米国のデジタルマーケティングトレンド2022(Web/SNS事情/EC、マーケット傾向分析)

「米国のデジタルマーケティング事情」が気になっていませんか。マーケターや経営者であればほとんどの方が、マーケティングを牽引している国の最新情報を掴んでおきたいと思っているのではないでしょうか。

経済産業省によると、2021年の米国のEC市場規模は前年に比べ14.6%増加し8,707億USドル、小売市場でのEC市場の割合にあっては13.2%と推計されています。今後も米国のEC化率は14%前後を維持する見込みであり、インターネットを通じた消費は途絶えないことでしょう。

そこで本記事では、SNSや検索エンジンのシェア率、どのように新しい商品を知るのか、米国で使われているデバイスの比率など、デジタルマーケティングを深掘りした内容を解説しています。

アメリカのデジタルマーケティングトレンドを抑えることで、経営資源を何に注力すべきか合理的に戦い方を選択できるようになり、ビジネスを成功させる確率を高められるでしょう。

米国とは

米国の国土は963万平方キロメートルと広大で、日本の約25倍もの広さを保有しています。西部にはロッキー山脈、東部にはアパラチア山脈が広がり、西部は乾燥地域、東部は湿潤地域と気候が分かれ降水量に違いがある地理的特徴を持ちます。

地域の人口分布にあっては、南部と西部で約6割、北東部と中西部で約4割の人が住んでいます。南部にはフロリダ州、テキサス州、西部にはカリフォルニア州があり、米国でTOP3の人口を誇る都市が西部と南部に位置しています。

また、人種の比率について1990年と2020年を比較すると、白人の割合は75%から58%に減少し、スペイン語を母国語とするスペインに関係するヒスパニック系の割合は、9%から18%に増えている状況です。

とはいえ白人が約6割を占めており、日常会話では英語を話す人がほとんどのため、事実上では英語が公用語とされています。英語の次には、スペイン語を話す人が多いようです。

毎年人口が増えている米国の経済にあっては、2022年の国内総生産が約19兆7,000億ドルと日本の約4倍(日本の国内総生産:約5兆ドル)に達すると予想されています。コロナ禍で2020年の経済成長率は下がったものの、2021年以降はコロナ禍前よりも国内総生産が上昇、経済成長率も5%を越え、コロナ禍前の生活に戻りつつあるでしょう。

2018年2019年2020年2021年2022年※
人口(人)3億2,700万3億2,800万3億3,100万3億3,200万3億3,300万
国内総生産(GDP)(ドル)18兆6,060億19兆320億18兆3,840億19兆4,270億19兆7,460億
経済成長率(%)2.92.2-3.45.61.6
消費者物価指数251255258270292
物価上昇率(%)2.41.81.24.68.0
失業率(%)3.83.68.05.33.6

※2022年にあっては推計の値

出展:IMF – World Economic Outlook Databases(2022年9月版)

また、米国が日本から購入した越境EC購入額も年々右肩上がりで、2021年においては約1兆2,200億円にも達しました。米国のEC化率は今後も14%前後を維持する見通しで、アメリカのデジタルマーケティングから目が離せません。

そこで、2022年の米国の最新情報をまとめました。SNSのシェア率やネット普及率など、デジタルマーケティングに欠かせない情報を解説しています。

米国のデジタルマーケティング概況

米国におけるネットユーザーは何人いると思いますか。DATAREPORTALによると、2022年1月のネットユーザー数は3億720万人、ネット普及率は総人口の92%だったと報告されています。日本の総人口の約3倍近くの人がネットを利用している状況です。

そしてネットユーザー数は年々増えている傾向で、2021年から2022年にかけ840万人も増えたとも分かったそうです。約3億人のネットユーザーは、どんなデバイスからネットにアクセスしているのでしょうか。16歳から64歳のネットユーザーを対象に行った調査では、次の表のようなランキングになりました。

