モロッコのデジタルマーケティングトレンド2022(Web/SNS事情/EC、マーケット傾向分析)

北アフリカに位置するモロッコは、地中海やヨーロッパとの距離が近いこともあり、ヨーロッパからの来訪者も多い、国際化が進んでいる国です。本記事ではそんなモロッコにおけるデジタルマーケティングを実践する上で知っておきたい、2022年のトレンド動向についてご紹介します。

モロッコの概要

モロッコ王国は日本の1.2倍の国土を持つ、北アフリカの王国です。人口は3,603万人で、その65%がアラブ人、30%が先住民族のベルベル人で構成されています。年齢中央値は30.2歳と日本より若い点が特徴です。

使用言語はアラビア語とベルベル語ですが、フランスの統治を受けていたこともあり、フランス語も頻繁に使用されています。宗教は国教としてイスラム教が浸透しています。

国内GDPは1,147.2億米ドルで、一人当たりのGDPは3,191米ドルです。使用通貨はモロッコ・ディルハムという独自通貨を採用しています。直近5年の数値は以下の通りです。

2018年2019年2020年2021年2022年※
各目GDP(10億ドル)118.096119.871114.724131.465133.062
各目GDP(10億モロッコ・ディルハム)1,108.461,152.811,089.521,181.671,239.96
一人当たりの各目GDP(ドル)3,353.103,368.393,191.053,620.323,628.64
一人当たりの各目GDP(モロッコ・ディルハム)31,472.5432,394.0230,304.8832,541.1833,813.95
経済成長率(%)3.152.61-6.297.191.10
物価上昇率(%)1.5690.240.6221.44.4
失業率(%)9.410.212.211.911.738

※ 2022年の数値はIMFによる2022年4月時点の推計 

出展:IMF – World Economic Outlook Databases(2022年4月版)

モロッコのデジタルマーケティング概況

モロッコのインターネットユーザー数は3,159万人と、総人口に対して多くの人がインターネットを利用していることがわかります。比率にして84.1%の人々がインターネットを利用していることとなり、ほぼ全てのモロッコ人がネット環境にあると言えます。

2021年から2022年にかけてのインターネット利用者増加率は36万3,000人で、1.2%の増加となりました。大幅な増加の兆候はありませんが、今後も緩やかに人口は増えていくと考えられます。

インターネット利用時間はモバイル端末だけで平均1日あたり3.35時間となっており、平均的な利用時間に留まっています。94.8%の人がモバイル端末を経由してインターネットを利用しているため、PCからのアクセスよりもスマホの方が圧倒的に影響力が大きいと言えます。

モロッコにおけるSNSユーザー数

続いて、モロッコにおけるSNSユーザー数について見ていきます。モロッコには2022年現在、2,380万人のSNSユーザーが存在しますが、これは総人口比の63.4%にあたります。2021年から2022年にかけて、SNSユーザーの数は180万人の増加、比率にして8.2%の増加となっています。

対象SNSユーザー数
Facebook1,895万人
Youtube2,140万人
Instagram930万人
Tiktok597万人
Facebook Messenger835万人
LinkedIn350万人
Snapchat550万人
Twitter285万人
引用:Meta,Google,Twitter,Tiktokなど各社のオープンデータ
対象SNS1カ月に利用する割合
Facebook90.0%
Whatsapp88.8%
Instagram79.2%
Facebook Messenger64.5%
TikTok49.0%
Telegram38.2%
Snapchat37.0%
Twitter28.7%
Pinterest27.0%
LinkedIn21.9%
Skype9.0%
IMessage8.8%
Discord7.4%
Reddit6.2%
Badoo3.9%
引用:GWI.com

Facebookのユーザー数

SNSの代名詞とも言えるFacebookは、モロッコで1,895万人のユーザーを抱えています。Facebook広告のリーチ数はモロッコの総人口比で50.5%に達しており、モロッコには一番人気があるSNSと言えます。

2022年の開始時点で、13歳以上のFacebook利用対象ユーザーに限定すると、そのリーチ数は65.5%に達し、男女比は62.2%が男性、37.8%が女性と、男性ユーザーの多さが目立ちます。Facebookは台湾においてデジタルマーケティングの重要な鍵と言えるでしょう。

Youtubeのユーザー数

世界最大の動画共有プラットフォームであるYoutubeは、モロッコにおいて2,140万人のユーザーを獲得しています。Youtube広告のリーチ数はモロッコ全体で57%に達しており、マスメディアと同等の影響力を発揮していることがわかります。他の国と同じく、日本語に訳すと、映画と音楽は最も人気があるキーワードとなります。

インターネットユーザーに限定するとその数は67.7%まで上昇し、より高い影響力を有していると言えます。Youtube利用者の男女比は男性が51.0%、女性が49.0%と、男女がほぼ同じ比率で利用している点が特徴的です。

Instagramのユーザー数

Facebook傘下の写真共有プラットフォームであるInstagramは、モロッコで930万人の人口を抱えているサービスです。Instagram広告のリーチ数は総人口比で24.8%、インターネットユーザーに限定して29.4%と、先進国に比べてユーザー数でもリーチ数でもそこまで多くないのが特徴です。また、男女比も男性54.1%、女性45.9%とやや男性が多く、女性が同数、あるいはそれ以上となる傾向にある欧米圏とは異なる比率である点も特徴です。

TikTokのユーザー数

中国発のショート動画共有プラットフォームであるTikTokは、597万人の18歳以上のユーザーをモロッコで獲得しています。広告リーチ数はモロッコ全体の18歳以上の23.1%に達し、インターネットユーザーに限定すると18.9%となっています。

