台湾のデジタルマーケティングトレンド2022(Web/SNS事情/EC、マーケット傾向分析)

台湾は国土が小さいながらも経済成長率が高く、今後も急速な成長が見込まれています。日本ともかなり距離が近く、実際日本企業で越境ECのターゲットとして台湾は多く検討されます。
そんな日本にとっても注目度の高い台湾を今回は掘り下げ、同国におけるデジタルマーケティングの概況についてご紹介していきます。

台湾の概要

台湾は中国大陸と南西諸島の間に位置する国で、国土面積は3万6千平方キロメートルと日本の九州よりやや小さい大きさの国家です。人口は2022年1月時点で約2,387万人でした。この人口は2021年から2022年の間で36,000人(+ 0.2%)増加しています。

国土は九州と変わらないくらいの広さであるにもかかわらず、人口がかなり多い国でもあります。人口密度は他の国と比較しても高いです。

また、台湾では中国語、台湾語、客家語などが話されていて、公用語である中国語は中国で話されているものとほとんど変わりがありません。ただし発音と文字が中国本土で話される中国語と異なる場合があります。宗教については仏教をはじめ道教、キリスト教などが信仰されています。

一人当たりのGDPは33,775米ドルで、名目GDPは7,895億米ドルです。直近5年の数値は以下の通りです。

 2018年2019年2020年2021年2022年 ※
各目GDP(10億ドル)609.198611.396669.25789.505841.209
各目GDP(10億ニュー台湾ドル)18,375.0218,908.6319,798.6022,124.7023,253.96
一人当たりの各目GDP(ドル)25,825.5725,903.1728,404.7233,775.1736,051.06
一人当たりの各目GDP(ニュー台湾ドル)778,967.95801,107.28840,303.84946,498.54996,577.08
経済成長率(%)2.79 3.06 3.66 6.45 4.42 
物価上昇率(%)1.5040.546-0.1811.8222.3
失業率(%)3.713.733.853.953.6

※ 2022年の数値はIMFによる2022年4月時点の推計 

出展:IMF – World Economic Outlook Databases(2022年4月版) 

台湾のデジタルマーケティング概況

続いて台湾におけるデジタルマーケティングを支えるインターネット環境について、解説します。台湾のインターネットユーザー数は2172万人で、総人口の91.0%の人がインターネットを利用できる環境にある状況です。

インターネットユーザーの数は増加傾向にあり、同国のユーザー数は2021年から2022年にかけて、27.1万人(+1.3%)の増加が見られました。

現在、台湾でオフライン環境にある人は215万人と見られており、これは人口の9.0%に当たります。また台湾人の1日あたりのインターネット利用時間は、平均で8.07時間にのぼり、昨年比では1分(−0.2%)減りました。

しかしテレビを視聴している平均時間が2.51時間、ラジオの視聴時間が0.32時間であることを考えると、台湾ではインターネットが国民にとってかなり身近な存在であることが分かります。

台湾におけるSNSユーザー数と1ヵ月に利用する割合

ここから、台湾におけるSNSユーザーの数を見ていきましょう。台湾では現在、2135万人ものSNSユーザーが存在し、全人口の約89.4%がソーシャルメディアを活用しています。

SNSユーザー数は2021年から2022年の間に170万人(+8.4%)増加していて、多くの国民にとってSNSは生活に欠かせない存在となりつつあります。

1日あたりの平均利用時間は2.04時間で、前年よりも約6.9%増加しています。

対象SNSSNS利用ユーザー数
Facebook1,635万人
Youtube2,010万人
Instagram1,055万人
Tiktok416万人
FacebookMes​​senger1,065万人
LinkedIn260万人
Twitter270万人
引用:Meta,Google,Twitter,Tiktokなど各社のオープンデータ
対象SNS1ヵ月に利用する割合
LINE95.7%
Facebook90.8%
Instagram70.6%
FacebookMessenger68.5%
Tiktok35.2%
Twitter30.9%
Wechat29.2%
iMessage20.3%
Whatapp18.3%
Telegram18.0%
Skype16.4%
Pinterest13.4%
LinkedIn12.4%
Dicord10.7%
Imgur5.9%
引用:GWI.com

