「ウェブ解析士ってどんな仕事なんだろう」、「資格取得の流れや他のIT系資格についても知りたい」と考えている方も少なくないでしょう。
ウェブ解析士は、ウェブサイトを運営するにあたっての数々のデータを考慮しながら、問題の発見と対案の提案を重ねることで、事業内容を改善していく仕事です。
本記事を読むことで、ウェブ解析士の具体的な仕事や試験内容、その他のIT系資格について確認した上で、ウェブ解析士としてのキャリアについて考えることができます。
目次
ウェブ解析士とは
ウェブ解析士とは、ユーザーのアクセス解析をはじめとしたウェブデータ解析を利用して、デジタルマーケティングを通じて企業やクライアントの事業を成功に導く人材です。
ウェブサイトから得られる各種のデータを収集・分析することで、事業の問題点や強みを明らかにし、提案と事業内容の見直しを繰り返すことによって、マーケティング計画や事業全体を好転させていく仕事だといえます。
ウェブデータ分析からクライアントへの提案までがセットとなっている点が特徴です。
参考記事:https://web.icloud.co.jp/about/index.html
参考記事:https://www.waca.associates/jp/course/wac/
ウェブ解析とアクセス解析の違い
ウェブ解析とよく似た意味をもつ言葉に「アクセス解析」という言葉があります。ウェブ解析がウェブサイトのデータを使って事業を改善する仕事であるのに対して、アクセス解析はウェブサイトのデータを分析すること自体を指すという点に違いがあります。
アクセス解析で分析するデータは下記の通りです。
- 検索ワード
- セッション
- 広告効果(CPA・CVR率など)
- ページビュー
ウェブ解析では上記したアクセス解析のデータに加え、キーワード分析やSNS分析、お客様とのやり取りなど、事業全体のデータや進捗をチェックします。
ウェブ解析士の仕事内容
ウェブ解析士の具体的な仕事内容は、下記の5つのポイントにまとめられます。
- KPI(重要業績評価指標)を設定する
- 事業の改善に向けた計画を立案する
- 現状把握してレポートをとる
- サイトの改善に向けた施策を講じる
- 部門間の調整役として動く
仕事内容を確認して、ウェブ解析士として働く際のビジョンを明確にしましょう。
参考記事:https://www.kaonavi.jp/dictionary/kpi/#i
KPI(重要業績評価指標)を設定する
KPI(重要業績評価指標)を設定して、どのような成果(設定したアクセス数の増加や購買率の達成)を元に、マーケティングの成果をクライアントや会社の上司に報告するべきかどうかを検討します。よく使われるKPIの指標は受注率(購入率)や商談数などです。
KPIの数値をチェックしながら、マーケティングの成果のアップを目指します。
現状把握してレポートをとる
ウェブサイトのデータ収集をすることで、サイトの問題点を確認します。企業における重要性を考慮して、マーケティング施策の優先順位をつけていくという流れです。
改善に向けた計画を立案する
次にサイト内の問題の改善に向けた計画案を考えます。具体的には、ウェブマーケティング計画書を立案し、目標売上を達成するためのウェブ戦略を提案するのが仕事です。
サイトの改善に向けた施策を講じる
ウェブマーケティング計画書の内容に基づき、企業の経営戦略とマーケティング戦略とマッチした、適切なウェブマーケティング戦略を実施していきます。
ウェブマーケティング計画書の立案と実行を行った後は、実際にマーケティング戦略の効果が出ているのかどうかを確認して、その都度、改善案を提案しましょう。
企業や部門間の調整薬として動く
ウェブ解析士の仕事は、ウェブマーケティング計画を円滑に実行することです。ウェブマーケティングに対する認識の相違が生まれないように、企業間や部門間の調整役となり、ウェブマーケティング戦略の効率化をサポートする業務も仕事に含まれます。
ウェブ解析士には3つのレベルがある
一口にウェブ解析士と言っても、3つの段階があります。
- ウェブ解析士
- 上級ウェブ解析士
- ウェブ解析マスター
この章では、ウェブ解析士の資格レベルごとの仕事内容の違いについて確認しましょう。
参考記事:https://web.icloud.co.jp/about/index.html
参考記事:https://www.sungrove.co.jp/web-analyst/
1.ウェブ解析士
ウェブ解析士は、ウェブ解析のスキル・知識を証明できる最初のレベルの資格です。ウェブサイト解析と改善に向けた提案を行えます。ウェブ解析を行い、企業の一般業務において改善すべき点を提示し、最適なマーケティング施策をサポートできる資格です。
