タイのデジタルマーケティングトレンド2022 (Web/SNS事情/EC、マーケット傾向分析)

東南アジアで経済発展が著しい国の一つに、タイ王国が挙げられます。観光地としても日本にとっては馴染み深いタイですが、ビジネス目的でタイに進出する企業も増えています。 

今回は、タイへの事業進出を検討している方に向けて、同国の2022年における基本的なデジタルマーケティングトレンドについて、ご紹介します。 

タイ王国の概要 

2022年1月現在、タイの人口はおよそ7,000万人を超えています。前年と比較して14万人程度の増加が見られ、他の東南アジア諸国同様、今後も人口は増加の一途を辿ると予想できます。また、男女比は51.4%が女性、48.6%が男性と、やや女性の方が多い結果となっています。 

タイの人口の52.8%は都会に住んでおり、経済発展に伴い、若者の都会進出が進んでいます。また年齢の中央値は40.9歳で、人口の55%ほどを45歳以下の人が占めています。 

タイで話されている公用語は、タイ語です。日本同様その国独自の言語文化が根付いており、それ以外の言語については一般的ではありません。近年の経済発展により、中国語や英語を話すタイ人も増えているものの、シンガポールやマレーシアほど外国語学習に力を入れていないため、都市部を出ると通じなくなるケースが一般的です。 

タイは日本以上に仏教が浸透している国で、国民の95%が仏教徒と言われています。他の勢力としてはイスラム教徒も存在しますが、インドネシアなどのような国ほど浸透はしていません。 

タイのGDPですが、2021年の名目GDPは5,131億ドルでした。2019年には5,440億ドルに達していたところ、ここ数年は減少傾向にありますが、これは新型コロナウイルスの感染拡大が主な原因と言えます。事実、パンデミックが収束に向かいつつある2021年は2020年の5,000億ドルよりは微増となっているため、2022年以降は回復に傾いていくと予想できます。 

直近5年の数値は以下の通りです。

 2018年2019年2020年2021年2022年
名目GDP(10億ドル)  506.55 544.03 500.29 513.17 522.01
名目GDP(10億バーツ)  16,373.34 16,892.41 15,653.88 16,179.83 17,079.65
一人当たりの名目GDP(ドル)  7,295.95 7,813.61 7,167.52 7,336.09 7,448.99
一人当たりの名目GDP(バーツ)  235,830.44 242,617.88 224,267.71 231,302.80 243,722.70
経済成長率(%)  4.22.2  -6.2 1.63.3
物価上昇率(%)  1.060.7 -0.85 1.23 3.5 
失業率(%)  1.11.0 2.0 1.5 1.0 

※ 2022年の数値はIMFによる2022年4月時点の推計 

出展:IMF – World Economic Outlook Databases(2022年4月版) 

 

タイのデジタルマーケティング概況 

ここから、タイのデジタルマーケティングに関する情報をご紹介します。まずタイにおけるインターネットユーザーの数ですが、2022年2月時点で5,450万人を記録しています。総人口比で言えば77.8%にあたる数字で、おおむね全ての人がインターネット利用環境にあるとみて間違い無いでしょう。 

1日あたりでインターネットを使用している時間は9時間に達しており、1日の多くの時間をインターネット上で過ごしている様子がわかります。また、インターネット利用者の96%はスマホなどのモバイル端末から利用しており、スマホの普及がいかにインターネットを身近にしたか、ということを物語る数字です。 

タイにおけるSNSユーザー数と1ヵ月に利用する割合

Kepiosの調査により、2021年と2022年の間に190万人(+3.4%)が増加し、タイでは5,685万人のSNSユーザーが複数のプラットフォームを利用しています。ここで、それぞれの主要なSNSの人口と利用率について、確認しておきましょう。

一日当たりの平均利用時間は2時間59分 で、前年より約6.5%増加しています。

対象SNSSNS利用ユーザー数
Facebook5,005万人
Youtube4,280万人
Tiktok3,580万人
FacebookMes​​senger3,570万人
Snapchat2,775万人
Instagram1,850万人
Twitter1,145万人
LinkedIn330万人
引用:Meta,Google,Twitter,Tiktokなど各社のオープンデータ
対象SNS1ヵ月に利用する割合
Facebook93.3%
LINE92.8%
Facebook Messanger84.7%
Tiktok79.6%
Instagram68.7%
Twitter53.1%
Pinterest34.0%
iMessage15.9%
Whatapp15.1%
Telegram13.7%
Discord13.0%
Linkedin12.6%
Skype12.2%
we chat11.6%
snapchat9.7%
引用:GWI.com

