フランスの2022年のデジタルマーケティングトレンド(Web/SNS事情/EC、マーケット傾向分析)

本記事では、2022年時点のフランスのデジタルマーケティングの状況や、各種SNSサービスの利用状況やデジタルデバイスやデジタルサービスの利用状況をご紹介します。

1.フランスとは(人口、言語、宗教、GDPなど) 

フランスの公用語はフランス語で、標準フランス語はフランス国内で最も多く話されています。その他の地域言語も、地域によって異なる使用範囲で第2言語として話されており、ドイツ語方言(アルザス語・1.44%)、ケルト系言語(ブルトン語・0.61%)、ガロ・ロマンス系言語(オイル語・1.25%、オクシタン語・1.33%)などがあります。 

宗教は、キリスト教が54.2%、イスラム教が5%、ユダヤ教が0.4%、その他の宗教が1.4%、無宗教が37.8%、無回答1.1%でした。キリスト教の内訳は、カトリックが47.4%、プロテスタントが2.2%、東方正教会1.0%、その他の宗派が3.6%でした(※)。 

※参照:Pew Research Center Spring 2017 Survey Data 

(https://www.pewresearch.org/global/dataset/spring-2017-survey-data/) 

2022年のフランスの人口 

2022年1月時点でのフランスの総人口は6,551万人で、前年比で155千人(+0.2%)増加しました。男女比は女性が51.6%、男性が48.4%です(※)。また、居住地は人口の81.5%が都市中心部に住んでおり、18.5%が農村部に住んでいます。 

※性別は「女性」と「男性」のみで統計しています。 

フランスの年代別人口 

フランスの人口全体の平均年齢は、42.7歳です。年代別の人口構成比は以下の通りです。 

年齢 人口構成比 
0~4歳 5.4% 
5~12歳 9.5% 
13~17歳 6.1% 
18~24歳 8.1% 
25~34歳 11.5% 
35~44歳 12.3% 
45~54歳 13.1% 
55~64歳 12.7% 
65歳~ 21.4% 

※パーセントは四捨五入のため、合計が100パーセントにならない場合があります。 

フランスのGDP等のデータ

フランス経済は大まかには内需主導で、緩やかな成長をしています。一方、慢性的な雇用問題を抱え、失業率は高い傾向にあるが徐々に改善傾向が見られています。 

直近5年の数値は以下の通りです。 

 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年(※) 
名目GDP(10億ドル) 2,789.68 2,730.11 2,621.96 2,935.49 2,936.70 
名目GDP(10億ユーロ) 2,363.31 2,438.77 2,300.71 2,481.59 2,604.82 
一人当たりの名目GDP(ドル) 43,021.38 41,939.21 40,162.15 44,852.60 44,747.26 
一人当たりの名目GDP(ユーロ) 36,446.00 37,463.80 35,241.29 37,917.33 39,690.24 
経済成長率(%) 1.84 1.84 -7.99 6.98 2.94 
物価上昇率(%) 2.10 1.3 0.53 2.06 4.08 
失業率(%) 9.01 8.42 8.01 7.85 7.83 

※ 2022年の数値はIMFによる2022年4月時点の推計 

出展:IMF – World Economic Outlook Databases(2022年4月版) 

フランスのデジタルマーケティング概況 

2022年のフランスの1月時点ではインターネットユーザー数は6,092万人で、前年比150万人(+2.4%)増加しました。インターネット普及率は総人口の93.0%で、人口の7.0%の459万人がインターネットを利用せず、オフラインのままでした。ただし、新型コロナウイルス(COVID-19)蔓延がインターネット普及に関する調査に影響を与えているため、実際のインターネットユーザー数はこの公表数値よりも高い可能性があります。 

インターネット接続速度

インターネット接続スピードテストを提供しているOokla社の発表では、フランスの携帯電話ネットワーク経由のモバイルインターネット接続速度の中央値は52.73 Mbpsで、前年より18.73 Mbps(+55.1%)速度が速くなりました。 