Facebookのユーザー数

世界で圧倒的なユーザー数を誇り、長年人気を集めるのがFacebookです。台湾でも2022年初頭で1635万人と多くのユーザーを抱えています。インターネットユーザーの半数以上がFacebookを利用していることが分かります。

また2022年の開始時点で、台湾におけるFacebookの広告リーチは総人口の68.5%に達しており、広告媒体としても訴求力の高さが見受けられます。さらに13歳以上のFacebook利用対象ユーザーに限定すると、そのリーチ数は77.0%に伸び、Facebookは台湾においてデジタルマーケティングの重要な鍵と言えるでしょう。

Youtubeのユーザー数

世界的動画共有プラットフォームであるYoutubeの人気は、台湾においても健在です。台湾国内でのYoutubeのユーザー数は2010万人にのぼり、その数字はなんとFacebookよりも大きいのです。Youtubeの広告リーチも、台湾の総人口比で84.2%と、訴求効果の高さが伺えます。

またインターネットユーザーに限定すると、そのリーチ数は92.5%と驚くほど高く、Youtubeが同国のネット上で大きな役割を果たしていることが見て取れます。YouTubeは台湾を対象とするデジタルマーケティングには欠かせないサービスと言えるでしょう。

Instagramのユーザー数

続いては、Instagramです。サービスの特性上、日本では比較的若年層にユーザーが固まっているInstagramですが、台湾では1055万人ものユーザーを抱えています。台湾ではInstagramもFacebookやYouTubeと同様に、人気のSNSとして多くのユーザーに利用されています。

Instagramの広告リーチ数は総人口の44.2%に達しており、インターネットユーザーに限定すると49.7%にのぼります。また、台湾におけるInstagram広告利用者の男女比は、男性が46.2%、女性が53.8%と、やや女性が多い傾向にある点も特徴です。

TikTokのユーザー数

ByteDanceが運営する中国発のSNSとして人気を誇るTikTokは、台湾でも一定の影響力を持っています。2022年時点で416万人のユーザーを同国で抱えており、若者を中心に人気を集めています。

またByteDanceが発表する、成人に到達したインドネシア全体への広告リーチ数は、全体の20.6%に及びます。年齢に関係ない、インターネットユーザーに限定した場合、その割合は19.1%です。

また、TikTokもInstagram同様、女性ユーザーに人気のあるサービスで、ユーザー全体の48.4%が男性、51.6%が女性と若干女性の割合が多くなっています。

Facebook Messengerのユーザー数

Facebookユーザー同士がリアルタイムでメッセージのやりとりを行えるFacebook Messengerは、台湾国内にて1065万人の人々に広告がリーチしています。やはりFacebookと連動するサービスであるため、ユーザー数も多くなっています。総人口で見ると、全体の44.6%にあたる数字で、インターネットユーザーに限定すると、50.2%にリーチしています。

LinkedInのユーザー数

ビジネス特化型SNSであるLinkedInは、台湾において260万人の登録ユーザーを獲得しています。広告のリーチ数は、総人口比で10.9%、インターネットユーザーに限定して12.0%です。

ビジネス向けのSNSということで、他のSNSと比較するとユーザーを選ぶサービスであることが分かります。

Twitterのユーザー数

日本では圧倒的な人気を誇るTwitterですが、台湾のユーザー数は270万人と、他のSNSと比較するとかなりユーザー数は少なめです。広告リーチ数は総人口の11.3%、インターネットユーザー全体の12.4%と、デジタルマーケティングによる幅広いアプローチには不向きと言えるでしょう。