Facebookのユーザー数

タイで最も利用者の多いSNSが、Facebookです。2022年時点で、同サービスのタイにおけるユーザー数は5,000万人以上に達しています。タイにおけるFacebookの広告リーチ数は、2022年開始時点で総人口の71.5%に相当すると言われており、マスメディア並みの影響力を有していることがわかります。 
上記グラフを見てわかる通り、Facebookを1ヵ月に利用する割合は93.3%となっており、タイマーケットを考えるうえではFacebookは必須でしょう。

LINEのユーザー数

LINEは日本のみならず、タイマーケットにも最も人気なコミュニケーションアプリと言えます。優れた機能に加えて、スタンプを通じたコミュニケーションを届けるLINEスタンプの著しい魅力が認められる。2020年の調査によると、6,900万人のモバイルユーザーに対して4,500万人がLINEを使用しているという。利用者数は調査中ですが、1ヵ月に利用する割合は92.8%でかなり高い水準です。

Youtubeのユーザー数

世界最大の動画共有サイトであるYoutubeのタイにおけるユーザー数は、2022年の時点で4,240万人に達しています。Youtube広告のリーチ数は、タイ人口の61%にあたる数となっています。ユーザー数だけでなく、ユーチューバー出身のインフルエンサーが非常に多くいるタイのYoutubeがこれからさらに普及すると期待できます。

Instagramのユーザー数

写真共有サービスのInstagramでのユーザー数は、2022年時点で1,850万人です。Instagramには年齢制限があり、13歳以上しか利用できないことになっているため、他のSNSよりもユーザー数は劣るものの、若年層に対して強力な広告効果を有しています。 

広告オーディエンスの61%は女性であるなど、男性よりも女性にとって有力なSNSでもあります。 

TikTokのユーザー数

ByteDanceが運営する短い動画を共有できる新興SNSのTikTokは、18歳以上のユーザー数が3,580万人に達しています。タイの18歳以上の成人全体における63.6%にTikTok広告はリーチしており、利用者の60%以上は女性です。 

Facebook Messengerのユーザー数

Facebookのメッセージ機能を担うFacebook Messengerは、タイにおいて3,570万人以上のユーザー数を抱えています。タイにおけるFacebook Messengerの広告リーチ数は、現地のインターネットユーザーの65.5%に達しています。 

LinkedInのユーザー数

求人SNSとして世界中で人気のLinkedInのタイのユーザー数は、330万人に達しています。 

広告のオーディエンス数はタイ人口の4.7%と、他のサービスに比べてやや数字は劣るものの、そもそもLinkedInというサービスがビジネスパーソン向けであることを踏まえると、不自然な数字ではありません。 

SnapChatのユーザー数

24時間でアップした写真や動画が削除されるSnapChatのタイにおけるユーザー数は、2,775万人に達しています。 

近年はInstagramなどの他のサービスにトレンドは奪われているものの、いまだにタイのインターネットユーザーの0.5%に広告はリーチしており、女性中心に人気のあるサービスであるなど、無視できないSNSであることがわかり亜mす。 

Twitterのユーザー数

少ない文字数のつぶやきが可能なTwitterは、タイにおいては1,145万人のユーザーを抱えています。この数字はタイの人口の16.4%にあたり、相応の発信力を抱えていることがわかります。 

広告のリーチ数については、タイのインターネットユーザーの21%にあたります。 

検索エンジンシェア率。Googleが圧倒的シェアを誇る 

タイにおける検索エンジンのシェア率は、Googleが98%以上を占めるなど、圧倒的な人気を誇ります。次点ではBingやYahoo!がランクインしますが、どちらも0.5%程度にとどまるなど、影響力はGoogleが圧倒的です。 

検索エンジンシェア率前年比
Google98.37%-0.9%
Bing0.65%+62.5%
Baidu0.01%不明
Yahoo!0.59%+90.3%
Yandex0.29%0%から
DuckDuckGo0.05%66.7%
Ecosia0%不明
その他0.04%+100%
引用:STATCOUNTER

タイにおける検索言語 

タイでは公用語がタイ語ということもあり、検索キーワードも大半がタイ語です。ただ、海外の情報を仕入れるにあたっては英語が使われているケースもあり、英語とタイ語の両方に対応している広告やWebサイトを提供するのが望ましいと言えます。 