固定インターネット接続速度の中央値は 91.59 Mbpsで、前年より37.21Mbps(+68.4%)速くなりました。 

SNSシェア率 

フランスの2022年1月時点でのソーシャルメディア(SNS)ユーザーは5,260万人で、前年比300万人(+6.0%)増加しました。2022年初頭のソーシャルメディアユーザー数は、全人口の80.3%相当(※)で、年々、ソーシャルメディアの利用者の数は増加していることがわかります。 

※ソーシャルメディアユーザー数と個人は一対(いっつい)にならない場合があります。 

以下の項から、各SNSでのシェア率をご紹介します。 

Facebookユーザー数

Facebookを提供するMetaの広告リソースで公開されているデータによると、2022年の年始のFacebookのユーザー数は3,135万人でした。Facebookは利用を13歳以上に限定しているため、「利用対象ユーザー」のみに限定すると総人口の56.2%がFacebookを利用しています。 

Facebook広告のリーチは、総人口の47.9%で広告利用者の男女比は、女性が52.1%、男性が47.9%(※)、Facebookの広告リーチは、2022年1月時点でインターネットユーザー(年齢不問)の51.5%相当でした。 

※Meta社の広告リソースは、「女性」「男性」ユーザーのオーディエンス性別データのみを公開しています。 

YouTubeユーザー数 

Googleの広告リソースによると、2022年の年始のYouTubeのユーザー数は5,260万人で、YouTubeの2022年の広告リーチは年初のフランス総人口の80.3%相当です。2022年1月のYouTubeの広告は、フランスの全インターネットユーザー(年齢不問)の86.3%に到達し、YouTubeの広告視聴者は女性が50.8%で、男性が49.2%(※)でした。 

※Googleの広告リソースは、「女性」と「男性」のユーザーのオーディエンス性別データのみを公表しています。 

Instagramのユーザー数 

Metaの広告ツールで公開されているデータによると、2022年の年初のInstagramのユーザー数は2,655万人でした。同データによると、Instagramの広告リーチ(到達率)は、総人口の40.5%相当でした。Instagramは利用を13歳以上に限定しているため、「利用対象ユーザー」のみに限定すると総人口の47.6%がInstagramを利用しています。 

また、2022年の年初のInstagramの広告到達率は、フランスの全インターネットユーザー(年齢不問)の43.6%相当でした。また、Instagram広告の利用者は、女性が52.4%で、男性が47.6%(※)でした。 

※Metaの広告リソースは、「女性」「男性」ユーザーのオーディエンス性別データのみを公開しています。 

TikTokユーザー数 

TikTokを運営するByteDance社の広告リソースによると、2022年の年始の18歳以上のTikTokのユーザー数は1748万人でした。ByteDanceでは、マーケターが広告ツールを介して13歳以上のユーザーにTikTok広告のターゲットを絞ることができますが、これらのツールは18歳以上のユーザーのオーディエンスデータしか表示されません。ByteDance(※1)の数値によると、2022年の年初にTikTok広告は、18歳以上の全成人の33.8%にリーチしていました。 

一方、フランスにおけるTikTokの広告到達率は、年齢に関係なく、年初に現地のインターネットユーザー層の28.7%相当です。2022年年始のTikTokの広告利用者は女性が56.0%、男性が44.0%(※2)でした。 

※1 ByteDanceとは、動画共有サービスTikTokなどを運営する中華人民共和国のテクノロジー企業。 

※2 ByteDanceの広告リソースは、「女性」「男性」ユーザーのオーディエンス性別データのみを公開しています。 

Facebook Messengerのユーザー数 

Metaの広告リソースで公開されているデータによると、2022年の年始のFacebook Messengerの広告が101万人のユーザーでした。Facebook Messengerの広告リーチは、2022年の年初に総人口の1.5%相当です。Facebook Messengerは利用年齢を13歳以上に限定しているため、「利用対象ユーザー」のみに限定すると1.8%でした。Facebook Messengerの広告到達率は、現地のインターネットユーザー(年齢不問)の1.7%相当で、女性が47.9%で、男性が52.1%(※)でした。 

※Metaの広告リソースは、「女性」「男性」ユーザーのオーディエンス性別データのみを公開しています。 

Facebook Messengerの広告フォーマットの一部は現在利用できないため、プラットフォームの広告リーチの数値は同国のプラットフォームの総アクティブユーザーベースよりもかなり低くなっている可能性があります。 

