マーケティングとは一般的に、「顧客がほしいと思う価値を創出する戦略、仕組み、そのプロセス」を指します。「誰に」「どのような価値を」「どのようにして提供するか」を考えていくことになります。
国による言語や文化の違いをはじめ、コロナ渦によって海外出張をすることが難しくなった今日においてどのようにして自社の価値を提供していくかなど、海外展開におけるマーケティングについて考えることはとても重要です。海外展開をするに当たって、事前調査やマーケティング戦略は避けて通ることはできません。
こちらでは海外展開をする際に必須となってくるマーケティング手法や戦略立てのポイント、事例などをご紹介していきます。
目次
海外マーケティングとは?
海外マーケティングとは、海外に住んでいる人や企業に対して、自社の製品やサービスをどのように提供していくか、売れる仕組みを作るための企業活動です。
「海外へどのようにして提供していくか」に目を向けてみます。海外ではインターネット端末を使用したユーザー人口は増え続けており、日本よりもWebを活用したマーケティングの割合が高いです。
海外マーケティングにおいてインターネットを活用して海外顧客との接点を持ち、そして更なる顧客へ接点を広げていくことが大切です。
海外におけるWebマーケティング手法について
海外マーケティングにおいて、インターネットを活用した顧客との接点作りが大切であると述べてきました。ここでは海外でよく用いられるWebマーケティング手法についてご紹介をしていきます。
SNSマーケティング
SNSマーケティングとは各ソーシャルメディアを活用して、商品の認知や販売を促進するマーケティング手法です。商品やサービスについての情報をSNSを活用してPRし、ブランディングをするのが主な目的となっています。
海外では、LinkedInやFacebookなどSNSのアクティブ率が日本よりも高い国が数多く存在しています。また国によってはその国独自で使われているSNSもあるので注意が必要ですが、ターゲット国へのマーケティング手法としてSNSはアクティブ率が高いものも多く、SNSマーケティングは海外マーケティングにおいて有効な手段といえます。
動画マーケティング
YouTubeなどの動画配信サービスを活用した動画マーケティングは、昨今では5Gの導入もあり一層人気を増してきているマーケティング手法です。主な目的としてはSNSマーケティングと同じように、商品の認知度アップやブランディング、ファン獲得になります。
例えば対象ターゲットと似ている人に製品を実際に使用してもらい、その感想などを動画で発信することで、海外の人はよりリアルな情報を得ることができ、販売促進に繋げることができます。
YouTubeのアクティブ率をはじめTikTokといったショートムービー型SNSの人気や、Instagramのストーリーズのような静止画ベースのものから動画へのシフトも進んでいます。
リスティング広告(検索エンジンマーケティング)
リスティング広告とは、世界でシェアが高いGoogleなどの検索エンジンでユーザーが検索したキーワードに連動して広告が掲載される、検索エンジンを活用したマーケティング手法です。Googleなどで検索をしている製品やサービスに関心を持つユーザーを、自社のWebサイトに集客することが主な目的です。
Googleの世界シェアは高く、中国や韓国など独自の検索エンジンシェアが高い国もありますが、検索エンジンを通じて海外のインターネットユーザーとの接点を作ることができるリスティング広告は有効なマーケティング手法のひとつです。
後述するSEO対策と併用してリスティング広告を運用するのが効率的です。SEO対策は効果が出始めるのに多少時間がかかりますが、リスティング広告はキーワード入稿~配信を開始すれば、すぐに検索ユーザーに広告を見てもらうことができます。
SEO対策(検索エンジンマーケティング)
SEO対策とは、リスティング広告と同様にGoogleなど検索エンジンを活用したマーケティング手法で、自社のWebサイトを検索結果ページの上位に表示させることにより、検索ユーザーを自社サイトにより多く集客することが主な目的になります。
海外の現地の人が求める情報をネイティブな言語を用いたコンテンツ記事として分かりやすく情報を発信することは、SEO対策になります。ユーザーに満足してもらえるような良質なコンテンツを発信することを意識しましょう。
効果が出るまで多少時間はかかりますが低コストでSEO対策をすることができ、成果が出始めたら長期的にマーケティング成果を見込むことができる、こちらも有効な手法のひとつです。
口コミ・レビューマーケティング
レビューマーケティングとは、実際に消費者から寄せられるレビュー(口コミ)を活用するマーケティング手法です。ターゲット層の注目を集め話題性を高めるとともに、認知を広める目的で活用します。
製品やサービスを検討する判断材料として有名なメディアからの情報よりも、実際の消費者による口コミなどの情報を参考にして購入する人が増えてきていると言われています。
またレビュー(口コミ)が例えばSNSで発信されることがあれば、製品のPRなどに繋がったり、低コストで新規のユーザー獲得に繋がる可能性も大いに期待できます。
注意しておきたい点として、ユーザー獲得に大いに貢献でき得るレビュー(口コミ)ですが、ステルスマーケティングとして見なされる可能性もあります。ステルスマーケティングとは、製品やサービスの宣伝であることを隠して消費者に宣伝をする手法です。いわゆる消費者をだます宣伝行為です。日本ではこれから規律が定められていき対処措置がなされていくかと思われますが、海外ではすでに不正行為として厳格に取り締まりがされています。
OMOマーケティング
そもそもOMOとは「Online Merge Offline」の略称で、「オンラインとオフラインのマージ(統合)」という意味です。DX(デジタルトランスフォーメーション)の潮流に伴い「インターネットとリアル店舗の垣根を超えたマーケティング概念」を指します。
イメージしやすい例としては、モバイル決済やチャットボット、小売店舗とECサイトのマルチチャネル化などが挙げられます。