新しい商品・ブランドを何で最初に知るか 

タイにおいて新しい商品・ブランドを認知するきっかけは検索エンジンが最も多く35.6%となっています。
次いでモバイルアプリ内の広告、TV広告、商品比較サイトが続いています。

検索エンジン35.6%
モバイルアプリ内の広告30.6%
TV広告30.5%
商品比較サイト28.9%
商品・ブランドのサイト28.5%
ウェブサイト内の広告28.1%
TVショー・映画28.0%
SNS広告27.8%
消費者レビューサイト25.2%
口コミ24.7%
SNSのコメント23.3%
商品サンプル22.7%
店内のディスプレイ広告21.8%
エキスパートブロガーのレビュー19.5%
オンラインビデオ18.8%
引用:GWI.com

商品・ブランドを何を通じて詳しく調べるか 

認知した商品・ブランドを何を通じて調べるかについては検索エンジンが最も多く53%となっています。
次いでSNS、モバイルアプリ、消費者レビューとなっています。

検索エンジン53%
SNS47.5%
モバイルアプリ45.1%
消費者レビュー35.6%
商品・ブランドのウェブサイト34.1%
価格比較サイト32.3%
クーポンサイト27.9%
ビデオサイト26.5%
ブランド・商品のブログ22.6%
スペシャリストのレビューサイト21.1%
Q&Aサイト20.3%
VLOGs17.4%
メッセージ・ライブチャット16.9%
マイクロブログ15.7%
フォーラム・メッセージボード14.7%
引用:GWI.com

デバイスの比率(PC・スマートフォン・タブレット) 

デバイス所有率

タイにおけるインターネット利用を大いに支えているだけあり、スマートフォンの保有率は非常に高いと言えます。実にタイの98.3%の人がスマホを保有しており、他のデバイスと比べても圧倒的なシェアを誇ります。 

従来のネット利用を支えたPCについては41.8%と、半分以下の数字に止まっているだけでなく、所有率は前年比13.8%の減少となっています。タブレットについても保有率は低く、33%に止まるだけでなく、前年比4.9%の減少に落ち込んでいます。 

ウェブトラフィック割合

デバイス流入シェア前年比
モバイル54.95%-2.6%
デスクトップ42.26%+3.6%
タブレット2.78%-1.1%
その他0.01%0%から
引用:STATCOUNTER

ウェブトラフィックのシェアではモバイルが54.95%、デスクトップが42.26%、タブレットが2.78%の割合です。
モバイルとデスクトップの両画面対応が必要と言えるでしょう。

EC市場

EC市場規模推移

引用:Statista

タイEC市場規模は上記図の通り。右肩あがりで市場規模は膨らむ想定です。

ECマーケット(バンコク)

引用:トランス・コスモス「アジア10都市オンラインショッピング利用動向調査2020」

ECプラットフォームではASEANを中心にシェアの高いShopee、LazadaとFacebookを通じて購入する割合が高い状態です。

購入商品(バンコク)

引用:トランス・コスモス「アジア10都市オンラインショッピング利用動向調査2020」

購入分野ではファッション、フードデリバリー、化粧品・医薬品の順となっています。

まとめ 

タイでは人口の増加とともに、インターネットの普及も進んでいます。特にスマホの普及率は非常に高く、ほぼ全ての人がスマホを使いこなしているのが現状です。 

インターネットもスマホ経由でSNSを利用するケースがほとんどで、あらゆる消費がSNS経由で始まっている様子も伺えます。 

スマホユーザーの存在を念頭に置いたデジタルマーケティングが、タイでは求められるでしょう。 

この記事を書いた人

野口慎平

GDX 事業責任者 兼 プルーヴ株式会社事業開発部シニアマネージャー。
新卒で大手外資系総合コンサルティングファームにビジネス&テクノロジーコンサルタント職として就職。2016年よりプルーヴ株式会社に法人営業職として入社。慶應義塾大学理工学部・同大学院 理工学研究科電子工学修了。
海外SEOとマーケティングオートメーションを軸としたデジタルマーケティングを得意とする。
Salesforce Pardot甲子園2021優秀賞受賞

取得資格:
応用情報技術者、IPAプロジェクトマネージャ、上級ウェブ解析士、IoTコーディネーター取得
Salesforce認定アドミニストレーター