ビジネスではアラビア語SEOが絶対条件 

英語検索の特徴 

  • テクノロジー、教育、グローバルブランド、越境ECに関するキーワードが多い 
  • ビジネスや高等教育分野では英語での検索傾向が強い 
  • 多国籍企業や輸出入関連ビジネスにおいては英語コンテンツの併用が必須 

検索マーケティングにおける対策 

1. バイリンガルSEOの実施 

サウジアラビア市場では、アラビア語と英語の両方でWebサイトを最適化することが最も効果的です。とくに以下の要素は両言語で実装すべきです。 

  • タイトルタグ、メタディスクリプション 
  • Altテキスト(画像) 
  • パンくずリスト、URL構造 

2. 検索広告(Google Ads)での言語セグメント活用 

Google広告では、言語別にキャンペーンを分けることで、CPC(クリック単価)の最適化と、CV(コンバージョン率)の最大化が狙えます。 

  • アラビア語→地域密着の店舗・サービス広告 
  • 英語→高価格帯商品、教育、B2B商材、越境ECなどに強い 

3. モバイル向けローカル検索対策 

アラビア語検索の多くはスマートフォンによる「今ここ」での検索が多いため、GoogleマップやGoogleビジネスプロフィールにおける言語対応も重要です。 

新しい商品・ブランドを何で最初に知るか

サウジアラビアの消費者は、情報感度が高く、多様なチャネルを通じて新しいブランドや製品に接しています。2025年2月時点のデータ(We Are Social & Meltwater / GWI調査)によると、インターネットユーザーが新たなブランドを最初に認知する手段は以下の通りです。 

ブランド認知のきっかけランキング

順位 チャネル 認知率(%) 
検索エンジン(Googleなど) 33.1% 
ソーシャルメディア上のコメント 29.5% 
ソーシャルメディア広告 29.3% 
口コミ(Word of Mouth) 27.3% 
小売サイト 26.1% 
ブランド公式サイト 25.5% 
テレビ広告 23.8% 
一般的なWebサイトの広告 23.4% 
モバイルアプリ内の広告 21.0% 
10 パーソナライズされた商品推薦 20.7% 
11 ブランド自身のSNS投稿 20.5% 
12 店頭プロモーション 20.3% 
13 商品比較サイト 19.5% 
14 映画・テレビ番組 18.3% 
15 レビューサイト 18.1% 

チャネル別の特性と活用ヒント 

1. 検索エンジン(33.1%) 

もっとも多くの人が新商品を見つけるのは検索エンジン経由です。SEO・SEMの強化がコンバージョン率を押し上げる鍵になります。 

対策:アラビア語と英語での検索キーワード対策/商品LPへの流入導線の強化 

2. ソーシャルメディアのコメント・広告(29%台) 

コメントや広告は、エンゲージメントベースのマーケティングが求められる分野です。リアルな声とビジュアル訴求が響きます。 

対策:ユーザーとのUGC(ユーザー生成コンテンツ)活用/短尺動画広告やインフルエンサー起用 

3. 口コミ(27.3%) 

信頼の高い情報源として根強いのが口コミです。オンライン・オフライン問わず、人づての情報は購買意欲に直結します。 

対策:レビュー依頼キャンペーン/紹介プログラム導入 

4. 小売サイト・ブランドサイト(26.1% / 25.5%) 

自社ECやモール内ブランドページも初期接点として重要。正確な商品情報とUI設計が鍵を握ります。 

  • 対策:UI/UX改善と動線設計、リマーケティングの強化 

5. テレビ・動画広告(23.8%) 

依然として影響力が強いマスメディアですが、若年層ではデジタルとのクロスメディア戦略が重要です。 

対策:テレビ広告→SNS・YouTubeへの連携誘導が効果的 

商品・ブランドを何を通じて調べるか【サウジアラビア編】 

サウジアラビアの消費者は、ブランドや製品の検討時に多様なオンラインチャネルを活用しています。2025年2月時点の調査によると、インターネットユーザー(16歳以上)がブランドリサーチに利用している主な情報源は以下の通りです(出典:We Are Social / Meltwater / GWI, 2025年)。 

ブランド調査に利用するチャネルランキング

順位 チャネル 利用率(%) 
ソーシャルネットワーク 57.0% 
検索エンジン 51.9% 
モバイルアプリ 37.0% 
価格比較サイト 30.2% 
商品・ブランドの公式サイト 29.0% 
消費者レビューサイト 24.5% 
クーポン・割引サイト 23.4% 
動画サイト(YouTube等) 23.3% 
マイクロブログ 18.5% 
10 Q&Aサイト 17.2% 
11 ブランド・製品ブログ 16.8% 
12 メッセンジャーアプリ 15.4% 
13 フォーラム・掲示板 11.7% 
14 専門レビューサイト 11.6% 
15 Vlog(ビデオブログ) 11.4% 

サウジ市場で押さえるべき主要チャネル 

1. ソーシャルネットワーク(57.0%) 

もっとも多くのユーザーがSNS上で商品情報をリサーチしています。Instagram、Snapchat、X(旧Twitter)などが中心。 

対策:SNS広告・KOL起用・ライブ配信による製品紹介が有効。 

2. 検索エンジン(51.9%) 

SEO/SEM施策がリサーチ初期段階で重要です。検索広告やブランド指名検索の強化が必要。 

対策:英語+アラビア語でのキーワード対策と、モバイル対応ページの最適化。 

3. モバイルアプリ(37.0%) 

ショッピングや価格比較に使われるネイティブアプリの存在感も大きくなっています。 

対策:アプリ内広告出稿/自社アプリ内でのキャンペーン設計も検討。 

4. 価格比較・レビューサイト(30%前後) 