また、TikTokもInstagram同様、男性ユーザーに人気のあるサービスで、ユーザー全体の52.7%が男性、47.3%が女性と若干男性の割合が多くなっています。世界と一緒にこれからモロッコにおいて、ユーザー数が増えるのが期待できるでしょう。

Facebook Messengerのユーザー数

モロッコにはWhatsappというコミュニケーションアプリが主流となりますので、Messengerユーザー数が低くなる理由の一つであります。

メッセージ機能を提供するFacebook Messengerは、835万人のユーザーをモロッコでは有しています。Facebook Messenger経由の広告リーチ数は、総人口比に対して22.2%、インターネットユーザー全体に対して26.4%となっています。

LinkedInのユーザー数

ビジネスパーソン向けSNSのLinkedInは、モロッコで350万人のユーザーを有しています。LinkedIn広告のリーチ数は総人口比で9.3%、インターネットユーザー全体で見ても11.1%にしか達していませんが、一般消費者向けではないサービスであることを踏まえると、妥当な数字とも言えます。

SnapChatのユーザー数

画像共有サービスのSnapChatは、モロッコに550万人のユーザーを抱えています。人口比で見た広告リーチ数は14.6%で、ネットユーザー全体で17.4%です。

男女比は男性が30.4%、女性が68.4%と女性比率が高く、モロッコでは数少ない女性優位のSNSであると言えます。

Twitterのユーザー数

テキスト共有サービスのTwitterは、モロッコで285万人のユーザーを有するSNSです。広告リーチ数は総人口比で7.6%、インターネットユーザー比でみても9.0%と決して高くなく、日本と同様に運用するのは難しい点に注意しましょう。

検索エンジンシェア率

モロッコにおける検索エンジンのシェア率は以下の通りです。Googleが圧倒的なシェアを有している点は変化はありませんが、Yahoo!ユーザーが減少し、Bing利用者が増加している点に注目したいところです。

検索エンジンシェア率前年比
Google97.09%-0.6%
Bing1.78%+47.1%
Baidu0%0%
Yahoo!0.67%-28.0%
YANDEX0.13%+44.4%
DUCKDUCKGO0.09%+50.0%
ECOSIA0.02%-33.3%
その他0.22%+633%
引用:Statcounter

モロッコの検索言語

モロッコの検索言語は、英語とフランス語、そしてアラビア語です。公用語がアラビア語であるため、その次にフランス語が使われ、英語は特定のサービスを調べたい時のみに使われている傾向にあります。

新しい商品・ブランドを何で最初に知るか

新しい商品や、ブランドを検索する際に利用される媒体は、以下の通りです。SNS広告の影響力が圧倒的に高いというわけではありませんが、TV広告と同等か、それ以上の影響力を有しています。

ブランドウェブサイト34.1%
口コミ32.8%
SNSの口コミ30.5%
検索エンジン30.2%
SNS広告29.6%
オンラインショップ28.3%
ブランドのSNS投稿28.2%
TV広告26.7%
ウェブサイト広告25.1%
看板広告24.5%
商品比較サイト24.2%
実店舗の広告・ディスプレイ22.4%
サイト内レコメンド20.7%
カタログ20.4%
商品サンプル20.4%
引用:GWI.com

商品・ブランドを何を通じて調べるか

続いて、商品やブランドのリサーチ方法についてです。SNSや検索エンジンのシェアが圧倒的で、情報収集の要となっていることがわかります。

SNS75.7%
検索エンジン66.7%
ブランドウェブサイト30.4%
モバイルアプリ28.8%
カスタマーレビュー25.9%
価格比較サイト22.5%
動画サイト21.4%
Q&Aサイト17.7%
ブランド&製品ブログ15.8%
フォーラム&メッセージボード14.2%
メッセージ&ライブチャット13.6%
クーポンサイト11.9%
専門家レビューサイト11.4%
ミニブログ8.9%
オンラインピンボード8.5%
引用:GWI.com

デバイスの比率(PC・スマートフォン・タブレット)

所有デバイスの比率は、スマートフォンが大半を占めている一方、タブレットの所有者も2021年の間に2倍以上に増加していることがわかります。大画面でスマホを利用したいニーズがモロッコで増加しているとも考えられます。

デバイス流入シェア前年比
スマートフォン53.89%-6.9%
デスクトップ40.16%-0.2%
タブレット5.94%218%
その他0.02%変化なし
引用:Statcounter

まとめ

本記事では、モロッコにおけるデジタルマーケティングトレンドの動向について、ご紹介しました。インターネットの普及が進んでいるモロッコでは、SNSや検索エンジンが消費者の意思決定に大きな影響を与えており、現地に進出する企業にとってはネット上でどれだけ影響力を高められるかがポイントになりそうです。

この記事を書いた人

野口慎平

GDX 事業責任者 兼 UDX株式会社ゼネラルマネージャー。
新卒で大手外資系総合コンサルティングファームにビジネス&テクノロジーコンサルタント職として就職。2016年よりプルーヴ株式会社に法人営業職として入社。慶應義塾大学理工学部・同大学院 理工学研究科電子工学修了。
海外SEOとマーケティングオートメーションを軸としたデジタルマーケティングを得意とする。
Salesforce Pardot甲子園2021優勝

取得資格:
応用情報技術者、IPAプロジェクトマネージャ、上級ウェブ解析士、IoTコーディネーター取得
Salesforce認定アドミニストレーター