世界で使われる検索エンジンのトレンドまとめ

検索エンジンはインターネット利用の基盤となるWebサービスの一種で、多くの人が情報収集のために日々利用しています。
ただ、検索エンジンも提供サービスによって検索結果やその他の機能に微妙な差異があり、世界各国で日本とは異なる検索エンジンが利用されているケースもあります。

今回は、世界で利用されている検索エンジンの動向に注目し、なぜ検索エンジンのシェアに違いが生まれているのかについて、ご紹介します。

中国か、それ以外かで分かれるデータ経済圏

世界で最もポピュラーなWebサービスである検索エンジンは、いわばインターネットユーザーのデータ活用を促進するインフラのような存在です。ユーザー同士のデータを使ったコミュニケーションは、検索エンジンによって支えられていると言っても過言ではないでしょう。

ただ、ユーザー同士のデータのやりとりで成立するデータ経済圏は、完全にボーダレスな環境になっているとは言えません。
例えば中国は、世界でもネット検閲が厳しい国として知られており、指折りの経済大国でありながら、独自のデータ経済圏を成立させています。

中国で自国に特化したネット文化が育まれてきた最大の理由は、中国政府が敷いているグレートファイアウォールの存在です。これはGoogleやFacebookなど、海外産のWebサービスのネット利用を一切遮断するもので、中国国内での利用は基本的にできません。VPNのような特殊なルートを通じて利用することは可能ですが、一般的な方法としては定着していないのが現地の事情です。

そのため、中国では規制の無い国産の検索エンジンやSNSが好んで利用されており、国内で莫大な数のユーザーを抱えています。近年は中国外の中国系ユーザーの数も増えているため、グローバルなサービスとしての一面も見せるようになりました。また、中国向けに商品やサービスを展開する際、こういった中華系Webサービスの利用が不可欠にもなっています。中国との取引が多い日本企業も、これらのサービスを頻繁に活用しています。

中国国外の覇者はGoogle

一方で中国外の検索エンジン事情を見てみると、概ねGoogleが世界の覇権を握っていることがわかります。調査によると、2020年から2021年にかけての検索エンジンにおけるGoogleのシェア率は、86%を超えています。

次点であるbing、そしてYahoo!を大幅に突き放しており、グローバル市場で見ればGoogleに勝るサービスは無いと言えるでしょう。特に欧米諸国、日本、東南アジア、オセアニア地域では絶対的な地位を築いています。また、インドや中東地域でもGoogleは高い影響力を発揮し、いずれの地域でもシェア率は90%を超えています。

参考:Statista “Worldwide desktop market share of leading search engines from January 2010 to September 2021”

また、Googleは検索エンジンにとどまらず、GmailやYouTubeといったその他の莫大なユーザーを抱えるサービスも運営しています。広告プラットフォームとしても絶対的な影響力を有しており、Webマーケティングを検討する上では無視できない存在です。

世界各国のローカルで活躍する検索エンジンとは

日本においても強力なWebサービスとして影響力を発揮するGoogleですが、世界を見渡してみると、中国をはじめ必ずしもGoogle一辺倒では無い地域も存在します。

事実、検索エンジンはGoogle以外にも複数のサービスがあり、ローカルに特化した機能で現地ユーザーの支持を集めています。ここでは、世界のローカルで活躍している検索エンジンについて、ご紹介します。

中国のBaidu

まずは、上でも取り上げた中国の検索エンジンについて見ていきましょう。中国はネット検閲が厳しい国であるとは言え、近年は通信インフラの改善や所得増加の影響により、多くのインターネット利用者を抱えるネット大国として成長しています。

そんな中国で最も利用されている検索エンジンが、Baiduです。Baiduは中国人に特化した機能を持つ中華版GoogleのようなWebサービスで、中国国内外を問わずユーザーが存在します。アクティブユーザーの数は5.5億人を超え、国内シェアは73.8%に達するという驚異的な利用率を誇ります。

上記のBaiduのシェア率は、PCやスマホからの利用も含めての数値ですが、デスクトップに限定すると事情は少し異なります。中国にはSogouと呼ばれる二番手の検索エンジンも存在しており、こちらはデスクトップに限定すると54%にまでシェアを伸ばし、トップシェアへと躍り出ます。

参考:the EGG “MOST POPULAR SEARCH ENGINES IN CHINA – 2021”

Baiduは中国のスマホユーザーに特に愛用されている検索エンジンで、デスクトップユーザーにはSogouが人気と考えることができるでしょう。中国では格安スマホの普及が急速に進んでおり、現地のネット利用を支えるデバイスとなっています。大衆向けのアプローチであればBaidu、デスクトップユーザーにはSogouという差別化のヒントをここから得られます。

ロシア・東欧地域のYandex

続いて、ロシアやその近辺の東欧地域の検索エンジン事情を見ていきましょう。この一帯はヨーロッパであることに違いはないものの、西欧やアメリカとはネット事情に差異も見られます。

