本記事では、2022年時点のドイツのデジタルマーケティングの状況や、各種SNSサービスの利用状況やデジタルデバイスやデジタルサービスの利用状況をご紹介します。
目次
ドイツとは(人口、言語、宗教、GDPなど)
ドイツの公用語はドイツ語です。
宗教は、カトリック(27.2%)、プロテスタント(24.9%)、ユダヤ教(0.1%)の割合で信仰されています(※)。
※参照:連邦統計庁(https://www.destatis.de/EN/Home/_node.html)
2022年のドイツの人口
2022年1月のドイツの総人口は8,389万人でした。ドイツの人口は2021年から2022年の間に5万人(+ 0.06パーセント)増加し、人口の50.5%は女性であり、人口の49.5%は男性でした(※)。
2022年の初めには、ドイツの人口の77.7%が都市部に住んでいましたが、22.3%は地方に住んでいました。
※性別データは現在、「女性」と「男性」でのみ利用できます。
ドイツの年代別人口
ドイツの人口全体の平均年齢は、45.9歳です。年代別の人口構成比は以下の通りです。
年齢 | 人口構成比 |
---|---|
0~4歳 | 4.9% |
5~12歳 | 7.4% |
13~17歳 | 4.6% |
18~24歳 | 7.3% |
25~34歳 | 11.9% |
35~44歳 | 12.8% |
45~54歳 | 13.2% |
55~64歳 | 15.6% |
65歳~ | 22.3% |
ドイツのGDP等のデータ
ドイツのGDPは強力な経済力を誇り、伸長傾向が継続しています。失業率は欧州先進国の中でも極めて低い数値で推移しています。直近5年の数値は以下の通りです。
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年(※) | |
名目GDP(10億USドル) | 3,979.09 | 3,888.76 | 3,843.34 | 4,225.92 | 4,256.54 |
名目GDP(10億ユーロ) | 3,367.86 | 3,473.35 | 3,367.56 | 3,570.62 | 3,819.33 |
一人当たりの名目GDP(USドル) | 47,995.38 | 46,800.18 | 46,215.60 | 50,794.95 | 51,103.98 |
一人当たりの名目GDP(ユーロ) | 40,622.76 | 41,800.88 | 40,494.46 | 42,918.30 | 45,854.89 |
経済成長率(%) | 1.09 | 1.05 | -4.56 | 2.79 | 2.10 |
物価上昇率(%) | 1.94 | 1.35 | 0.37 | 3.21 | 5.46 |
失業率(%) | 3.40 | 3.15 | 3.83 | 3.52 | 3.22 |
※ 2022年の数値はIMFによる2022年4月時点の推計
出展:IMF – World Economic Outlook Databases(2022年4月版)

ドイツのデジタルマーケティング概況
2022年1月のドイツのインターネットユーザーは7,802万人でした。
ドイツのインターネット普及率は、2022年の初めに総人口の93.0%でした。
Kepiosの分析によると、ドイツのインターネットユーザーは2021年から2022年の間に160万人(-2.0%)減少し、人口の7.0%が2022年の年初にオフラインのままでした。ただし、新型コロナウイルス(COVID-19)蔓延がインターネット普及に関する調査に影響を与えているため、実際のインターネットユーザー数はこの公表数値よりも高い可能性があります。
インターネット接続速度
インターネット接続スピードテストを提供しているOokla社の発表では、ドイツの携帯電話ネットワーク経由のモバイルインターネット接続速度の中央値は51.03 Mbpsで、前年より17.50Mbps(+52.2%)速度が速くなりました。
固定インターネット接続速度の中央値は 67.15Mbpsで、前年より12.07Mbps(+21.9%)速くなりました。
SNSシェア率
ドイツの2022年1月時点でのソーシャルメディア(SNS)ユーザーは7,260万人で、前年比660万人(+10.0%)増加しました。2022年初頭のソーシャルメディアユーザー数は、全人口の86.5%に相当(※)です。 このうち女性ユーザーが50.6%、男性ユーザーが49.4%と、ほぼ同じぐらいです。
1日の平均SNS利用時間は1時間29分で、1ヶ月の利用SNS数は平均5.3プラットフォームとなっています。
※ソーシャルメディアユーザー数と個人は一対(いっつい)にならない場合があります。
以下の項から、各SNSでのシェア率をご紹介します。
