米国ECマーケット概況。市場規模から主要プラットフォームまで解説

アメリカEC市場

世界最大の市場、米国の越境ECに興味がある方に、米国ECの概要と最新トレンドを紹介します。米国の越境ECプラットフォームの最近の勢力変更、また活用のコツも解説しています。 

米国でファンを獲得すると、ちょっとしたオマケもついてきます。気になる方はぜひご覧ください。 

米国ECの概要と主要チャネル 

まずは米国ECと越境ECを概観し、押さえておきたい主なチャネルを確認します。 

また、米国ECの進出で得られるチャンスもお伝えしましょう。 

米国ECと越境ECの規模 

米国EC市場は中国に次ぐ規模の巨大マーケットです。 

2021年のEC売上高は8,707億ドル(約100兆円/速報値)でした。なお、世界屈指の米国の小売売上高にECが占める割合はわずか13%、人口密度の低さが影響していると思われます。 

米国EC市場は年々拡大しており、2020年はパンデミックで30%以上の大成長をみせました。2021年第2四半期以降は成長率が1桁に鈍化し、小売全体の成長率と比べるとゆるやかになっています。日本のECはすでに2019年に成長が頭打ちになったのとはまた別の世界が広がっています。 

米国ECで人気のカテゴリは次のようになります。 

  1. ファッション(29%) 
  1. 家電・電子機器(22%) 
  1. 玩具・ホビー・DIY(21%) 

また、越境ECの規模は米国EC全体の約10%超くらいとみられ、輸入上位国は中国、カナダ、英国です。 

なお、米国ECは高度に成熟した市場であり、越境ECの新規参入のハードルも高いと推測されます。 

米国ECの可能性と広がるチャンス 

とはいえ、米国EC市場はダイナミックで夢があり、時価総額10億ドルのDtoCユニコーン企業が次々生まれています。 

  • Glossier(コスメティック) 
  • Away(スーツケース) 

米国の消費者に刺さる商品・サービスを足がかりに、一大ブランドを築き上げられるかもしれません。 

ほかに、激戦区の米国で一定の成果を上げれば、さらなるチャンスが得られる可能性があります。 

日本向けの商品は、そのまま外国で売れるか予測しにくいですが、米国で売れた商品は他の英語圏や中南米諸国でもヒットする傾向があります。米国での成功により、他国に横展開しやすくなるのもメリットです。 

米国の主なプラットフォーム 

米国ECの主要プラットフォームは以下の4つです。 

  1. Amazon 
  1. Shopify 
  1. Walmart 
  1. eBay 

以下、簡単に米国の越境ECプラットフォームについて説明します。  

Amazon:米国EC最大手 

Amazonは米国ECで圧倒的なシェアがあり、2021年には全世界の売上高がWalmartを超えました。ただ、WalmartがECに参入し、Amazon一強から、この2社でシェアを分け合う二強の時代に入りそうです。 

Amazonで米国に越境ECをする場合は、北米マーケットプレイス(米/カナダ/メキシコ)を利用します。配送はAmazon委託もしくは自社手配ですが、Amazon委託ではプライム会員(有料会員)に特典(配送無料/セール対象)が付与され、販売上有利になるので要検討です。 

なお、Amazonには出品者が多数おり、価格競争に陥りやすく、ファンも獲得しにくいです。ブランド構築や商品の差別化には、自社ECサイトやSNSでのソーシャルコマースなど、マルチチャネル戦略の活用が望まれます。 

ShopifyDtoC流行で台頭 

Shopifyはもともとスモールビジネス向けでしたが、今は大企業も利用するECサイトシステムです。モールではなく、自社のオリジナルストアを構築できます。今ではAmazonに次いで取引額の多いECプラットフォームです。 

ノーコードで直感的な操作により、簡単にECサイトを構築可能。多言語対応、外国通貨決済にも対応します。公式アプリストアで各種機能を実装したり、公認の外部パートナーによるEC構築・運用支援サービスも受けられます。 

さまざまな大手ECプラットフォームと連携できるのも便利です。米国の越境EC参入が視野に入っているなら、自社ECサイトやSTORES(ストアーズ)などのECシステムからの移行を検討することをおすすめします。 

WalmartAmazonを猛追する世界一の小売企業のEC 

Walmartの承認が必要だが、米国を拠点としない外国企業にも開放されており、中国企業が多数出店中です。日本企業では米国に拠点を持つ楽天が出店者登録されています。 