ランキングデバイス割合(%)前年比(%)
第1位モバイルフォン(個人用、会社用含む)90.0-0.2
第2位スマートフォン88.6-0.3
第3位ノートパソコン or デスクトップ(個人用、会社用含む)76.4-4.5
第4位ノートパソコン or デスクトップ(個人用)70.1-5.5
第5位タブレット40.6-4.9

やはり、常日頃持ち歩くモバイルフォンやスマートフォンからネットを利用する人が多いようです。各デバイスの持ち運びやすさや利用のしやすさを考えても、スマートフォン経由のユーザーが多いのは当然かもしれません。

では、SNSのシェア率はどうでしょうか。

SNSシェア率

2021年のSNSのユーザ数にあっては、2億7,010万人と総人口の約81%が利用していたとも分かっています。そして、前年からユーザー数が3,000万人も増えていることも判明しました。SNSに触れる1日の平均時間は、2時間14分と映画1本分よりも長い時間を過ごしている人が多く、SNSは米国の日常生活にも浸透しています。

では、米国で最も使われているSNSは何でしょう。本記事で最も知りたい情報の1つではないかと思います。気になるSNSのTOP5は次の通りです。

ランキングSNS割合(%)
第1位Facebook74.2
第2位Facebook Messenger61.1
第3位Instagram60.7
第4位TikTok42.4
第5位Twitter41.8

また、ネットユーザーが好きなSNSについては次の結果となっています。

ランキングブラウザ割合(%)
第1位Facebook26.2
第2位Instagram14.6
第3位TikTok10.1
第4位Imessage5.4
第5位Facebook Messenger5.3

この結果から、FacebookやInstagramは好んで使われているSNSと読み取れますが、Facebook Messengerにあっては、仕方なく使っている人が多いのかもしれません。

FacebookやInstagramが上位にランクインしていることから、ユーザーとしては文字情報だけより、写真や動画も合わせて情報発信できるSNSが人気を集めているとも考えられるでしょう。企業のPRで認知を広めたい場合には、FacebookやInstagramを使うと効果的に認知度を高められる可能性がありそうです。

検索エンジンシェア率

ネットユーザー大国の米国で使われている検索エンジンのランキングは次の通りです。

ランキング検索エンジン割合(%)前年比(%)
第1位Google87.3-0.4
第2位Bing6.4-0.8
第3位Yahoo!3.3+6.1
第4位Duckduckgo2.5+8.6
第5位Other0.15-11.8

やはり、米国でも「Google」ユーザーは多いようです。自身のアカウントを作成することで利便性を向上できますし、拡張機能を自分好みに設定できる点など、使いやすさにおいて他のブラウザとレベルが違うのかもしれません。

また、Googleドキュメントやカレンダーでのスケジュール管理、スプレッドシートなどビジネスで使えるツールを無料で提供していることも、多くのユーザーに支持されている要因になっていることでしょう。

さらに、GoogleからFacebookやYoutubeにアクセスし、SNSを通じてネット情報に触れる人が約31%もいるようで、SNSとの繋がりもユーザーが離れない理由の1つかもしれません。

では、好きなブランドや商品に関する最初の情報は、検索エンジンから得られているのでしょうか。若しくは、最初の情報はテレビや雑誌から得ているのでしょうか。

デバイスの比率

3億人を越えるネットユーザーがいる米国で最も保有率が高いデバイスは何だと思いますか。DATAREPORTの調査結果では、以下のランキングになりました。(調査対象者:16歳から64歳までのインターネットユーザー)

ランキングデバイス割合(%)前年比(%)
第1位スマートフォン96.1-0.2
第2位ノートパソコン or デスクトップ69.1-5.7
第3位タブレット48.0-4.4
第4位ゲーム機37.1-6.3
第5位TVストリーミング36.7+0.5