対象SNS | 1カ月に利用する割合 |
---|---|
83.6% | |
60.7% | |
53.9% | |
Facebook Messenger | 35.6% |
29.4% | |
TikTok | 25.8% |
22.1% | |
Telegram | 20.3% |
Skype | 19.2% |
Snapchat | 19.1% |
14.7% | |
14.6% | |
IMessage | 13.7% |
Discord | 11.6% |
Signal | 11.1% |
Facebookユーザー数
Facebookを提供するMetaの広告リソースで公開されているデータによると、2022年の年始のFacebookのユーザー数は2,575万人でした。Facebookは利用を13歳以上に限定しているため、「利用対象ユーザー」のみに限定すると総人口の30.7%がFacebookを利用しています。
Facebook広告のリーチは、総人口の35.0%で広告利用者の男女比は、女性が49.6%、男性が47.9%(※)、Facebookの広告リーチは、2022年1月時点でインターネットユーザー(年齢不問)の50.4%相当でした。
※Meta社の広告リソースは、「女性」「男性」ユーザーのオーディエンス性別データのみを公開しています。
YouTubeユーザー数
Googleの広告リソースによると、2022年の年始のYouTubeのユーザー数は7,260万人で、YouTubeの2022年の広告リーチは年初の総人口の86.5%相当です。2022年1月のYouTubeの広告は、ドイツの全インターネットユーザー(年齢不問)の93.1%に到達しています。また、YouTubeの広告視聴者は女性が50.6%で、男性が49.4%(※)でした。
※Googleの広告リソースは、「女性」と「男性」のユーザーのオーディエンス性別データのみを公表しています。
Instagramのユーザー数
Metaの広告ツールで公開されているデータによると、2022年の年始のInstagramのユーザー数は2,985万人でした。同データによると、Instagramの広告リーチ(到達率)は、総人口の35.6%相当でした。Instagramは利用を13歳以上に限定しているため、「利用対象ユーザー」のみに限定すると総人口の40.6%がInstagramを利用しています。
また、2022年の年初のInstagramの広告到達率は、ドイツの全インターネットユーザー(年齢不問)の38.3%相当でした。また、Instagram広告の利用者は、女性が48.8%で、男性が51.2%(※)でした。
※Metaの広告リソースは、「女性」「男性」ユーザーのオーディエンス性別データのみを公開しています。
TikTokユーザー数
TikTokを運営するByteDance社の広告リソースによると、2022年の年始の18歳以上のTikTokのユーザー数は1,699万人でした。ByteDanceでは、マーケターが広告ツールを介して13歳以上のユーザーにTikTok広告のターゲットを絞ることができますが、これらのツールは18歳以上のユーザーのオーディエンスデータしか表示されません。ByteDance(※1)の数値によると、2022年の年初にTikTok広告は、18歳以上の全成人の24.4%にリーチしていました。
一方、ドイツにおけるTikTokの広告到達率(年齢不問)は、年初に現地のインターネットユーザー層の21.8%相当です。2022年の年初のTikTokの広告利用者は女性が53.6%、男性46.4%(※2)でした。
※1 ByteDanceとは、動画共有サービスTikTokなどを運営する中華人民共和国のテクノロジー企業。
※2 ByteDanceの広告リソースは、「女性」「男性」ユーザーのオーディエンス性別データのみを公開しています。
Facebookメッセンジャーのユーザー数
Metaの広告リソースで公開されているデータによると、2022年の年始のFacebook Messengerの広告が1,435万人のユーザーに到達しました。Facebook Messengerの広告リーチは、年初に総人口の17.1%相当です。Facebook Messengerは利用年齢を13歳以上に限定しているため、「利用対象ユーザー」のみに限定すると19.5%に到達しています。Facebook Messengerの広告到達率は、現地のインターネットユーザー(年齢不問)の18.4%相当です。2022年の年初でのFacebook Messengerの広告オーディエンスは、女性が50.4%で、男性が49.6%(※)でした。
※Metaの広告リソースは、「女性」「男性」ユーザーのオーディエンス性別データのみを公開しています。
