プレスリリースは会社の知名度を向上させたり、新商品の注目を高めたりする上で重要な役割を果たします。従来ではFAXを使ったプレスリリース配信が一般的でしたが、今ではテキストデータで簡単に配信を行えるため、ますます身近な施策となりつつあります。
国内向けのプレスリリースだけでなく、近年は海外に向けたプレスリリースの配信も企業によっては進められています。今回は、海外向けプレスリリースの運用効果や、具体的な方法、そして費用について解説します。
目次
海外向けプレスリリースが重視される背景
海外向けプレスリリースは、以前にもまして重視されるようになってきています。その利用方法として、以下の2つが挙げられます。
インバウンド需要の冷え込み
1つは、インバウンド需要の急速な冷え込みです。新型コロナウイルスの影響により、外国人観光客をはじめ、ビジネス目的での渡航も大幅に制限されているため、日本の情報に触れる機会は2020年以降大幅に失われています。
観光客による消費者ベースの発信は期待できない他、海外メディアなども日本の商品やサービスと接触する機会が激減しているため、新たに情報を発信できるチャンネルが求められています。
海外向けのプレスリリースは、上記のような問題を解消する上で期待されている取り組みです。
高まるグローバル進出熱
2つ目は、日本企業の海外進出が積極的になってきているためです。日本は少子高齢化問題の解決の糸口を見出すことができず、労働人口の減少も深刻化しています。また、労働者が減少するとともに消費者の数も少なくなっており、買い物をする人が減っているのはもちろん、先行きが見通せない中で消費意欲も減退しています。
世界有数の経済大国とはいえ、日本国内だけで企業が成長、あるいは規模を維持できるだけのマーケットを今後確保できない可能性が高まっていることから、多くの企業が海外市場への進出を決定しています。
中国をはじめ、成長著しい東南アジアといった周辺諸国は、消費意欲も高く、人口も多いため、ポテンシャルの高い市場と言えます。こういったマーケットへの進出や、ブランド認知拡大の意味でも、プレスリリースの海外配信は重要視されています。
海外にプレスリリースを配信するメリット
それでは、海外向けにプレスリリースを配信する場合、どのような効果が期待できるのでしょうか。主なメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
被リンクの獲得でドメインパワーの強化につながる
1つ目は、ドメインパワーの強化によるアクセス流入の増加です。サイトの信頼性を高め、検索上位に位置するためにはドメインパワーと呼ばれる指標を改善することが求められますが、その要件の一つとして、信頼性の高いサイトからの被リンクをどれだけ受けられているか、というものがあります。
プレスリリースを国内外問わず配信し、多くのPRサイトやメディアからの被リンクを受けることで、ドメインパワーを強化することが可能です。
感度の高いジャーナリストや海外メディアに興味を持ってもらえる
2つ目は、感度の高いジャーナリストや海外メディアから注目を集められる点です。消費者ベースの口コミとなると、情報伝達までに時間がかかるため、効率的とは言えず、不確定要素も大きいというデメリットがあります。
プレスリリースを配信することで、ダイレクトにアプローチすることが難しい海外メディアに訴求できるため、十分に魅力を伝えられます。
日本語での配信よりも多くの注目を得られる
英語などの外国語でプレスリリースを配信することで、日本語のみの配信よりも遥かに高い発信力を獲得し、注目を集めることができます。日本語話者は主に日本に限られている一方、英語などの外国語であれば数十億人という世界人口にアプローチできるため、発信方法次第で多くの反応を得られます。
海外にプレスリリースを配信するための方法
海外にプレスリリースを配信するための方法としては、主に以下の3つが挙げられます。順に見ていきましょう。
自社で直接広報活動に取り組む
1つ目の方法は、直接の広報活動です。海外に拠点を置いている企業などであれば、海外の従業員に広報担当となってもらい、PR活動に励むことができます。
ただ、海外赴任が可能なスタッフは限られており、他の業務負担も考えるとリソースに余裕のある会社に限られる方法と言えます。
海外メディアへ配信を依頼する
2つ目の方法は、海外メディアへ直接コンタクトをとり、配信を依頼する方法です。全てのメディアで配信してもらえるとは限りませんが、信頼のおけるメディアへ直談判できれば、誠意ある対応が期待できます。
ただ、ターゲット国の主要メディアやプレスリリースを発信してくれそうなメディアを全て自社で調べ上げるのは難しいため、やはりリソースに余裕のある会社や、コネクションのある会社に限られます。
プレスリリース配信サービスを活用する