台湾で今後も人気を得て展開させていくには運用に工夫が必要でしょう。

検索エンジンシェア率

続いて、検索エンジンのシェアを見ていきます。台湾で最も利用されている検索エンジンは、94.36%で圧倒的にGoogleです。そのほかYahoo!が4.36%、Bingが1.20%と続きますが、ほとんどの人はGoogleを利用しているということになります。

検索エンジンシェア率前年比
Google94.36%+0.8%
Bing1.2%+11.1%
Baidu0.03%不明
Yahoo!4.36%-16.2%
Yandex0.02%不明
Duckduckgo0.01%不明
Ecosia0.01%不明
その他0.01%
引用:Statcounter

新しい商品・ブランドを何で最初に知るか

台湾の人々にとって、最も新たな商品やブランドとの接点となっているのは、検索エンジンです。45.6%の人々が検索エンジンを通じてこれらのコンテンツを発見しています。その他には、調査によると42.8%の人が口コミ、35.5%の人々がウェブサイトの広告で知ると回答しています。

検索エンジン45.6%
口コミ42.8%
ウェブサイトの広告35.5%
モバイルアプリ内の広告33.5%
TV広告33.0%
ソーシャルメディア広告32.2%
ソーシャルメディアのコメント29.5%
ブランド・商品のウェブサイト29.0%
商品比較サイト26.5%
消費者レビューサイト26.3%
TV番組・映画25.8%
フォーラム&メッセージボード25.4%
オンライン動画の広告22.7%
専門家のブログのレビュー22.1%
有名人・著名人の推薦20.3%
引用:GWI.com

商品・ブランドを何を通じて調べるか

続いて詳しい商品情報をどのような手段で調べるかについてです。台湾では、やはり検索エンジンやお客様レビューで調べる人が多く、66.7%が検索エンジン、45.8%がレビューと回答しています。
また、44.2%はSNSで調べると回答しており、コマースにおけるSNS活用が増加していることが見て取れます。

検索エンジン66.7%
消費者レビュー45.8%
SNS44.2%
ブランドウェブサイト39.7%
価格比較サイト37.9%
フォーラム&メッセージボード33.2%
クーポンサイト27.7%
ブランド・商品のブログ25.5%
モバイルアプリ19.4%
専門家のレビューサイト16.9%
ビデオサイト16.5%
メッセージ&ライブチャット13.1%
Q&Aサイト11.7%
VLOGS11.7%
個人ブログ8.5%
引用:GWI.com

デバイスの比率(PC・スマートフォン・タブレット)

ウェブトラフィックのシェアは下記のようになっています。

デバイス流入シェア前年比
モバイル48.75%-3.2%
デスクトップ44.28%+4.1%
タブレット6.95%-2.0%
その他0.02%-50.0%
引用:Statcounter

まとめ

今回は台湾のデジタル環境やデジタルマーケティング施策に関して、概要をご紹介していきました。
台湾は経済成長とIT改革の著しいアジア有数の国であり、多くの国民がインターネットやSNSを日々利用しています。
米国系から日系・中華系のSNSまで広く浸透しています。
また、人口規模が小さいものの、デジタル浸透度は極めて高いため、テストマーケティングとしては最適な国です。


この記事を書いた人

野口慎平

GDX 事業責任者 兼 UDX株式会社ゼネラルマネージャー。
新卒で大手外資系総合コンサルティングファームにビジネス&テクノロジーコンサルタント職として就職。2016年よりプルーヴ株式会社に法人営業職として入社。慶應義塾大学理工学部・同大学院 理工学研究科電子工学修了。
海外SEOとマーケティングオートメーションを軸としたデジタルマーケティングを得意とする。
Salesforce Pardot甲子園2021優勝

取得資格:
応用情報技術者、IPAプロジェクトマネージャ、上級ウェブ解析士、IoTコーディネーター取得
Salesforce認定アドミニストレーター