LinkedInユーザー数 

LinkedInの広告リソースで公開されている数字によると、2022年の年始のフランスにおけるLinkedInのユーザーは2,300万人でした。LinkedInの広告ツールは、他のSNSプラットフォームが公表する広告リーチの数値の基礎となる月間アクティブユーザーではなく、総登録会員に基づくオーディエンスリーチデータを公表しているため、この記事でご紹介している他のSNSプラットフォームの数値と直接比較できないのでご注意ください。 

LinkedInのオーディエンスは、総人口の35.1%に相当しています。LinkedInは利用年齢を18歳以上に限定しているため、「利用対象ユーザー」のみに限定すると2022年中にLinkedInの利用ユーザーは44.4%まで伸長する可能性があります。 

LinkedInの広告リーチは、インターネットユーザー(年齢問わず)の37.8%相当でした。2022年の年初のLinkedInの広告利用者は、女性が47.4%、男性が52.6%(※)でした。 

※LinkedInの広告リソースは、「女性」「男性」ユーザーのオーディエンス性別データのみを公開しています。 

Snapchatのユーザー数 

Snapchatの広告リソースで公開されているデータによると、2022年の年初のSnapchatのユーザー数は2420万人で、Snapchatの広告到達率は総人口の36.9%相当でした。ただし、Snapchatは利用年齢を13歳以上に限定しているため、「利用対象ユーザー」のみに限定すると43.4%相当になります。補足すると、Snapchatの広告到達率は、年初に現地のインターネットユーザー(年齢不問)の39.7%に相当します。 

Snapchatの広告利用者は、女性が52.7%で男性が46.9%(※)でした。 

※Snapの広告リソースは、「女性」「男性」ユーザーのオーディエンス性別データのみを公開していますが、これらの属性で公開されている数値は、必ずしも総ユーザー数に加算されないため、ここで紹介するパーセンテージの合計は100%にならない場合があります。 

Twitterユーザー数 

Twitterの広告リソースで公開されている数字によると、2022年の年初のTwitterのユーザー数は1,000万人で、広告到達率は総人口の15.3%相当でした。ただし、Twitterは利用年齢を13歳以上に限定しているため、「利用対象ユーザー」のみに限定すると17.9%に相当します。補足すると、Twitterの広告到達率は、インターネットユーザー(年齢不問)の16.4%に相当します。 

Pinterestユーザー数 

Pinterestの広告リソースで公開されているデータでは、2022年の年初のユーザー数は1,100万人で、広告到達率は、年初の総人口の16.8%相当でした。ただし、Pinterestは利用年齢を13歳以上に限定しているため、「利用対象ユーザー」のみに限定すると19.7%がPinterestを利用しています。Pinterestの広告到達率は、インターネットユーザー層(年齢不問)の18.1%に相当です。Pinterestの広告利用者は、女性が76.6%で、男性が18.5%(※)でした。 

※2022年の年初のオーディエンスデータでは、「性別不詳」のユーザーはPinterestの広告オーディエンス全体の4.9%を占めていました。 

2022年のフランスにおけるモバイル接続状況

GSMA Intelligenceのデータによると、2022年初頭のフランスにおけるセルラーモバイル接続数は7,046万でした。世界中で多くの人が複数のモバイル接続を利用しており、例えば個人用と仕事用の端末を保有するなど、モバイル接続数は総人口の数値を大きく上回ることもあります。GSMA Intelligence社が公表したデータによると、フランスにおけるモバイル接続数は2022年1月に総人口の108%相当で、2021年から2022年にかけて300万人(+4.5%)増加しました。 

検索エンジンシェア率

検索エンジンのシェアは、Googleが90.79%で大半を占めており、次いでBINGが4.75%、Yahoo!1.30%、Ecosiaが1.15%、DuckDuckGoが0.52%、Yandexが0.19%、Baidu(百度)が0.02%、その他が1.28%でした。 