OMOマーケティングで期待されることは、ユーザーの行動をデータとして蓄積し、効率の良いユーザー体験UX(ユーザーエクスペリエンス)をどのように与えていくかが重要になっていきます。
海外におけるマーケティング戦略の立て方
ここでは、海外におけるマーケティング戦略立ての際のポイントを3点ほどご紹介します。まずは以下の内容を考慮するとよいでしょう。
- メインターゲットが認知するメディア、媒体を活用する
進出する国によってPR戦略やメディア事情も様々なので、現地メディアとのコネクション作りがとても大切です。Webマーケティング手法であれば、各国で盛んなインターネット媒体を調査しておきます。
- 現地の言葉で発信する
日本語の単純な多言語翻訳の場合、ユーザビリティや内容が不十分なため現地ユーザーの満足度を得ることは難しいです。ネイティブな現地の言語で情報発信をすることによって、現地ユーザーの満足度を高めることができます。
- 進出国の文化を理解する
上記と通ずる部分もありますが、現地の文化に合ったフレーズや生活習慣に沿った内容、共感ポイントを盛り込むことで、現地ユーザーに快く受け入れられます。
このようにローカライズ対応(進出国の言語や文化に対応させること)をすることで海外マーケティングはより成功しやすくなります。
海外のマーケティング事例
こちらで挙げる海外のマーケティング事例は国ごとに手法が異なりますが、以下5点ほどご紹介します。
・Amazon Go(OMOマーケティング)
・Cafe Amazon(O2Oマーケティング)
・Salesforce(BtoB動画マーケティング)
・ユニクロ(ニューロマーケティング)
・オーサカステンレス(海外BtoBマーケティング)
事例①:Amazon Go(アメリカ)
AmazonはOMOマーケティング戦略を率先して展開しています。アメリカ本土ではすでに計17店舗のAmazon Goがオープンしています。アプリで発行されるURLを店舗改札にかざし入店することで、ECアカウントとAmazon Goの購買行動データが連携されます。そうすることで、Amazonマーケットプレイスにパーソナライズされた商品のレコメンド表示をさせることが可能になります。
また、生鮮食品スーパーマーケットのWhole FoodsにもOMO戦略の仕掛けがあります。店舗でのQRコードスキャンに加えて、オンラインで注文する場合もAmazonプライム会員ページ内で注文をすることによって、購買データの連携を図っています。
事例②:Cafe Amazon(タイ)
O2O(Online to Offline)とは、オンライン施策によって接点をもった見込み顧客をオフラインの実店舗へ誘導して購買を促す施策です。
居眠り運転防止アプリを活用した、タイにある喫茶店Cafe Amazonへの来店を促進する事例です。内容はあらかじめ眠くないときの顔をアプリに登録しておき、スマートフォンで自身の顔を捉えた状態で運転をします。アプリが眠そうな顔を認識すると、大きな鳥の鳴き声が響きます。さらに近くのCafe Amazon店舗をガイド案内をするという機能が備わっています。
居眠り運転を防止できる、画期的でおもしろいO2O戦略の事例でした。
事例③:Salesforce(アメリカ)
アメリカではBtoBにおいても動画を用いたマーケティング手法が確立しており、何らかの動画マーケティングを実施している企業は9割近くにもなります。
Salesforce社は、認知用・信頼獲得用・商品紹介用・サポート用動画といった状態の異なるユーザー層にあわせた動画を複数用意し、動画を活用してナーチャリングを行っているのです。
事例④:ユニクロ(オーストラリア)
ユニクロはニューロマーケティングというマーケティング手法を取り入れています。ニューロマーケティングとは、無意識的な感情の変化や行動原理を読み取る脳科学の技術をマーケティングに応用した手法です。人の脳波を利用してその日の気分に応じたファッションのレコメンドをしてくれるという、画期的なマーケティングの応用事例です。
GoogleやFacebookが脳波の研究を始めたことも比較的最近のことで、新しい顧客体験を提供するユニクロの店舗内における先端技術であり、近年注目を集めています。1店舗目はオーストラリアでサービスが開始されています。
事例⑤:オーサカステンレス(日本)
日系企業であるオーサカステンレスによる、製造業サイト英語プロモーションの成功事例です。
英語サイトに関してはトップページのメイン画像を強みが見える化するデザインにし、ネイティブライターによるコピーライティングを実施することにより、サイト改善後の効果が見られました。
またリスティング広告に関しては、顕在化しているユーザーに対した訴求と、ディスプレイネットワーク等を活用して潜在層のユーザーに対しても訴求の幅を広げる運用を行いました。
以上の施策により、成約率がサイト改善前と比べて30%伸びました。
海外のマーケティングにおいては文化を理解することが大切
海外マーケティングでは、進出国のニーズや事情、現地の文化背景・価値観に基づいてマーケティング戦略を練る必要があります。国によって「何を伝えるべきか」「どう伝えるべきか」は異なり、同じ製品をプロモーションする際にも国ごとの性質や価値観を捉えて販売促進をすることが大切です。
現地の文化に合ったフレーズや生活習慣に沿った内容、共感ポイントを盛り込むというようなローカライズ対応(進出国の言語や文化に対応させること)をすることで、海外マーケティングはより成功しやすくなりますので、今後のマーケティング戦略にお役立てください。
まとめ
海外展開をする際、いかに海外で売れる仕組み作りをするかという海外マーケティングの重要性や有効なWebマーケティング手法、事例などをご紹介してきました。また海外マーケティング戦略として、進出国の文化をしっかりと理解することが大切であるということもお伝えしてきました。
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