「GDPとは何か」、「現状のGDPはどんな推移をしているのか」、「GDPが決まるメカニズムとは一体何だろう」と考えている方は少なくないでしょう。
GDPは国の経済状況を示す指標で、国内総生産と呼ばれます。国内で生産された商品・サービスの総生産を示す指標として、日本国内でもよく耳にする言葉です。
この記事では、GDPという言葉の概要やそれに付随した単語、日本・世界のGDP、GDPが変化するメカニズムについて紹介します。GDPの意味とメカニズムを知って、市場経済に関する理解を深めたい方は参考にしてみてください。
目次
GDPは国の経済状況を示す指標
GDP(Gross Domestic Product)は日本語で「国内総生産」と訳され、一定期間(多くの場合では1年)に国内で生産された付加価値の総額で、国の経済活動の状況を示します。
あくまでも国内での生産の大きさを示す指標なので、日本企業の海外支社が生み出した付加価値に関しては、GDPには含まれません。
ある一定期間と別の一定期間のGDPを比較することで、GDP成長率を割り出せます。たとえば、ある年のGDPが200兆円で翌年のGDPが250兆円だった場合、GDP成長率は(250-200)÷200×100でGDP成長率は25%になるという計算です。
参考URL:https://www.sc.mufg.jp/learn/terms/g/023.html
参考URL:https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/otoiawase/faq/qa14.html
付加価値
付加価値とは、商品・サービスを販売し、原材料費や運送費、減価償却費などの諸経費を差し引いた後に残った利益、価値のことをさします。一言でいえば、付加価値はコストを差し引いた利益のことなので、付加価値の大きさは経済規模そのものだといえるのです。
三面等価の法則
三面等価の法則とは、生産(付加価値)・分配(所得)・支出(需要)の3つの側面で見た合計が、一定の期間を経た後、どれも一緒になるという法則です。
- 生産・・・生産額−材料費−燃料費=付加価値
- 分配・・・家計・企業・政府のいずれかに当てはまる
- 支出・・・民間・政府の消費、資本形成、財・サービスの輸出入
このような生産・分配・支出の関係性があることを知っておきましょう。
参考URL:https://spaceshipearth.jp/gdp/#GDP=国内総生産
参考URL:https://www.nomura.co.jp/terms/japan/sa/A02416.html#:~:text=一国の経
GDPを含めた経済指標の種類
GDPに関連する経済指標には、名目GDPや実質GDP、GNPなどが挙げられます。この章では、経済指標ごとの特徴について見ていきましょう。
参考URL:https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/otoiawase/faq/qa14.html
参考URL:https://spaceshipearth.jp/gdp/#GDP=国内総生産
参考URL:https://www.sc.mufg.jp/learn/terms/g/023.html
名目GDP
名目GDPとは、一定期間の付加価値を単純に合計した額です。市場価格のインフレが起きていたとしても、そのままの合計金額が付加価値として集計されます。
実質GDP
実質GDPとは、名目GDPから市場価格のインフレの影響を差し引いた額です。通貨価値やインフレ率の変動を考慮した指標で、より正確な経済状況を示しています。
GNP(国民総生産)
GNP(国民総生産)とは、英語で「Gross National Product」と呼ばれ、国内のみならず、日本企業の海外支店が生み出した付加価値なども含めた経済指標です。日本人や日本企業が国内外で生み出す、付加価値の合計を知りたい場合に便利な指標だといえます。
ちなみに、現在ではGNPからGNI(国民総所得)という名称に変更されています。
日本のGDPの推移・予想
日本のGDPの推移は、下記の表が示すように変動しているのが特徴です。
年度 | 実質GDPの推移(単位は10億円) |
2022 | 546,045.48 |
2021 | 540,236.90 |
2020 | 528,894.50 |
2019 | 552,535.50 |
2018 | 554,766.60 |
2017 | 551,220.00 |