Amazonのフルフィルメントサービスに似た「WFS」制度があり、「Walmart +」の会員に無料配送サービスを提供しています。 

参入ハードルは高そうですが、米国の一般消費者をつかんでおり、いずれはAmazonに次ぐ規模になると思われる注目のプラットフォームです。 

なお、Shopifyと連携して、WalmartのマーケットプレイスをShopifyで一括管理できます。 

eBay:全世界で越境EC! 歴戦の士が集う老舗 

eBayは老舗のマーケットプレイスで、米国でのECシェアもそこそこあります。 

アカウント一つあれば、最大190カ国に一括出品可能(各国規制等による制限あり)です。マニュアルなど、日本語のサポートも充実しています。 

ただ、eBayのトップセラーの55%がeBayの利用歴が10年以上あり、ほぼベテランしかいません。世界で越境ECを展開してみたい、中古品の取り扱いもしたいと希望するなら選択肢としてありでしょう。 

米国EC参入の課題 

米国ECは魅力的ですが、大変な激戦区です。参入における課題として、ターゲット設定の難しさを取り上げます。 

米国の消費者像を知り、突破口を探り当てる 

世界2位の巨大市場とはいえ、マスマーケットをモノにするにも、まずは基盤を固めねばなりません。コアなファンの地盤(があるか)を探しあてて、そこから周辺に支持を広げていくことになるでしょう。 

多様すぎる消費者の姿、ブランド求心力のカギは価値観 

米国の消費者は世界から見ても非常に多様性があるといえます。日本の東京の街の多様性と似ていなくはないですが、それよりも幅広いです。 

米国市場は地域や人種、世代など、一定の属性でひとくくりに区切れず、ターゲット設定が難しい面があります。 

  • 地域→同じ州内の都市部と周辺部 
  • 人種→移民とその子孫の米国・祖国文化の影響度 

消費者が購入する決定打は「共感」であり、自己の考え方や意識、価値観にしっくりくるものを選ぶ傾向が強いです。ECは地域障壁を超越するとはいえ、ターゲットの見誤り、間違ったメッセージの発信は事業の芽を摘みかねないので注意が必要です。 

米国ECのトレンド紹介 

最近の米国EC市場の状況や、新しい決済手段の登場について紹介します。 

EC需要の急変 

2020年に米国ECは急成長したものの、2021年の消費の需要回復を取り込めず、全米の小売販売におけるシェアを落としました。米国の消費者にとってECは購買手段の一つにすぎず、パンデミックの混乱が収まると実店舗に回帰していきました。 

ただ、依然として米国ECは成長を続けています。主要客層は人口の半分を占めるミレニアル世代(1981~1995年生まれ)とZ世代(1996年~)であり、それ以降の世代が将来の顧客に加わります。したがって長期スパンでの成長が見込めます。 

後払い決済「BNPL」の広まり 

米国で新しい決済の「BNPL(Buy Now Pay Later)」の利用者が増えており、主にZ世代とミレニアム世代が利用しています。審査が簡易でクレジットカードのない若年層が分割払いの代替手段として利用するほか、小売大手のAmazonやWalmartの採用により、その他の世代にも普及しつつあります。 

米国ECの成長にともない、BNPLが一般的な支払い手段の一つになると予想されます。 

まとめ 

米国ECにはまだまだ成長余地があり、越境ECで参入するチャンスも十分あります。米国ECは大変な激戦区ですが、一定の成果を手にできれば他国展開も望めます。 

越境EC事業に興味がある、または海外諸国へのEC展開で調査が必要でしたら、弊社にぜひお問い合わせください。 

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この記事を書いた人

野口慎平

GDX 事業責任者 兼 UDX株式会社ゼネラルマネージャー。
新卒で大手外資系総合コンサルティングファームにビジネス&テクノロジーコンサルタント職として就職。2016年よりプルーヴ株式会社に法人営業職として入社。慶應義塾大学理工学部・同大学院 理工学研究科電子工学修了。
海外SEOとマーケティングオートメーションを軸としたデジタルマーケティングを得意とする。
Salesforce Pardot甲子園2021優勝

取得資格:
応用情報技術者、IPAプロジェクトマネージャ、上級ウェブ解析士、IoTコーディネーター取得
Salesforce認定アドミニストレーター