インサイドセールスとは

インサイドセールス(オンライン営業)は相手先を訪問しない営業方法で、DM・メールやセミナー開催などの手段があります。コロナ禍には訪問営業が困難になったため、その代替策として急速に浸透しました。

そんなインサイドセールスは近年よく注目される手法ですが、具体的にどういった概念であるのか理解がしにくいところがありますよね。

それもそのはず、インサイドセールスとは専門的な概念で、マーケティングの一種なのです。

インサイドセールスとともにデジタルマーケティングという言葉もよく使われますが、デジタルマーケティングとは「あらゆるデジタルテクノロジーを活用したマーケティング」を指します。これと比べるとインサイドセールスはそれより限られた範囲を指すため、より具体的なものであることが分かります。

しかし、専門的な手法であるインサイドセールスはなぜここまで注目されるのでしょうか。

今回はインサイドセールスの概念と注目される理由について紹介します。

インサイドセールスとは

インサイドセールスは、客先に訪問せずにオフィス内で完結する営業のことです。

「コロナウイルス感染拡大によって存在感を増しているZoom/ベルフェイス、Sansan/Eight、Salesforce/Kintone、など。

これらのツールを使用した営業を「インサイドセールス」と呼ばれます。

インサイドセールスとは、「営業活動効率を向上する」ことを目的としています。」
(引用:https://www.provej.jp/column/inside-sales/#toc-l-3)

インサイドセールスの重要性

インサイドセールスは、国内ビジネスのみでなく海外ビジネスにおいても重要となっていくと考えられます。海外でもコロナ禍の大きな変化がもたらされているからです。例えば、従来では海外ビジネスを推進するには高頻度の海外出張を前提としていましたが、COVID-19により海外渡航が制限され、また海外現地でもソーシャルディスタンスが一般的になりました。海外ビジネスにおいても従来の進め方が通用しなくなっているのです。

今後は、デジタルの力を使って海外出張をせずに日本国内から海外事業を推進することが一般的になると考えられます。

プッシュ型営業とプル型営業

インサイドセールスには、プッシュ型営業とプル型営業があります。

プッシュ型営業は、自社が売り込みたいタイミングで営業することです。

プッシュ型営業

プッシュ型営業の例には、次のものが挙げられます。

✓ ターゲットリストに基づきテレアポ・メール

✓ ハウスリストに基づき顧客の掘り起こし

✓ 飛び込み対面訪問

✓ レターの送付

✓ 展示会に訪問し、出展企業と名刺交換を行う

プル型営業

プル型営業は、顧客が欲しいタイミングで営業することです。企業のブランド力とデジタル力に大きく依存します。また、行動が制限されるコロナ禍によってプル型営業の重要性は増し、プッシュ型からシフトする企業が増えています。

プル型営業の例には、次のものが挙げられます。

✓ Web経由からの問合せ

✓ 資料ダウンロード/資料請求依頼

✓ 展示会を出展し、訪問者の名刺を獲得する

✓ ウェビナー視聴者に連絡

プッシュ型営業・プル型営業を使い分けながらインサイドセールスを進めていくことが重要です。

インサイドセールスが注目される主な理由

インサイドセールスを採用するメリットは様々ですが、主に以下の理由から注目されています。

営業の効率化ができるから

インサイドセールスでは、優先度の高い企業を発見することが可能になります。相手の状態を把握することが可能だからです。具体的には、自社のインサイドセールスに対して積極的にアクションを起こしている企業を見つけることで、自社の供給と相手先の需要が合致していることを推測できます。直接の訪問では見えない部分を把握することが可能になるのです。

また、優先度の高い企業に対するアプローチも簡単になります。相手の状態を把握することで適切なタイミングでコミュニケーションを図ることができるためです。例えば、相手先が自社のインサイドセールスに対して起こしているアクションの種類を把握することで興味関心を計ることができます。そうして、適切なタイミングを狙ってコミュニケーションを取ることができます。

加えて、営業コスト自体が削減される点も営業の効率化につながります。訪問しない営業であるインサイドセールスでは、訪問する営業に比べて費用を抑えられます。例えば、訪問先への移動回数が減少し、それに伴う交通費や交際費の削減が可能になります。経費をあらゆる点で抑えることができるのです。

オンライン営業であるインサイドセールスは、オンラインの利点を活かすことで優先度の高い企業の発見・アプローチを簡単にし、また営業コストの削減も実現します。このように、営業の効率化をする点でメリットがあるマーケティング手法なのです。

生産性が向上するから

インサイドセールスでは多くの企業にアプローチができるため、生産性の向上が可能になります。より多くの見込み企業へアプローチすることができるからです。具体的には、多くの見込み企業へ電話やメールによって連絡を取ることができます。そうして、受注の可能性が高まるまで簡単にアプローチを続けることができます。