※Facebook Messengerの広告フォーマットの一部は現在フランスのマーケティング担当者が利用できないため、プラットフォームの広告リーチの数値は同国のプラットフォームの総アクティブユーザーベースよりもかなり低くなっている可能性があります。

LinkedInユーザー数
LinkedInの広告リソースで公開されている数字によると、2022年の年始のLinkedInのユーザーは1,300万人でした。LinkedInの広告ツールは、他のSNSプラットフォームが公表する広告リーチの数値の基礎となる月間アクティブユーザーではなく、総登録会員に基づくオーディエンスリーチデータを公表しているため、この記事でご紹介している他のSNSプラットフォームの数値と直接比較できない点にご注意ください。
LinkedInのオーディエンスは、総人口の15.5%相当です。LinkedInは利用年齢を18歳以上に限定しているため、「利用対象ユーザー」のみに限定すると2022年中にLinkedInの利用ユーザーは18.6%まで伸長する可能性があります。
LinkedInの広告リーチは、インターネットユーザー(年齢問わず)の16.7%相当でした。2022年の年初のLinkedInの広告利用者は、女性が38.1%、男性が61.9%(※)でした。
※LinkedInの広告リソースは、「女性」「男性」ユーザーのオーディエンス性別データのみを公開しています。
Snapchatのユーザー数
Snapchatの広告リソースで公開されているデータによると、2022年の年初のSnapchatのユーザー数は1.530万人で、Snapchatの広告到達率は総人口の18.2%相当でした。ただし、Snapchatは利用年齢を13歳以上に限定しているため、「利用対象ユーザー」のみに限定すると20.8%相当になります。補足すると、Snapchatの広告到達率は、年初に現地のインターネットユーザー(年齢不問)の19.6%に相当です。Snapchatの広告利用者は、女性が56.7%で男性が42.8%(※)でした。
※Snapの広告リソースは、「女性」「男性」ユーザーのオーディエンス性別データのみを公開していますが、これらの属性で公開されている数値は、必ずしも総ユーザー数に加算されないため、ここで紹介するパーセンテージの合計は100%にならない場合があります。
Twitterユーザー数
Twitterの広告リソースで公開されている数字によると、2022年の年初のTwitterのユーザー数は775万人で、広告到達率は総人口の9.2%相当でした。ただし、Twitterは利用年齢を13歳以上に限定しているため、「利用対象ユーザー」のみに限定すると10.5%に相当します。
補足すると、Twitterの広告到達率は、インターネットユーザー(年齢不問)の9.9%に相当します。
Pinterestユーザー数
Pinterestの広告リソースで公開されているデータでは、2022年の年初のユーザー数は1,512万人で、広告到達率は、年初の総人口の18.0%相当でした。ただし、Pinterestは利用年齢を13歳以上に限定しているため、「利用対象ユーザー」のみに限定すると20.5%がPinterestを利用しています。Pinterestの広告到達率は、インターネットユーザー層(年齢不問)の19.4%に相当します。Pinterestの広告利用者は、女性が78.4%で、男性が15.4%(※)でした。
※2022年の年初のオーディエンスデータでは、「性別不詳」のユーザーはPinterestの広告オーディエンス全体の4.9%を占めていました。
2022年のドイツにおけるモバイル接続状況
GSMA Intelligenceのデータによると、2022年初頭のセルラーモバイル接続数は1億1790万でした。世界中で多くの人が複数のモバイル接続を利用しており、例えば個人用と仕事用の端末を保有するなど、モバイル接続数は総人口の数値を大きく上回ることもあります。GSMA Intelligence社が公表したデータによると、ドイツのモバイル接続数は2022年1月に総人口の141%相当で、2021年から2022年にかけて450万人(+3.9%)増加しました。
検索エンジンシェア率
検索エンジンのシェアは、Googleが90.52%で大半を占めており、次いでBINGが5.70%、Ecosiaが1.03%、DuckDuckGoが0.99%、Yahoo!0.70%、Yandexが0.33%、Baidu(百度)が0.03%、その他が0.70%でした。
新しい商品・ブランドの認知経路
新しい商品やブランドの認知経路や認知経路のシェア率は、以下の通りです。
ブランドの認知経路 | 認知経路のシェア率(%) |
---|---|