2.上級ウェブ解析士
上級ウェブ解析士の仕事は、ウェブサイト解析の手法を用いて改善に向けた計画案を提示するだけではありません。適切な解析データやグラフ・数字を用いながら、クライアントや企業の意思決定に直接コミットするような提案を行える資格です。
3.ウェブ解析マスター
ウェブ解析マスターは、ウェブ解析の手法を熟知し、自分で講座・セミナーを開講してウェブ解析についてレクチャーできるレベルのスキルや知識を証明する資格です。
将来的にはウェブ解析士を育て、外部でセミナーを開いてウェブ解析の専門家としての収入の柱を立てたいと考えている方におすすめの資格だといえます。
ウェブ解析士の試験内容とは
ウェブ解析士になるためには、ウェブ解析士認定試験に合格する必要があります。この章では、試験内容や難易度、資格取得にかかる費用感について確認しましょう。
出題内容
『ウェブ解析士認定試験のテキスト』によれば、ウェブ解析士認定試験に出題される内容は下記の通りです。
- ウェブ解析と基本的な指標
- 事業戦略とマーケティング解析
- デジタル化戦略と計画立案
- ウェブ解析の設計
- インプレッションの解析
- エンゲージメントと間接効果
- ウェブサイトの解析
- ウェブ解析士のレポーティング
ウェブ解析士認定講座の試験内容をテキストで学び、必要であればウェブ解析士認定講座も受講できます。認定試験はオンラインで実施される形式の試験です。
直近に実施された試験の合格率(難易度)
2022年に実施されたウェブ解析士認定試験の合格率は42.79%でした。受験者数215人に対して、合格者数は92名という結果が出ています。例年の傾向を見ると、合格率は40%〜50%を推移しており、難関資格ではありませんが、きちんと対策をしないと試験に不合格になってしまう可能性は十分に考えられる試験だといえるでしょう。
合格するまでにかかる費用・期間
ウェブ解析士認定試験に合格するまでに最低でもかかる費用は、公式テキストの教材購入費(4,400円)と受験費用(17,600円)で、合計22,000円です。ただし、任意のウェブ解析士認定講座(11,000円)を受講するなら、合計で33,000円の費用がかかります。
ウェブ解析士に合格するための勉強時間の目安は、ウェブ業界の経験者で1ヶ月〜1ヶ月半、未経験者で2ヶ月〜4ヶ月ほどの学習期間がかかると考えておきましょう。
ウェブ解析士の資格を取得する3つのメリット
ウェブ解析士の資格を取得するメリットは、以下の3つが挙げられます。
- マーケティングの知識がつく
- 資格保有をアピールできる
- 新たな可能性につながることもある
この章では、ウェブ解析士の資格取得を目指すべきメリットを確認しましょう。
マーケティングの知識がつく
ウェブ解析士の資格取得をすることで、自分のウェブマーケティングの知識をアピールできます。ウェブ解析士認定試験に合格すると、ウェブマーケティングの知識やデジタル化戦略・マーケティング施策の考案・実施スキルが身につくのが特徴です。
企業内でマーケティングを担当している方でも、クライアントワークをしている方でも、ベストなマーケティング施策の提案と実施ができるでしょう。
資格保有をアピールできる
ウェブ解析士の資格を保有していると、ウェブサイト解析のスペシャリストとしての資格保有をアピールでき、就職や転職の際に有利に働くケースも考えられます。また、一般社団法人 ウェブ解析士協会に問い合わせれば、マーケティングの仕事を紹介してもらえるケースもあります。資格取得で新しい仕事の獲得につなげたい方におすすめです。
新たな可能性につながることもある
セミナーや勉強会に参加することで、新しい出会いにつながることもあります。ウェブ解析士の資格の取得を目指す方は、ウェブマーケティング業界に飛び込んでいこうと考えている人たちなので、業界内の人脈づくりや仕事のきっかけを得るのには絶好の機会です。
ウェブ解析士の資格を取得するまでの流れ
ウェブ解析士の資格を取得するまでの流れは下記の通りとなっています。
- 公式テキストで勉強する
- ウェブ解析士認定講座を受講
- ウェブ解析士認定試験を受験
この章では、ウェブ解析士の資格取得までのルートを確認しましょう。
参考記事:https://www.waca.associates/jp/course/wac/
参考記事:https://www.sungrove.co.jp/web-analyst/
公式テキストで勉強する
まずは一般社団法人 ウェブ解析士協会のホームページから公式のテキストを購入するか、試験対策問題集などを購入して、試験に備えていきましょう。
ウェブ解析士認定講座を受講