ロシアでは他の地域同様、Googleがトップシェアを握っている一方で、そのシェア率は55.8%と、他国と比べれば平凡な割合に留まっています。圧倒的なブランド力を持つGoogleと拮抗しているサービスが、Yandexです。

Yandexは、ロシア産Googleとも呼べる現地発のWebサービスで、Googleと同様に検索エンジン機能に加え、メールやマップなどの多機能サービスを展開しています。Yandexのシェアは現在41.7%に達しており、長い間40~50%の間に止まり続けてきた根強い人気を誇ります。

参考:Statcounter “Search Engine Market Share Russian Federation”

Yandexが広い支持を集めている理由としては、やはりローカル向けの機能がGoogleに比べて充実している背景があります。Yandexがロシアに根付いたサービスであることを裏付けるのが、独自の天気予報サービスです。Yandexが提供する天気予報にはロシアで漁業に従事する人たちに向けた「風の地図」を提供しており、各地区の風の向きや風力をリアルタイムで示してくれます。これは現地の漁師たちからの要望で搭載された機能で、魚の移動パターンの把握へ積極的に利用されています。

参考:ロシア・ビヨンド「なぜヤンデックスはグーグルより人気があるのか:露ネット企業最大手が創業20年」

このようなローカル機能が、グローバルサービスであるGoogleに搭載されるケースは非常に稀です。ロシア語にもGoogleは対応していますが、非言語的なネイティブ対応に強いのはYandexというわけです。

ちなみに、ロシア近辺の東欧諸国においてもYandexは強い影響力を発揮しています。というのも、ウクライナやベラルーシ、ウズベキスタンなどの小国にもネイティブ対応を完了させているため、これらの国にとっては高いユーザビリティを誇るためです。

韓国のNAVER

続いては、隣国の韓国における検索エンジンシェアについてです。韓国は日本に近い文化を持つと考えられていますが、インターネット文化については大きな違いが見られます。

韓国においてトップシェアを誇る検索エンジンは、NAVERです。2021年はNAVERの現地シェアが67.7%に達しており、Googleのシェアはわずか25%に留まっています。

参考:InterAd “Korean Search Engine Market Share in 2021”

NAVERは独自の検索アルゴリズムを採用しており、あらゆるWebコンテンツがNAVER上の「旅行」「ショッピング」「ビジネス」といったカテゴリに分類されています。上位表示の仕組みもGoogleとは大きく異なっており、ブログを優先して表示する設計になっているなど、ユニークなサービスです。

リスティング広告運用もGoogle広告ではNAVERに掲載できないため、直接NAVERへ出稿を依頼しなければなりません。

ASEANにおけるFacebookの台頭

ASEANを含む東南アジア地域では、検索エンジンはGoogleの利用者が圧倒的に多いのが特徴です。多くの国で90%以上の利用率を誇る中、近年新たなプラットフォームとして注目されているのが、Facebookです。

Facebookは検索エンジンではなくSNSという枠組みのWebサービスで、知り合いとのコミュニケーションに使われていますが、ASEAN地域では検索エンジンとしての利用も進んでいます。

例えばネット利用の盛んなインドネシアでは、2020年の時点でFacebookユーザーの数は1.5億人に達しています。これは同国の全人口の半分に当たる数字で、いかに現地でFacebbokが利用されているかがわかります。

参考:NapoleonCat “Facebook users in Indonesia”

SNSの中でもFacebookはトップシェアを誇っており、現地のWeb利用における中心的なサービスとして活躍しています。友人との交流はもちろん、トレンドの検索や最新のニュースなど、検索エンジンに求められる機能を全て搭載しているため、Facebook一つで事足りています。

今後は検索エンジンとSNSという枠組みは現地では無くなっていき、SNSにWebサービスが一本化される可能性もありそうです。

まとめ

今回は、世界の検索エンジンのトレンド動向についてご紹介しました。検索エンジンをグローバルで見るとGoogleが独占的なシェアを占めていますが、地域ごとにそのトレンドを追いかけると、Googleの影響力が及ばない地域も少なくありません。

特に中国やロシア・東欧地域、韓国におけるGoogleの影響力の小ささは注目すべき点と言え、これらの地域にはGoogleを用いたWebマーケティング手法が通用しないと考える必要があります。

ターゲットとする国や地域の検索エンジン動向を正確に捉え、必要な施策を検討する必要があるでしょう。

この記事を書いた人

野口慎平

GDX 事業責任者 兼 プルーヴ株式会社事業開発部シニアマネージャー。
新卒で大手外資系総合コンサルティングファームにビジネス&テクノロジーコンサルタント職として就職。2016年よりプルーヴ株式会社に法人営業職として入社。慶應義塾大学理工学部・同大学院 理工学研究科電子工学修了。
海外SEOとマーケティングオートメーションを軸としたデジタルマーケティングを得意とする。
Salesforce Pardot甲子園2021優秀賞受賞

取得資格:
応用情報技術者、IPAプロジェクトマネージャ、上級ウェブ解析士、数学検定1級、salesforce 認定アドミニストレータ、IoTコーディネーター取得