3つ目は、プレスリリースの配信サービスを活用するというものです。翻訳サービスなどもまとめて引き受けてくれることが多く、ターゲットに合わせて適切な配信先へプレスリリースを流してもらえるので、業務効率化と品質改善に役立ちます。
依頼の際の料金はケースバイケースですが、発信力の高さを考えるとコストパフォーマンスの面では優れていると言えるでしょう。
海外向けプレスリリースに対応している主な日系企業
ここで、海外向けプレスリリースに対応している日系企業をご紹介します。日系企業であれば翻訳サービスなど、日本人向けのサービスを手厚く受けられるため、おすすめです。
共同通信ピー・アール・ワイヤー
大手メディアである共同通信が運営するピー・アール・ワイヤーは、日本でもトップクラスのPR企業です。信頼性と発信力に優れた、最高峰のプレスリリースが期待できます。
公式サイト:https://kyodonewsprwire.jp/
@Press
広報のプロが記者目線で配信してくれるという@Pressも、高い信頼性を持ったPR企業です。世界150カ国のメディアに配信可能な体制を整え、日本語・英語の両方で入稿が行えます。
公式サイト:https://www.atpress.ne.jp/service/foreign/
バリュープレス
バリュープレスは海外版のプレス配信サービスを運営しており、あらゆる媒体に向けたグローバル配信を実現しています。個別メディアへのコンタクトにも対応してもらえるなど、クライアントニーズを細かく拾い上げます。
公式サイト:http://www.valuepress.co.jp/service/
ニューズ・ツー・ユー
ニューズ・ツー・ユーは海外向けプレスリリース配信も代行してくれる、国内大手のPR企業です。英文ニュース提供サイト運営も手がけており、グローバルな配信ノウハウを生かしたサービスが期待できます。
公式サイト:https://www.news2u-group.com/
ドリームニュース
ドリームニュースは世界200カ国にプレスリリースを配信できる、グローバルな配信ネットワークを有しています。地域の主力メディアから影響力の強い個人メディアまで、ニーズに応じて発信力を確保できます。
公式サイト:https://www.dreamnews.jp/kaigai_pressrelease.html
海外のプレスリリース配信企業
続いて、海外のプレスリリース配信企業です。国内PR企業とは異なるネットワークを活かしたい場合に活躍が期待できます。
ビジネスワイヤ
ビジネスワイヤは日本法人も設立している、グローバルなPR企業です。日本向けのサービス提供が盛んで、10万を超える報道機関と200を超える業種カテゴリのプレスを配信してきた実績を活かし、企業の認知度向上に努められます。
公式サイト:https://services.businesswire.com/ja/home
PR Web
PR Webは海外でポピュラーなグローバルPR企業で、20年以上もオンライン経由で企業のPR活動を支援してきた実績を持っています。培ってきたノウハウでデジタルメディアを最大限活用し、クライアントニーズの獲得に貢献します。
公式サイト:https://service.prweb.com/?nav_location=main_menu
海外にプレスリリースを配信する際の費用
海外向けにプレスリリースを配信する際の費用ですが、どれくらいの規模で実施するのかにもよるため、予算はまちまちです。イメージとしては最低で1回あたり5万円程度、ハイエンドなものになると10万円前後、というのが相場になってきます。
国内配信よりも割高にはなりますが、配信効果の高さを考えると、妥当な設定です。法外な料金が発生することはないため、安心して利用できます。
プレスリリースを海外向けに配信する際のポイント
海外向けのプレスリリースを配信する際、以下のポイントに気をつけておくことで、その効果をさらに高められます。
新商品やサービスを展開する際に活用する
まず、プレスリリースは新商品やサービスを展開する際に活用しましょう。一回あたりの料金が割高であるため、何度も乱発したところで費用対効果を得ることはできません。
確実に興味関心を得られる話題がある際、海外向けプレスリリースを検討しましょう。
海外向け対応を強化しておく
海外向けの情報配信を続けていると、レスポンスが海外から届き、問い合わせ対応などに追われる可能性もあります。自社内で問い合わせ対応や海外での交渉に対応するべく、グローバル環境を整備しておきましょう。
まとめ
海外向けプレスリリース配信は、大きな注目を集められる貴重な機会です。日系企業のプレスリリース配信サービスであれば、質の高い翻訳サービスと確かな配信ネットワークを通じて、高い費用対効果を期待できます。
プレスリリースのタイミングを図りながら、効果的な運用を目指しましょう。