天神ビックバンとは。DX・デジタルマーケティングで注目を集める福岡。大規模都市開発が進む

福岡県は、IT分野に強いというイメージをもっている方も多いのではないでしょうか?また、老朽化した建築物を再建する一大プロジェクト「天神ビッグバン」も有名です。

本記事では、IT先進都市としてのモデル都市になっている福岡県のITビジネスの現状や天神プロジェクトがもたらす今後の展望について概観します。

福岡県の事例から、IT化に向けた取り組みや成功事例、今後の展望について理解したいという方は、参考にしてみてくださいね。

福岡はスタートアップの街として飛躍

福岡は、IT企業や新進気鋭のスタートアップが集まる街として注目を浴びています。この章では、そんな福岡で強い理由や実際に拠点を置く企業についてみていきましょう。

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IT企業の拠点が増えている

九州と言えば農林水産業のイメージを持たれている方もいるかもしれませんが、実は地方自治体がIT企業の誘致に力を入れており、IT企業の拠点が続々と誕生しています。

ゲーム業界では「妖怪ウォッチ」や「ナルティメット」シリーズ、「ワンピースアンリミテッド」などのゲームタイトルを開発したゲーム会社が有名です。

LINE株式会社も「LINE福岡」という子会社を設立したり、Googleが国内3拠点目となるオフィスを天神に建設したりと、福岡に拠点を置くIT企業は増加しています。

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福岡に拠点を置く有名企業3社

福岡に拠点を置く有名企業にはIT企業から製造業、外資系コンサルタント会社など、幅広い業界の企業の拠点が置かれていることで有名です。この章では、福岡に拠点を設立した有名IT企業3社をピックアップして、それぞれの特徴について見ていきましょう。

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1.Google福岡

Google福岡は、言わずと知れた米国発の検索エンジンGoogleの日本法人です。国内には六本木・渋谷・天神の3か所あり、東京と福岡にしかオフィスがありません。

Google福岡が入るビルは「天神ビジネスセンター」と呼ばれ、福岡地所が計画・建設したビジネスビル。

同社の社長である榎本一郎氏は「アマゾンのような大企業を誘致したい」と宣言しており、結果としてGAFAの一角であるGoogleが数フロアに入所することになりました。

Googleが国内3拠点目として大阪ではなく、福岡を選択したという点は興味深いです。

2.LINE福岡

LINE福岡は、LINEが国内2拠点目として設立した子会社です。同社は主にLINEスタンプやカスタマーサービス、システムの開発業務などに従事しています。

LINEが福岡に2拠点目を設立した理由は、以下の3つにまとめられます。

  • 自治体・市民・事業者との近さ
  • アジアの玄関口
  • IT分野における先進的な教育

福岡は先端技術を受け入れる風土で、未来志向のまちづくり事業に参加しており、ITやFintech企業にとっては、ビジネスしやすい環境になっている点が大きな理由です。

他のアジア諸国へのアクセス性がよく、IT分野で優れた教育プログラムが官民の連携のもとで推進されている点も、LINEが拠点を福岡に設立した理由だといえます。

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3.アクセンチュア

外資系コンサル会社の「アクセンチュア」も、福岡に拠点を設立した企業の一つ。福岡拠点は、アクセンチュア・インテリジェント・オペレーションセンター福岡と呼ばれます。

「現行業務の9割を自動化する」という旗印のもと、企業の経理事務や人事、保険事務、マーケティング、カスタマーサービスなどの業務代行を行っている点が特徴です。

福岡市早良区に開設した「アドバンストテクノロジーセンター福岡」は、デジタル技術を活用し、地元企業や自治体が抱えるさまざまな課題を解決するために設立されました。

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福岡にIT企業が集中している3つの理由

福岡がIT分野に強い理由は、アクセス性の良さや官民の連携強化によって、IT企業がビジネスをしやすい風土が整っている点ですが、他にも福岡独自の理由が考えられます。

この章では、福岡にIT企業が集中している3つの理由について見ていきましょう。

1.人口増加率が高い

福岡県にIT企業が集まっている理由は、人口増加率が高く、若年層の割合が全国的に見ても高い点が大きく関係しています。令和2年度に実施された国勢調査によれば、2015年〜2020年の間に人口が増加した都道府県は9都府県で、福岡もその内の一つです。