2016 | 542,137.50 |
2015 | 538,081.20 |
2014 | 529,812.70 |
出典:世界経済のネタ帳
2023年の実質GDPは、553,156.54(単位は10億円)になると言われています。
参考URL:https://ecodb.net/country/JP/imf_gdp.html
世界のGDPの現状
2021年時点における世界のGDPの現状を見ると、下記のとおりです。
順位 | 実質GDPの推移(100万USドル) |
1位:アメリカ | 20,529,463 |
2位:中国 | 15,802,052 |
3位:日本 | 4,435,431 |
4位:ドイツ | 3,553,247 |
5位:イギリス | 3,036,532 |
6位:インド | 2,782,322 |
7位:フランス | 2,576,559 |
9位:イタリア | 1,861,557 |
8位:ブラジル | 1,829,902 |
10位:韓国 | 1,693,643 |
11位:カナダ | 1,679,982 |
12位:ロシア | 1,490,187 |
13位:オーストラリア | 1,417,576 |
14位:スペイン | 1,238,280 |
15位:メキシコ | 1,206,921 |
16位:トルコ | 1,131,036 |
17位:インドネシア | 1,065,595 |
18位:オランダ | 846,532 |
19位:スイス | 767,349 |
20位:サウジアラビア | 672,127 |
引用元:Global Note
アメリカ・中国・日本でGDPランキングの1位・2位・3位を占めており、日本のGDPの規模は世界的に見ても大きいことがわかります。
その一方で、2021年におけるGDP成長率は1位モルディブ(41.75%)、2位ベトナム(32.98%)、3位リビア(28.29%)で、GDP成長率だけを見れば、新興国の成長が著しいことがわかります。
同年の日本における成長率は1.66%だったので、いかに新興国との発展スピードに差があるのかがわかるでしょう。
参考URL:https://www.globalnote.jp/post-1332.html
参考URL:https://www.globalnote.jp/post-2281.html
GDPが変動するメカニズム
GDPが変動するメカニズムは、一体なんでしょうか?この章では、具体的にどんな要因が影響してGDPが決まっていくのか、そのメカニズムについて確認しましょう。
参考URL:https://spaceshipearth.jp/gdp/#GDP=国内総生産
1.人口動態
GDPが変動する大きな要因の一つに少子高齢化や移民の受け入れなど、人口の増減に直結するような状況が顕在化した場合があります。付加価値は生産設備と労働力によって成り立っています。労働力となる人口の増減は、GDPの増減に直結するのです。
先進国を中心として、人口は減少傾向にあり、日本も例外ではありません。
総務省が発表した将来推計人口(令和5年推計)の概要によれば、2020年に1億2,615万人いた人口は、2070年には約8,700万人にまで減少するという試算が出ています。
人口の内訳を見てみると、生産年齢人口(15歳〜64歳)が7,509万人から約4,535万人まで減少し、65歳以上の高齢者人口は3,603万人から約3,367万人になることが推計され、生産年齢人口が減少することによるGDPの縮小が予想されているのです。
2.経済効率性と生産性
労働者人口の減少は不可避であることを踏まえて、労働者の増加から生産設備や労働生産性の向上にシフトすることで、GDPの減少を和らげる効果が期待できます。
一人ひとりが労働生産性を向上させて、稼ぐ金額を増やしていくことで、国全体としてのGDPは向上させることができるでしょう。
3.物価の変動率
物価の変動率は名目GDPに影響します。インフレ率を調整するために、日銀は紙幣の発行枚数を調整し、過度なインフレ・デフレにおちいらないようにしています。物価の変動率を見ることで、国の金融政策の行く末や名目GDPの変動を予見できるのです。
GDPの指標を理解して、国内外のマーケット戦略に活かそう
この記事では、GDPやそれに関連する用語を説明し、現状の日本・世界の実質GDP、GDPのメカニズムについて紹介しました。
GDPの指標を理解することで、経済全体の動きや将来の金融政策の動きについて理解し、国内外の市場やマーケット戦略の分析などに活かしていきましょう。