価格への関心が高く、価格比較サイトやレビューサイトでの最終確認が頻繁に行われます。 

対策:レビュー管理/サードパーティでの価格情報の一貫性確保がポイント。 

5. 動画・Vlog(23.3% / 11.4%) 

製品体験やレビュー動画がブランド検討の材料として重視されています。 

対策:YouTubeやTikTokなどでの「使ってみた」動画コンテンツの提供 

デバイスの比率

2025年2月時点におけるサウジアラビアのウェブトラフィックに関するデバイス別シェアデータによると、インターネットの閲覧手段としてスマートフォンが圧倒的に主流であることが明らかになりました(出典:We Are Social / Meltwater『Digital 2025』)。 

デバイス別シェア

デバイスカテゴリ シェア率 前年比変化 
モバイル(スマートフォン) 80.96% +2.2%(+177 BPS) 
ノートパソコン・デスクトップ 18.15% -7.7%(-152 BPS) 
タブレット端末 0.86% -20.4%(-22 BPS) 
その他(ゲーム機など) 0.04% -33.3%(-2 BPS) 

モバイル中心のトラフィック構成 

スマートフォンが主流(80.96%) 

スマホ経由のウェブアクセスが前年比+2.2%増加し、全体の8割以上を占有しています。この傾向は引き続き加速しており、あらゆるデジタル施策においてモバイルファースト設計が必須といえます。 

パソコン経由のアクセスは減少(18.15%) 

前年比-7.7%と大きく減少しており、特にコンシューマー向けサービスではPC依存の設計がリスクになる可能性があります。ただし、B2B領域や専門性の高い情報取得では依然PC経由が一定のニーズを持っています。 

タブレット・その他デバイスはさらに縮小 

タブレットは全体の1%未満にまで減少し、その他のデバイス(ゲーム機など)はほぼゼロに近づいています。開発・運用コストに対する優先度を見直す対象となるでしょう。 

マーケティングへの示唆と対策 

  • モバイルUI/UXの最適化:ページスピード、シンプルな構成、タップ操作しやすいデザインが重要。 
  • モバイル広告の強化:SNS広告、検索連動型広告、動画広告など、スマホに特化した配信戦略を設計。 
  • PCとモバイルの利用目的を分けた戦略:例えば、モバイルは情報収集/SNS、PCは申込や契約系などの行動に合わせた導線を作る。 
  • タブレット対応の最適化は二の次でOK:現時点ではROIを見極めて限定的対応で十分。 

まとめ|サウジアラビアのデジタル市場動向と今後の展望 

過去から現在までの推移と現状のポイント 

サウジアラビアは「中東で最もデジタル化が進んだ国」の一つとして、急速なインターネットインフラ整備とSNS普及を背景に、人口約3,430万人に対してインターネットユーザーが99%(3,390万人)という極めて高い普及率を誇っています(We Are Social / Meltwater 2025年データより)。 

  • モバイル接続率は人口の140%を突破し、デジタルへの依存度が年々高まっている。 
  • SNS利用率も99.6%と極めて高水準ながら、2024年から2025年にかけてはユーザー数が微減(-2.8%)しており、成熟フェーズに差し掛かっている兆しが見られます。 
  • 最も利用されているSNSはWhatsApp(86.3%)で、Instagram、TikTok、Snapchatなど視覚メディアが上位を独占しています。 

また、ウェブトラフィックの約81%がスマートフォンから発生しており、モバイルファーストの対応は今や前提条件となっています。PCからのアクセスは減少傾向にあり(前年比-7.7%)、B2C領域では特にスマホ対応がビジネス成否を左右する状況です。 

今後の動向予測 

今後、サウジアラビアでは以下のような傾向が加速すると予測されます: 

  • 動画×モバイル×SNSの三位一体施策が主流に 
    ⇒ TikTokやInstagram Reels、Snapchatを通じたショート動画マーケティングが鍵 
  • Z世代・若年層を中心としたUGC(ユーザー生成コンテンツ)型拡散の重要性増 
    ⇒ クチコミやハッシュタグキャンペーン、インフルエンサーマーケティングとの連携強化が必要 
  • 検索チャネルの二極化 
    ⇒ Googleなどの従来型検索に加えて、SNS内検索(特にInstagram・TikTok)経由で商品やブランドを探す行動が増加 
  • AIやチャットボットによる接客・問い合わせ対応の導入進展 
    ⇒ WhatsApp Business APIやInstagram DM連携などの活用が進むと予想される 

推奨マーケティング対策

領域 施策提案 
モバイル最適化 スマホページ高速化、縦長LP、チャットボット連携などUX強化 
SNS活用 TikTokやInstagramを中心に短尺動画とライブ配信施策を強化 
インフルエンサー連携 ローカルKOLやマイクロインフルエンサーとコラボした製品紹介やレビュー企画 
検索マーケティング SEOに加え、SNS内検索対策やハッシュタグ設計を併用 
データ連携とパーソナライズ Google Analytics+Meta Pixelなどを用いた動的広告配信、ABテスト実施 

サウジアラビア市場では、テクノロジーの進化とともに消費者の期待値も急激に高まっています。そのため、ただ情報を届けるだけでなく、「パーソナライズされた体験」と「参加型のコンテンツ」を提供する企業こそが、今後の競争優位を築くことができるでしょう。 

この記事を書いた人

GDXマーケティングチーム

海外デジタルマーケティングや海外のトレンド、デジタルマーケティングに役立つ情報を基礎的な部分から応用編まで発信しています。
様々な業界や施策に対応できるメンバーが揃っていますので、デジタルマーケティングでお困り事がありましたらお気軽にお問い合わせください。