検索エンジン | 68.8% |
価格比較サイト | 38.8% |
ソーシャルネットワーク | 27.8% |
消費者レビュー | 26.1% |
ブランドサイト | 25.4% |
専門家レビューサイト | 16.5% |
モバイルアプリ | 15.2% |
割引クーポンサイト | 14.1% |
Q&Aサイト | 11.2% |
ネット掲示板や掲示板 | 8.4% |
ブランドや製品ブログ | 8.3% |
動画サイト | 8.2% |
オンラインピンボード | 7.4% |
メッセージング&ライブチャット | 5.2% |
Vlog | 4.6% |
商品・ブランドの購入までの行動
ドイツで商品を購入するまでの行動は、以下の通りです。
・ネットでブランドをリサーチしてから購入する 56.7%
・購入前の30日以内に、ブランドのウェブサイトを訪問 52.1%
・購入前の30日以内にウェブサイト上のバナー広告をクリックまたはタップ 14.2%
・購入前の30日以内に、スポンサー付きソーシャルメディアの投稿をクリックまたはタップ 9.8%
・過去30日以内にブランドのモバイルアプリをダウンロードまたは使用 10.5%
また、16歳から64歳までのインターネット利用者が、オンラインでの購入動機になるものを回答した割合は以下の通りです。
購入動機 | 購入動機のシェア率(%) |
---|---|
無料配送 | 62.3% |
クーポン&ディスカウント | 45.7% |
簡単に返品 | 40.6% |
カスタマーレビュー | 31.9% |
簡単なオンラインチェックアウト | 28.8% |
翌日配達 | 27.4% |
ポイントプログラム | 23.0% |
会員登録不要で購入可能 | 22.8% |
エコフレンドリー(環境に優しい)な証明がある | 21.8% |
無利息分割払い | 14.6% |
SNSでいいね!やコメントをした | 11.8% |
他にはないコンテンツ | 9.9% |
クリック&コレクト(※) | 9.5% |
オークション | 8.3% |
ライブチャット機能がある | 4.8% |
※クリック&コレクトは、ECサイトで商品を購入し、リアル店舗や宅配ボックス、ドライブスルーなどの自宅以外の場所で商品を受け取るようにするショッピングスタイルおよびその仕組みのことをいいます。
デバイスの比率(PC、スマートフォン、タブレット)
16歳から64歳のインターネット利用者のうち、各種デバイスを所有している人の割合は以下の通りでした。
デバイス名 | シェア率 | 前年比 |
---|---|---|
携帯電話全般 | 87.5% | +0.1% |
ラップトップやデスクトップ端末全般 | 84.5% | -0.7% |
スマートフォン | 87.0% | ±0.0% |
フィーチャーフォン | 1.9% | +46.2% |
タブレット端末 | 45.6% | +0.9% |
個人用ラップトップやデスクトップ端末 | 79.4% | -1.4% |
コネクテッドTV | 37.4% | +5.1% |
スマートホームデバイス | 14.8% | 前年データなし |
ゲーム機 | 18.4% | +7.0% |
まとめ
・ドイツの2021年から2022年にかけてのGDPは伸長傾向にあるものの、インターネットユーザーは2021年から2022年の間に160万人(-2.0%)減少しています。ドイツは、総合的な産業競争力は高いものの、デジタル競争力は高いわけではなく、DESI(※) 2020でもドイツは英国を含む EU 加盟 28 か国中 12 位と中位でした。デジタル化には高速インターネットが必須で、コロナ禍以降の2022年の年初では携帯電話ネットワーク経由のモバイルインターネット接続速度の中央値は51.03 Mbpsで、前年より+52.2%速度が改善するなど急速な整備が進められています。
・ドイツの2022年の年初の各種SNSの普及率は7,260万人で全人口の86.5%に相当と普及率は高いです。媒体別に見ると、2022年1月のYouTubeの広告は、ドイツの全インターネットユーザー(年齢不問)の93.1%で、次にユーザー数の多いInstagramの2,985万人で35.6%相当のシェアと比較しても非常に高い普及率な事がわかります。
・新たなブランドや商品の認知経路としては、検索エンジンが68.8%、価格比較サイト38.8%、ソーシャルネットワークが27.8%とオンラインでのリサーチが上位3位を占めるなど、ドイツにおけるデジタルマーケティングの重要度が増しています。
※DESI:Digital Economic and Society Indexは、ヨーロッパのデジタルパフォーマンスに関する指標を要約し、EU諸国の進捗状況を追跡したレポートです。