新しい商品・ブランドの認知経路

新しい商品やブランドの認知経路や認知経路のシェア率は、以下の通りです。 

ブランドの認知経路 認知経路のシェア率(%) 
検索エンジン 41.4% 
口コミ 29.2% 
製品サンプル 28.2% 
ネット通販サイト 25.1% 
テレビ広告 23.2% 
ブランドのWEBサイト 21.5% 
製品比較サイト 21.1% 
店内ディスプレイとプロモーション 20.4% 
パンフレット&カタログ 19.9% 
消費者のレビューサイト 19.6% 
テレビ番組や映画 14.9% 
会社のEメールや手紙 13.7% 
ソーシャルメディア上のコメント 12.5% 
ソーシャルメディア広告 11.7% 
印刷物の広告 11.5% 
引用:GWI.com

商品・ブランドの購入までの行動

フランスで商品を購入するまでの行動は、以下の通りです。 

・ネットでブランドをリサーチしてから購入する 50.4% 

・購入前の30日以内に、ブランドのウェブサイトを訪問 48.5% 

・購入前の30日以内にウェブサイト上のバナー広告をクリックまたはタップ 8.3% 

・購入前の30日以内に、スポンサー付きソーシャルメディアの投稿をクリックまたはタップ 9.7% 

・過去30日以内にブランドのモバイルアプリをダウンロードまたは使用 11.6% 

また、16歳から64歳までのインターネット利用者が、オンラインでの購入動機になるものを回答した割合は以下の通りです。 

購入動機 購入動機のシェア率(%) 
無料配送 66.3% 
クーポン&ディスカウント 42.0% 
ポイントプログラム 39.7% 
簡単に返品 31.4% 
カスタマーレビュー 30.3% 
翌日配達 29.9% 
エコフレンドリー(環境に優しい)な証明がある 19.9% 
無金利分割払いが可能 19.2% 
クリック&コレクト(※) 15.9% 
簡単にオンライン決済可能 15.4% 
会員登録不要で購入可能 15.4% 
オークション 14.3% 
SNSで共有やコメントをした 13.1% 
他にはないコンテンツ 8.0% 
ライブチャット機能がある 7.2% 
引用:GWI.com

※クリック&コレクトは、ECサイトで商品を購入し、リアル店舗や宅配ボックス、ドライブスルーなどの自宅以外の場所で商品を受け取るようにするショッピングスタイルおよびその仕組みのことをいいます。 

デバイスの比率(PC、スマートフォン、タブレット)

16歳から64歳のインターネット利用者のうち、各種デバイスを所有している人の割合は以下の通りでした。 

デバイス名 シェア率 前年比 
携帯電話全般 96.5% -0.6% 
スマートフォン 95.1% -0.6% 
フィーチャーフォン 6.4% -9.9% 
タブレット端末 46.1% -5.7% 
ゲーム機 41.3% -5.7% 
スマートウォッチ/スマートリストバンド 20.3% +23.0% 
TVストリーミング端末 13.4%  +12.6% 
スマートホームデバイス 12.3%  +23.0% 
バーチャルリアリティ端末 4.4% +12.8% 

まとめ 

・フランスのインターネットユーザーは年々増加しており、それに伴い各種ソーシャルメディア(SNS)ユーザー数も伸長しています。 

・新たなブランドや商品の認知経路としては検索エンジンが40%を占め、購入までの導線にネットでリサーチをしたり、ウェブサイトを訪問したりなどフランスにおけるデジタルマーケティングの重要度が増しています。 

・各種デバイスも携帯電話やスマートフォンを中心に高い普及率になり、スマートデバイスやスマートホームデバイスなど近年注目されているIoT関連商材のシェアが伸長しています。 

この記事を書いた人

野口慎平

GDX 事業責任者 兼 UDX株式会社ゼネラルマネージャー。
新卒で大手外資系総合コンサルティングファームにビジネス&テクノロジーコンサルタント職として就職。2016年よりプルーヴ株式会社に法人営業職として入社。慶應義塾大学理工学部・同大学院 理工学研究科電子工学修了。
海外SEOとマーケティングオートメーションを軸としたデジタルマーケティングを得意とする。
Salesforce Pardot甲子園2021優勝

取得資格:
応用情報技術者、IPAプロジェクトマネージャ、上級ウェブ解析士、IoTコーディネーター取得
Salesforce認定アドミニストレーター