やはり、スマートフォンを持っている人が96.1%と断トツに。そして、パソコン、タブレットと続いています。しかしなぜ、スマホやパソコン、タブレットの保有率が高いのでしょう。

実は、1日にネットを使っている時間は7時間を超え、SNSでは2時間以上も費やしていることも分かっています。ネットに触れる時間が増えるのは、SNSの普及で家族や友達の近況を気軽に知れたり、ECサイトの繁栄で自宅にいながら買い物できたりなど、ネットが日々の生活を豊かにしてくれている背景が関係しているでしょう。

また、ネットを使う理由として、情報検索、How to調査、友達や家族との連絡の他に、音楽を聞く、動画やTVを見るなどエンターテイメントを楽しめる役割もあり、娯楽用途でネットを使うために長時間使用するユーザーが多いのかもしれません。

新しい商品・ブランドを何で最初に知るか

検索エンジンのシェア率に比べると大差はなく、次の結果となりました。

ランキングツール割合(%)
第1位テレビ広告35.3
第2位口コミ34.0
第3位オンラインショップ31.2
第4位検索エンジン31.2
第5位ソーシャルメディア広告26.7

最も多くの票を集めたのが「テレビ広告」。ネットユーザーの増加を考えると、意外に感じた方もいるのではないでしょうか。Googleで流れてくる広告では、自身の検索結果から自動的にオススメの商品やサービスが選ばれているため、検索エンジンやソーシャルメディア広告よりも、テレビ広告の方が発見されやすいのかもしれません。

ネットからなんでも情報収集できる時代ですが、テレビ広告で認知を広める方法は、今でも有効的なマーケティング方法といえるでしょう。

商品・ブランドを何を通じて調べるか

新しい情報を知ったあと、どのように詳細を調べるのか。やはり、商品やサービスの詳細を調べるには「検索エンジン」を使う人が多いようです。次の表を見てみましょう。

ランキングツール割合(%)
第1位検索エンジン54.9
第2位消費者レビュー39.6
第3位ブランドのサイト35.9
第4位SNS31.9
第5位価格の比較サイト22.0

第2位には「消費者レビュー」がランクインしています。米国でも、実際の利用者の声を重要視する人が多いのでしょう。加えて、ブランドのサイトにも訪れる人もいるため、自社のサイトには消費者レビューの欄を挿入しておくと、消費者の離脱を抑えられるかもしれません。

検索言語

米国で話されている言語は英語が最も多く、次いでスペイン語が多用されています。
事実上、英語が公用語とされています。そのため、検索言語も英語が主流です。

まとめ

米国の特徴を始め、ネットユーザーの普及率やSNSシェア率など、Webマーケティングに関する内容をお伝えしてきました。少しは米国のネット状況を把握できたでしょうか。

コロナ禍によりネットユーザーの増加やEC化率が高まり、ますますWebマーケティングでの戦略が大切になってくると思われます。スマホの普及によりネットが繁栄したことで、少ない予算でも広告を発信できるようになりました。そのため、今は小さな会社でも大きく成長するチャンスが増えていると思います。

市場のシェアを将来維持するためにも、どこに経営資源を投入すべきなのか冷静な判断が肝心になってきます。特に海外進出においては情報収集と分析が、将来の経営の運命を握るといっても過言ではないでしょう。

この記事を書いた人

野口慎平

GDX 事業責任者 兼 UDX株式会社ゼネラルマネージャー。
新卒で大手外資系総合コンサルティングファームにビジネス&テクノロジーコンサルタント職として就職。2016年よりプルーヴ株式会社に法人営業職として入社。慶應義塾大学理工学部・同大学院 理工学研究科電子工学修了。
海外SEOとマーケティングオートメーションを軸としたデジタルマーケティングを得意とする。
Salesforce Pardot甲子園2021優勝

取得資格:
応用情報技術者、IPAプロジェクトマネージャ、上級ウェブ解析士、IoTコーディネーター取得
Salesforce認定アドミニストレーター