IT教育に熱心で、若者が多く活気がある福岡の街は、IT企業のスタートアップを設立する拠点としては、とても条件がいい街だといえるでしょう。

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2.福岡県がIT人材を養成をサポート

福岡県はIT人材の育成に熱心に取り組んでおり、格安でコーディングやプログラミング講座を提供しています。社内にITのわかる人材を養成することを目的とした特別連続講座「IT導入スキル」など、DX化を促進する講座を率先して実施している点も特徴です。

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3.コンパクトシティでアクセス性がいい

福岡は空港から約5kmとアクセス性がばつぐんで、東京や大阪、東南アジアなどへの飛行機便でのアクセスが容易で、利便性の高いコンパクトシティとして知られています。

2024年3月時点で人口は550万人で、東京の約1,400万人、大阪の約870万人と比較しても、圧倒的に人口規模が少なく、コンパクトな街だということがわかるでしょう。

1時間ほど電車に乗れば、山や海などの自然豊かな観光名所が多く、東京や大阪などの大都市圏と比較すると混雑も少なく、自然のアクティビティも楽しみやすい点が特徴です。

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天神ビッグバンとは?今後の福岡はどうなるのか

福岡の街の今後を考える際に、考慮しなくてはならないのが「天神ビッグバン」です。

この章では、天神ビッグバンの概要や今後の見通しについて見ていきましょう。

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天神ビッグバンとは

天神ビッグバンとは、老朽化したビルや家屋を耐震性の高い先進的な建物に建て替え、多くの人にとって安全な生活やまちづくりを目指す天神の大規模な再建計画です。

大規模な建て替えが行われる「天神ビッグバンエリア」は、天神交差点から半径約500メートル圏内(約80ヘクタール)の範囲のことをさします。

ユニバーサルデザインや緑化基準などを満たせば、以下のボーナスを受給可能です。

  • 緩和されているビルの容積率が緩和
  • 認定ビルとして自治体がPRしてくれる
  • テナントを優先的に紹介
  • 特別融資を受けられる

企業にとって魅力的なボーナスを設けることで、国内外からの企業の参入を呼び込み、天神周辺の地域の活性化をはかるという施策といえます。

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具体的にどうなるのか

天神ビッグバンの構想によれば、天神一丁目から二丁目にまたがる4つのブロックにビル群が建設される予定です。2022年5月末時点での竣工数は50棟で、建築確認申請数は59棟となっており、近い将来にこれらのビル群が完成すれば街の景色は一変するでしょう。

空港との新しい交通手段である都心循環BRTや地下鉄七隈線など、都心部と空港間のアクセスはますます便利になっており、国内外の企業の転入はさらに進むと予想されます。

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IT企業のスタートアップを開業するなら福岡!

この記事では、IT分野のDX・デジタルマーケティングで注目されている街”福岡”の概要やIT分野に強い理由、街の再開発計画「天神ビッグバン」について解説しました。

福岡は自治体が率先してIT人材教育や企業がビジネスしやすい仕組みを作り、全国的にも高い人口増加率と若年層の多さで、今後の街の将来が期待されている点が特徴です。

自治体と企業が一体となって街の活性化を実現している福岡。天神ビッグバンも控えており、これからも日々進化を続けていく街だといえます。

IT企業のスタートアップ拠点を作るなら、福岡を検討してみてはいかがでしょうか?

この記事を書いた人

野口慎平

GDX 事業責任者 兼 UDX株式会社ゼネラルマネージャー。
新卒で大手外資系総合コンサルティングファームにビジネス&テクノロジーコンサルタント職として就職。2016年よりプルーヴ株式会社に法人営業職として入社。慶應義塾大学理工学部・同大学院 理工学研究科電子工学修了。
海外SEOとマーケティングオートメーションを軸としたデジタルマーケティングを得意とする。
Salesforce Pardot甲子園2021優勝

取得資格:
応用情報技術者、IPAプロジェクトマネージャ、上級ウェブ解析士、IoTコーディネーター取得
Salesforce認定アドミニストレーター