また、営業部門が少人数の場合においても効果的です。多くの相手先に訪問することなく営業が可能だからです。

オンラインで営業をすることは、多くの企業へアプローチすることを可能にします。そのため、生産性の向上が望めます。

営業がコア業務に集中できるから

インサイドセールスの担当がいることで、顧客への連絡・商談をすべて任せることができます。

そうすれば、営業担当は営業としての本来の業務に集中できます。例えば、資料作成・見積作成などの営業業務を、その他の仕事に手間を割くことなく進めることができます。それは残業の削減にもつながります。

インサイドセールスの設置は業務の分担につながり、結果的に人的コストを削減することができるのです。

営業コストを抑えながら顧客をつなぎ止められるから

インサイドセールスを使うことで、多くの見込み客に対して成約の可能性を簡単に上げることができます。営業コストが低いからです。例えば、見込みが高いリードを営業に流す一方で、見込みが低いリードに対しても電話やメールなどでアプローチを続けることができます。これによって、受注につながるリードを確保しつつ、反対に見込みが低いリードを受注につながる可能性が高まるまで繋ぎ止めておくことができます。

インサイドセールスはその営業コストの低さから、様々なリードの顧客層に対してアプローチを続けることで成約の可能性を高めます。

インサイドセールスのきっかけは米国のリーマンショック

アメリカでは、実は2008年のリーマンショックをきっかけにインサイドセールスが一気に広まりました。

アメリカの営業マンの悩みは国土の広さ

アメリカは国土が広いために、営業マンが客先に直接訪問すると非効率であることが問題でした。例えば、1つの営業をこなすために往復で10時間以上かかることが多く、一日に1,2件が限度なことが頻繁にあります。それに加え、時間だけでなく係るコストも膨大にかかってしまいます。こうしたことが、アメリカの営業マンの悩みの種でした。

インサイドセールスの普及

そのような背景から、デジタルマーケティングの技術発展を受けてインサイドセールスはアメリカで普及し始めました。

もともとはBtoCの低価格商材の営業から始まりました。代表例としては家庭向けテレフォンショッピングなどがあります。その後、徐々にBtoBの高額商材にも普及していきます。

リーマンショックにより、インサイドセールス市場が拡大した

このような流れを受けて普及を続けたインサイドセールスは、リーマンショックをきっかけにして急激に拡大しました。

リーマンショック後、時間やコストをかけず効率よく営業活動したいと考える企業が増え、インサイドセールスが次々と採用されることになりました。結果的に、2013年には営業人材の52.7%がインサイドセールスに割かれ、2017年度にはアメリカ国内のインサイドセールス市場だけで約3兆円規模に達しています。

インサイドセールスは、デジタルマーケティングの技術発展、効率性を求めた経済事情から、国土的な営業問題を抱えていたアメリカで広まったと言えます。

インサイドセールスにおける日本とアメリカの違い

徐々に普及を続けたアメリカに対し、日本はコロナ禍でインサイドセールスが当たり前になりました。

これまで日本においてインサイドセールスが普及しなかった理由として、日本では高度な鉄道網が発展していること、ウェットな対面営業が好まれるビジネス文化が長年続いていることが挙げられます。

インサイドセールスの成功事例

今後インサイドセールスが普及していくと見込まれる中、どのようにして活用していくべきでしょうか。

そこで、日本でインサイドセールスを成功させている企業を紹介します。

株式会社リクルート

電話対応・オンライン商談ツールの活用により、営業生産性を5倍に増やすことに成功。

(参考:https://www.comrades-incubate.com/blog/interview/recruite-knowbe)

式会社ビズリーチ

メールマガジンの活用やマーケティングオートメーションツール・Salesforceシステムの導入により、商談数を4倍に増やすことに成功。

(参考:https://seleck.cc/1161

株式会社ラクスル

テレマーケティングをアウトソーシングし、営業生産性を2倍に増加することに成功。

(参考:https://www.comrades-incubate.com/blog/interview/raksul-hacobell)

この記事を書いた人

野口慎平

GDX 事業責任者 兼 UDX株式会社ゼネラルマネージャー。
新卒で大手外資系総合コンサルティングファームにビジネス&テクノロジーコンサルタント職として就職。2016年よりプルーヴ株式会社に法人営業職として入社。慶應義塾大学理工学部・同大学院 理工学研究科電子工学修了。
海外SEOとマーケティングオートメーションを軸としたデジタルマーケティングを得意とする。
Salesforce Pardot甲子園2021優勝

取得資格:
応用情報技術者、IPAプロジェクトマネージャ、上級ウェブ解析士、IoTコーディネーター取得
Salesforce認定アドミニストレーター