ウェブ解析士認定講座を11,000円で受講して、ウェブ解析士認定試験に備えることもできます。5時間程度のカリキュラムで、テキストの内容を振り返ります。講座はオンライン開催となっており、随時開催しているので受講しやすいのがポイントです。
テキストの内容を定着させたいと考えている方は、利用してみるのがおすすめです。
ウェブ解析士認定試験を受験
試験日程を確認して、ウェブ解析士認定試験を受験します。オンライン形式の試験で、4択問題が50問出題されます。合否結果は、試験直後に発表される流れです。
2023年の試験は12月末まで実施されています。
ウェブ解析士以外のITに関連する主な資格
ウェブ解析士以外にも、IT関連でおすすめの資格はあります。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
- 情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)
- プロジェクトマネージャ
- ITストラテジスト
この章では、具体的なIT関連資格について見ていきましょう。
参考記事:https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/list.html
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITサービスや製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・スキルを証明する試験です。IT戦略の立案やシステムの企画・要件定義に参加するために必要な資格だといえます。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、ITサービス・ソフトウェアを作るための基本的・応用的な知識・スキルを保有し、高度IT人材としての方向性を確立できる資格です。
サービスやソフトウェア、システムの制作・実装・運用を担当でき、企業の中でIT化を推進する際の中心的なメンバーとして活躍できるでしょう。
ITパスポート
ITパスポートは、これからの社会人に求められるITに関する基本的な知識を証明し、ITに関する業務に就いたり、I業務への有効なITの活用方法を提案したりできる試験です。
ITストラテジスト
ITストラテジストは、高度IT人材としての確立した知識とスキルを証明し、企業の経営戦略において、ITを活用した事業の高度化・最適化をサポートできる試験です。IPAの応用情報技術者試験よりも、上位に位置するIT資格となっています。
ウェブ解析士に関してよくある4つの質問
ウェブ解析士に関しては、仕事や試験内容に関する質問がよく見られます。この章では、よくある質問とそれに対する答えについて見ていきましょう。
Q1.ウェブ解析士に向いている人は?
ウェブ解析士に向いている人には、企業内でマーケティング施策を考えている方やオウンドメディアを担当するマーケター、広告運用に携わる方などにおすすめの資格です。
ウェブサイト解析から実際の成果につなげるための施策について考えられることで、企業内での人材価値を高められ、フリーランスとして活躍するための下地にもなるでしょう。
Q2.資格を維持するには何をすればいいの?
ウェブ解析士の資格を維持するためには、無料のフォローアップテストに合格し、年会費を支払うことで、合格した翌年度もウェブ解析士としての資格を維持できます。
Q3.ウェブ解析士の認定証は届くの?
ウェブ解析士の認定証は自宅には届きません。ウェブ上でダウンロードする形です。
Q4.すぐに上級ウェブ解析士を受験できる?
ウェブ解析士認定試験をスキップして、上級ウェブ解析士認定試験を受験することはできません。ただし、ウェブ解析士認定試験・上級ウェブ解析士認定試験の同時受験は可能です。また、ウェブ解析士認定試験に合格するまでは、上級ウェブ解析認定講座は受講できません。
ウェブ解析士の仕事や試験内容について事前に確認しておこう!
この記事では、ウェブ解析士の仕事内容や認定試験の概要、資格取得のメリットや流れ、ウェブ解析士以外の主なIT資格について紹介しました。
ウェブ解析士の資格を取得することで、企業やクライアントに対して、最適なマーケティング施策を提案することができ、自分自身の就職・転職の幅を広げられます。
また、人脈づくりや新たな仕事の機会に恵まれるといったプラスの側面もあるでしょう。
ウェブ解析士としての資格を取得したら、さらに上位の資格やIT系の資格取得を目指してみるのもおすすめです。自分が担当できる業務の範囲を広げることで、就職や転職、フリーランスとして活躍するための知識・スキルの獲得を目指しましょう。