越境ECや外国との貿易を行うにあたっては、「通関」と「関税」の知識は必要不可欠です。しかし、これから越境ECをはじめようという方の中には、これらの概念や仕組みについてよく知らないという方もいるのではないでしょうか?
「通関」とは貨物を輸出入する際の手続きのこと、「関税」とは輸入品に対して国から課せられる手数料(税金)のことをさします。
この記事を読んで、「通関」と「関税」の基本的な考え方や関税の仕組み、具体的な関税の調べ方について知って、越境ECをはじめるにあたっての準備に役立てましょう。
目次
越境ECに必須の知識「通関」とは
「通関」とは、貨物の輸出入をする際に、貨物の品目や種類、数量、価格を申告し、所定の検査をクリアした後、手数料(税金)を支払って許可を得るまでの手続きのことです。
関税関連法以外の法律に抵触する場合は、通関の手続きを行う前に、これらの法律を管轄する所管に確認して、輸出入に関する許可を得ておく必要があります。
税関が輸出入事業者からの申告を受け、納税手続きが問題なく完了したと判明してから、輸出入の許可が出るという流れです。
なお、通関手続きで虚偽の申告や申告漏れをするのは違法行為です。虚偽の申告はしないように、くれぐれもミスのない申請書を提出する必要があります。
出典:税関|1101 輸入通関手続の概要(カスタムスアンサー)
参考記事:https://www.spearnet-us.com/move/import-tax.php#:~:text=
参考記事:https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1101_jr.htm
輸入品にかかる税金「関税」
商品の輸入品に課せられる手数料(税金)のことを「関税」といいます。日本国憲法第84条で定められている「租税法律主義」によって、関税の種類や納税者、税率などの重要事項は、法律によって規定されなければならないというのが憲法上のルールです。
出典:税関|関税のしくみ
法律によって定められている関税
関税の税率には「関税定率法」と「関税暫定措置法」の2種類があり、前者によって長期的に適用される基本関税率が規定され、のべ7,658種類もの関税が設けられています。
関税暫定措置法には暫定的な税率が規定されており、長期的に適用される基本関税率よりも暫定税率が優先的に適応される課税上のルールが設けられているのが特徴です。
出典:税関|関税のしくみ
条約によって定められている関税
多くの場合において、日本国内の法律によって関税は規定されますが、外国との条約・協定などの枠組みによって策定されている関税もあります。具体的には、WTO協定(世界貿易機関を設立するマラケシュ協定)やEPA(経済連携協定)などの枠組みです。
たとえば、WTO協定に加盟している国同士の貿易においては、国内で規定されている国定関税よりも、WTO協定で定められている関税の方が低い場合には、WTO協定の関税が適用される仕組みになっています。
また、TPPやRCEPのようなEPA協定を結んでいる国からの輸入品に対しても、原産地等の条件を満たしていると、国定税率よりも低い関税が課せられるようになります。
このように、国定税率よりも国際条約によって規定されている関税が優先される場合があり、海外から輸入する場合の関税率に影響を及ぼすということを考えてみましょう。
出典
関税の税率の形態
関税がかからない「無税品」と関税のかかる「有税品」があり、有税品の課税方法の中には、商品の価格に課税する「従価税」と商品の数量に課税する「従量税」があります。
無税品の割合は全体の34%を占めており、鉄鉱石やタイヤ、機械類が該当します。
従価税の特徴は、価格変動に対応した適正な税率が輸入品に適用される点です。ただし、価格の安い輸入品に対しては、低い税金しか課せられない点が課題として挙げられます。
従量税に関しては、関税金額の計算が簡単という点がメリットですが、価格変動などに対応するのが難しい点が課題だといえるでしょう。
また、従価税か従量税を選択できる品目や両者を複合的に課税する「複合税」などもあり、輸入品の品目によって異なる形態の関税が存在することがわかります。
出典:税関|関税のしくみ
2023年4月更新の実行関税税率表
税関のホームページ上にて、2023年4月1日時点での実行関税率表が公開されています。
そこでは、関税率表の解釈に関する通則やEPA税率が適用される品目、輸入関連他法令一覧表が記載されており、最新の関税のルールや関税率についての確認が可能です。
関税率の調べ方
関税率に関しては、輸入統計品目表や実行関税率表で確認できます。輸入品の品目は21部97類に分かれているので、表題から知りたい品目の関税率を探していきましょう。
事前教示制度を活用して関税率を知ることもできる
自分で輸入品の関税率について調べるのが難しいという方のために「事前教示制度」という税関によるQ&A制度が設けられています。NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)で照会するか、税関のEメール宛に必要事項を明記して問い合わせましょう。
必要事項には、下記のような項目が挙げられます。
- 照会日
- 照会者の氏名
- 住所
- 電話番号
- Eメールアドレス
- 輸出入者符号
- 貨物の名称(型番・銘柄)
- 単価
- 製造地
- 輸入予定官署
- 輸入実績の有無
- 照会貨物に関する詳細
越境ECが初心者の方でも、税関の方が適用される関税について教えてくれます。
税関 | メールアドレス | 電話番号 | FAX番号 |
東京税関 | tyo-gyomu-info@customs.go.jp | 03-3529-0700 | 03-3599-6467 |
横浜税関 | yok-kansakan@customs.go.jp | 045-212-6156 | 045-201-4467 |
神戸税関 | kobe-bunrui@customs.go.jp | 078-333-3118 | 078-333-3147 |
大阪税関 | osaka-bunrui@customs.go.jp | 06-6576-3371 | 06-6574-7240 |
名古屋税関 | nagoya-gyomu-kansa@customs.go.jp | 052-654-4139 | 052-654-4130 |
門司税関 | moji-kansakan@customs.go.jp | 050-3530-8373 | 093-332-8415 |
長崎税関 | nagasaki-kansakan@customs.go.jp | 095-828-8669 | 095-827-0580 |
函館税関 | hkd-gyomu-kansa@customs.go.jp | 0138-40-4716 | 0138-45-8872 |
沖縄地区税関 | oki-9a-bunrui@customs.go.jp | 098-862-8692 | 098-863-0390 |
出典:税関|Eメールを利用した事前教示制度(関税分類)について
関税率を調べて、越境ECに活かしていこう!
この記事では、通関と関税の意味や仕組み、関税の調べ方について紹介しました。越境ECの事業をはじめるためには、関税の仕組みや関税率について確認しておくことが大切です。正しい金額を納税しないと日本の法律に抵触してしまうので、関税については正確に把握しましょう。
自分で関税について確認するのが難しい場合は、事前教示制度を活用して、税関の方に確認をとってから、安心して輸入品を扱ったビジネスを行っていきましょう。